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これから税理士試験を目指す方向け!簿記2級との共通点と学習のコツ

Hupro Magazine編集部 川辺
これから税理士試験を目指す方向け!簿記2級との共通点と学習のコツ

税理士試験は、1年に1度のみ行われる難関試験であることは多くの方がご存知でしょう。その難しさから、まずは日商簿記2級を取ってから合格を目指す人も多い試験です。今回は、税理士試験と日商簿記2級の共通点や違い、そして税理士試験合格を目指すにあたってのポイントおよび勉強時間について解説します。

税理士試験について

まずは税理士試験の概要を紹介します。

税理士試験の試験科目は11種類

税理士試験に合格するには、11科目ある税理士試験科目のうち、5科目を取得する必要があります。ただし5つであればどの科目を取っても良いわけではなく、下記のように定められています。

試験は、会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目と税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)のうち受験者の選択する3科目(所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必ず選択しなければなりません。)について行われます。

なお、税理士試験は科目合格制をとっています。つまり、受験者は一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験してもよいことになっています。

税理士試験の難易度

税理士試験は国家試験の中でも難易度が高いとされています。
まず合格率を見てみると、直近2023年の税理士試験で官報合格となった方は600人で、受験者全体の約1.8%、一部科目合格者を含めると6,525人で約21.9%でした。これだけでも、全科目合格するのはかなり狭き門ということが分かるでしょう。必要な勉強時間についても後述しますが、1年の勉強で合格することはかなり難しいとされています。

税理士試験の概要については以下の記事で詳しくご紹介してますので、併せてご覧ください。

税理士試験と簿記2級との共通点

簿記にもいくつかの種類がありますが、ここでは最も認知度の高い日商簿記を「簿記」と呼ぶこととします。簿記2級と税理士試験について、ほとんど馴染みが無い方にとっては関係ない試験のようにも見えるのではないでしょうか。ここではそんな二つの資格試験の共通点について紹介します。

税理士試験に簿記2級の知識を応用できる

税理士試験の必修科目である、「簿記論」と「財務諸表論」。
実はこの2つの学習範囲および学習内容は簿記検定と共通する部分が多々あります

同じく税理士試験の選択科目に含まれる「法人税」「消費税」「所得税」「事業税」といった科目を受験する場合にも、日商簿記検定2級レベル以上の知識が求められます。

こうした学習の共通点を理解している受験者は、税理士試験の合格に向けて簿記2級の合格を足掛かりとするわけです。

税理士試験の学習のコツは「日商簿記2級の早期取得」

必須科目である簿記論の内容の50%程度を日商簿記2級がカバーしていると言われています。

初めから税理士の試験勉強を行う場合には多くの時間がかかり、知識のある方と比べると勉強時間が多くなる場合がほとんどです。
こうした個人差はあるものの、平均的な学習時間は450時間ほどです。
つまり、日商簿記2級がカバーしている50%の範囲を理解しておくだけで、実に200時間もの学習時間が短縮できる計算になります。

効率的に税理士試験の学習を進めるコツは、日商簿記検定2級の早期取得にあるというわけです。

税理士試験と簿記2級の違い

当然異なる資格試験なので、税理士試験と簿記2級には違いも多くあります。具体的な相違点について見ていきましょう。

合格に必要な勉強時間の違い

簿記2級の合格には300時間ほど、税理士試験の合格には2,000時間ほどの勉強が必要とされているため、圧倒的に税理士試験の勉強時間の方が長いといえます。
合格率に関しても税理士試験の方が低く、難易度が高いといえます。

試験範囲の違い

試験範囲についても、圧倒的に税理士試験の方が広いです。上述の通り、簿記論の50%程の範囲を簿記2級がカバーしているわけですが、残りの50%、そして他の4科目については別で勉強が必要になります。
税理士の行う税務業務は細かい法令の知識を持っていることが求められますので、試験範囲も広くなっているのです。

