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税理士事務所でアルバイトをして税理士登録に必要な実務経験を積もう

HUPRO 編集部
税理士事務所でアルバイトとをして税理士登録に必要な実務経験を積もう

税理士事務所でのアルバイトは、実務経験としてカウントされるのか?

税理士登録に必要な実務経験とは

税理士登録には、税理士試験に合格するだけでなく2年以上の実務経験が必要とされています。では税理士登録に必要な実務経験の内容とはどのように定義されているのでしょうか。

税理士登録に必要な実務経験は政令で下記のように定義付けられています。

1.簿記上の取引について、簿記の原則に従い取引仕訳を行う事務 2.仕訳帳等から各勘定への転記事務 3.元帳を整理し、日計表又は月計表を作成して、その記録の正否を判断する事務 4.決算手続に関する事務 5.財務諸表の作成に関する事務 6.帳簿組織を立案し、又は原始記録と帳簿記入の事項とを照合点検する事務
また、実際に行った業務が実務経験に当たるかどうかは在職証明書と、税理士会との面接により個別に判断されます。

アルバイトは実務経験に入る?

それでは、税理士事務所でのアルバイトの経験は実務経験としてカウントできるのか解説していきます。結論から申し上げますと、実務経験として含めることか可能です。
たとえば、税理士試験に合格する前に学生が税理士事務所でアルバイトを行っていた場合でも、勤務時間・勤務内容の条件を満たしていれば、実務経験として認められます。

税理士事務所のアルバイトの求人の状況

近年、税理士事務所での人材の需要は多くなっており、実務経験を税理士事務所で積んだ人や科目合格者の引き合いは実際に多くなっています。

一方、税理士事務所の実務経験がある若い人が一般の会社に流れるようになっており、また税理士受験生も減少傾向で、税理士業界としては若い人が少なくなっていることに悩んでいるという実情があります。このようなことから、税理士業界において、特に若い人に対する採用需要は高い傾向となっています

また、税理士事務所の転職市場において雇用形態は多様化しており、正社員としてではなくアルバイトとして雇用する税理士事務所も多くなっています。

税理士事務所で新しいクライアントや案件が獲得できているところは、仕事を効率アップするためにも、仕訳から記帳、決算から申告書作成までの仕事を専門に行うチームや部署を作るようになっており、このような仕事を専門で行う人を高い賃金を支払う正社員ではなく、アルバイトや派遣として雇用することも見られます

当面はこの傾向が継続することが考えられるので、税理士事務所での実務経験者が今後もアルバイトとして雇用されることもあると考えられます。しかし、アルバイトの求人の中でもパターンがいくつかあり、今後のキャリアに繋がる経験が積めなかったり、キャリアアップに不利なものや役に立たないものもあるため注意しましょう

税理士事務所のアルバイト業務

税理士事務所のアルバイトの求人は税理士をサポートする税理士補助の仕事内容となります。税理士事務所では、税理士が行うことができる独占業務の他に、税理士資格が無くてもできる補助業務がありますので、資格を持っていないアルバイトとして働く場合は、補助業務を担うことになります

内勤として税理士事務所の中で記帳代行を中心とした業務を任せられ、地味な仕事も多いですが、税理士として働く上では基礎業務になりますので、経験しておくべき仕事と言えるでしょう。また、一般企業の経理代行もアルバイトで任される場合もあります。内勤のアルバイトは他の正社員と比べ、残業が多くありませんので、税理士を目指す受験生にとっては働きやすい環境と言えるでしょう

また、アルバイトであっても、顧問先への巡回業務や申告書の作成まで任されるケースもあります。顧問先を直接相手にする業務内容なので、内勤スタッフよりも仕事の負担が多くなり残業時間も多くなる傾向にありますが、経験という面では内勤よりもプラスに働きます。

税理士事務所でアルバイトをする人はどんな人?

では、実際に税理士事務所でアルバイトをするのはどのような人たちなのでしょうか。

税理士受験生

税理士試験受験生は、税理士補助として実務経験を積みながら税理士法人でアルバイトをすることがあります。アルバイトとしての就業の場合、就業時間を柔軟に設定することができるケースが多いため予備校に通う時間や、独学で勉強をする時間をを確保することができるのがメリットです。
また、先に述べたように税理士事務所でのアルバイトは税理士登録の実務経験として認められますので、効率よく税理士資格を獲りたい方におすすめです。

公認会計士受験生

税理士試験受験生に比べると数が少ないですが、公認会計士の受験生が税理士事務所でアルバイトを行うこともあります。税理士事務所での業務は、大きく会計業務という括りで会計士の仕事と被る部分があるので、会計士受験生の学生が受験費用を稼ぐ目的などで働くことができます。