受験資格の違い

簿記2級には受験資格がありませんが、税理士試験には受験資格があります
税理士試験の試験科目の中で、必須科目である簿記論と財務諸表論は受験資格がありません。その他の科目では、「学識」・「資格」・「職歴」による受験資格のいずれかを満たせばクリアできます。
2023年試験から変更された税理士試験の受験資格について、詳しくは以下の記事をご参照ください。

試験回数の違い

税理士試験は年に1回のみ実施されます。同じ日時に被っていない科目については、同じ試験で複数科目を受験することが可能です。
一方で、簿記2級は年3回実施されているほか、ネット試験であればより幅広い日程で受けることができます。受験回数に制限は無いので、不合格だったとしても1年に何回でも受けることができます

独占業務の有無の違い

独占業務とは、ある資格を持っている人にしか行えない仕事のことを指します。
簿記2級には独占業務がありませんが、税理士には「税務の代理」・「税務書類の作成」・「税務相談」という独占業務が認められています。税理士の独占業務については、以下の記事で詳しく解説しています。

簿記2級から税理士資格を取得するメリット

簿記2級に比べて圧倒的に難易度が高く試験範囲も多い税理士試験ですが、見事合格して税理士になると様々なメリットがあります。ここではまだ税理士を目指すか迷っている方向けに、そんなメリットをご紹介します。

社会的ニーズが高い

ご紹介した税理士の独占業務は、法人や個人事業主にとって欠かせないものであるため、税理士の社会的ニーズは非常に高いです。そのため、現在ではAIなどの活用により無くなる職業がでるといわれているものの、税理士の仕事はなくなりません
仕事に困ることが少なく定年も無いため、長きにわたって活躍することができるのです。もちろん、転職活動においても有利になるでしょう。

やりがいのある仕事ができる

もちろん簿記2級だけでも十分にやりがいのある仕事はできます。
ただ、税理士ならではのやりがいがあるのも事実です。具体的には以下のようなやりがいを感じやすいでしょう。

・クライアントから感謝の言葉をもらえる
・経営者の良き相談相手になれる
・クライアントと二人三脚で頑張れる
・困っている人の役に立てる
・社会貢献に繋がる

税理士のやりがいについては、以下の記事でより詳しく解説しています。

独立開業して経営者になれる

また資格を活かして税理士事務所などを独立開業できるのも、魅力の一つといえるでしょう。独立すれば経営者としてどのように経営したいか、どんなサービスを取り扱うかなど、自由に決めることができます。

さらに独立すれば、自分の力量次第で年収を大きく上げることができる可能性があります。もちろん失敗するリスクはあるものの、雇われて働くよりも上限なく稼げるのは、大きな魅力といえるでしょう。

簿記2級から税理士試験を目指すにあたってのポイント

簿記2級の合格者が税理士試験合格を目指すにあたってまず考えるべきなのが、そのまま税理士試験を受けるか、簿記1級まで合格してから税理士試験を受験するのかです。

結論としてはどちらが正解というものはないので、ご自身に合ったプランで進めるのがよいでしょう。全体の勉強時間を最短にできる可能性が高いのは、簿記1級を受験せずに税理士試験を目指す方法です。

ただし、特に簿記以外の会計に関する勉強や業務の経験が無い場合は、簿記2級からいきなり税理士試験の勉強をしても理解が追いつかない可能性があります。ですので、まだ知識に自信が無いという方は、簿記1級を税理士試験へのステップとして考えるのがよいでしょう。

簿記2級から税理士試験を目指すのに向いている人

簿記2級があれば、経理業務をはじめとしたある程度の会計業務を行えるスキルは身に付いているといえます。そんな簿記2級を持っている中で税理士試験を目指すのに、どんな人が向いているのでしょうか?

向上心が高い人

ご紹介したように、税理士試験は簿記2級よりも圧倒的に難易度が高く、勉強時間も膨大になります。そのため、「とりあえず流れで目指してみよう」といった生半可な気持ちで合格できるような試験ではありません。税理士を取ってどうなりたいのか、というキャリアプランや理想像を持っていないとモチベーションが保ちづらいでしょう。そのため、向上心を持って勉強できる人が向いているといえます。

資格を活かして稼ぎたい人

「令和2年賃金構造基本統計調査」」によると、給与取得者の平均年収が308万円であったのに対し、税理士の平均年収は958万円約3倍程度でした。働き方や働く職場によってある程度の幅で上下するものの、資格を活かして高年収を目指したいという人についても、税理士試験を目指すべきでしょう。

手に職をつけたい人

資格取得を目指す理由として、「手に職をつけたいから」と仰る方も多いです。簿記2級でも、経理職や会計事務所で働きスキルアップすることで「手に職をつける」ことはできます。
ただ、先述したように税理士には独占業務があり独立開業もできるため、より資格一つで活躍できるものといえます。一生モノの資格を取りたいという人は、税理士を目指すのがよいでしょう。

税理士を目指しながら働くのにオススメの税理士法人

税理士を目指すにあたって、勉強に時間やある程度の費用をかけなければならないため、社会人の場合はどこで働くかというのはとても大事なポイントです。そんな税理士を目指しながら働くのにオススメの職場として、今回は税理士法人OKJをご紹介させて頂きます。

税理士法人OKJは東京都千代田区にある20名規模の税理士法人で、「徹底的にお客さまの相談に乗る」ことを理念としています。「誰に頼んでもダメだったことが、OKJのアドバイスでできるようになった」と言われる仕事を目指し、税務会計業務全般はもちろん、経営相談や相続相談、国際税務や特殊法人向け業務まで行っています。

専門学校に通いやすい立地(市ヶ谷駅から徒歩1分)や、試験休暇制度フレックスタイム制を柔軟に使えることなどから、試験勉強をしながら働きやすい税理士法人となっております。給与水準が比較的高めなのも、学費などの支払いが必要な受験生にとっては、ありがたいポイントではないでしょうか。
実際に科目合格者など税理士試験勉強中の方も在籍していますので、一緒に勉強する仲間ができる、という意味でも働きやすいといえます。

また、若い方もすぐ溶け込んでいけるような良い雰囲気の職場です。詳しい会社案内やサービスを確認されたい場合は、以下より事務所様のサイトをご覧ください。

税理士法人OKJ│HP

まとめ

今回は税理士試験と日商簿記2級の共通点や違い、税理士を目指すメリットなどについて、解説しました。
税理士試験の受験資格を満たしている場合でも、少なくとも簿記2級レベルの知識が必要となるため、試験を受けるための最低ラインと言ってもいいでしょう。

また、2023年までは職歴や学歴などの受験資格が満たせない場合は日商簿記1級を取得していなければならなかったのですが、簿記論および財務諸表論は誰でも受験可能、税法科目は法律・経済分野以外を履修した大学生や卒業生でも受験ができるようになりました。

ですので、まずは日商簿記2級の取得を目指しつつ、簿記の知識を深めていきましょう。

簿記検定を受験せずに税理士試験に挑戦するのは難しいため、簿記検定に挑戦しながら簿記の知識を深めていくのがおすすめです。簿記検定で学ぶ範囲と税理士試験では、出題分野に共通点もあるため、効率的に学習することができます。

働きながら税理士を目指すという方は、試験勉強を応援してくれる環境がある税理士法人や会計事務所で働くのがオススメです!士業・管理部門特化の転職エージェントである当社ヒュープロでは、ご紹介した税理士法人OKJのような税理士を目指しながらでも働きやすい職場の求人を多くお取り扱いしております。業界特化ならではの面接対策や書類添削も無料で実施しておりますので、まずはご相談から、お待ちしております。

この記事を書いたライター

株式会社ヒュープロにてオウンドメディア「Hupro Magazine」のディレクション、セミナーの運営を担当。年間500本以上の記事を監修しています。アドバイザーとして多くのご登録者様から伺った転職に際しての悩みや不安、疑問を解消する記事をご覧いただけるよう、日々奮闘中です!士業や管理部門、FASなどの業界に就職・転職をご検討されている方は、ぜひ業界特化の転職エージェントである、「ヒュープロ」をご活用ください!
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