主婦の方

主婦の方もパート・アルバイトという形で税理士事務所で働くことがあります。簿記の資格や、税理士事務所での就業経験があり、税理士補助として活躍される主婦スタッフの方が多い傾向にあります。

税理士事務所にアルバイトとして働くメリット

実務経験があると就職に有利

実際に税理士の試験に合格してから就職するときには、実務経験があったほうが有利になります。試験合格後に税理士としての仕事をするためには、2年の実務経験が必要とされ、そのために就職する必要があるのですが、実務未経験だと苦労するかもしれません。

なぜなら、どの税理士事務所も、実務経験のある人を採用したいと考えているからです。そこで、アルバイトであっても事前に税理士事務所でアルバイトをしていれば、実務経験として認められるため有利と言えます。アルバイトとして働きながら税理士試験にも無事合格できれば、スムーズに正社員として採用されるでしょう。

税理士登録に必要な実務経験の内容について、詳しくはこちらのコラムでもご紹介していますので、あわせてご覧ください。

アルバイトも実務経験としてカウントされる

税理士資格を得るために必要とされる2年の実務経験は、雇用形態がアルバイトであっても認められます。税理士の実務経験で重視されるのは、雇用形態ではなく業務内容ですので、基本的には簿記会計に関する知識を活用する仕事が実務経験の要件となっています。

単に税理士事務所や会計士事務所で働いた経験があれば、実務経験にカウントされるわけではないですので、アルバイトを探す際には業務内容にしっかりと注意しましょう

税理士試験の勉強と両立できる

1.事務所は繁忙期と閑散期がある

税理士試験を目指しながらアルバイトをするのは大変だと考える人がいるかもしれません。この点に関しては、事務所の業務は一年のうちで繁忙期と閑散期がはっきりしています。基本的に11月から5月あたりまでが忙しく、6月から10月あたりまではわりと時間にゆとりがある期間です。そして、税理士試験は8月に行われます。したがって、繁忙期のみ事務所でアルバイトをして試験の直前は、勉強に集中するという方法があります。勉強と仕事を両立するためのスケジュールを立てやすいのです。

2.短期間のアルバイトもある

税理士のアルバイトのなかには、短期間だけ募集しているアルバイトがあります。アルバイトで忙しくて試験勉強に支障が出るのではないかと恐れている人は、短期間のアルバイトに注目してみましょう。アルバイトであれば、週に数日だけ勤務したり、時短勤務したりすることも可能です。柔軟な働き方を認めてくれるところが多いため、相談してみるとよいでしょう。

3.生活費などを稼げる

税理士を目指している間も、当然、生活をする必要があります。家賃や食費などの費用が発生するため、何かとお金がかかります。親の支援を受けながら税理士を目指している人もいるとは思いますが、生活のために多少のお金を稼がないといけないという人は多いでしょう。アルバイトをすれば、生活費を稼ぎながら資格の勉強ができます。また、アルバイトをすることが勉強の気晴らしにもなるでしょう

税務のプロと一緒に働ける

1.税理士の仕事を近くで学べる

事務所でアルバイトをすれば、税理士など専門家と一緒に仕事をすることができます。そばでプロが働く姿を見ることによって、さまざまなことを学べるでしょう。将来、自分が税理士としてどのように働くことになるのか、想像できるようになります。実際にプロの業務を目の当たりにすることで、税理士試験の勉強で学んでいることが、現場でどのように役立てられているのかわかるのは、とても参考になるでしょう

2.税理士試験のアドバイスをもらえる

税理士と働くことができれば、さまざまな話を聞く機会を得られます。たとえば、先輩から税理士試験のポイントについてアドバイスをもらえるかもしれません。税理士を目指していると、いろいろと不安や悩みが生じるものです。それらを実際に試験に合格した税理士に質問すれば、解決できるかもしれません。頼りになる先輩税理士と知り合いになれるチャンスがあるのは、事務所でアルバイトをする大きなメリットです。

税務のプロと一緒に働ける

税理士事務所でのアルバイトの注意点

勉強をおろそかにしない

事務所でアルバイトをするのは、あくまでも税理士試験に合格するためのものです。試験で合格することが本来の目的であることを忘れないようにしましょう。アルバイトをしていると、仕事が楽しくなって熱中してしまうケースがあります。あるいは、アルバイトのシフトを入れすぎてしまい、忙しく働いて税理士の勉強をする時間がなくなってしまう可能性もあります。それでは本末転倒といえるでしょう。あくまでも勉強がメインであることを忘れないようにして、アルバイトと勉強のバランスには注意しましょう

仕事内容に注目する

税理士事務所におけるアルバイトでは、さまざまな仕事を任せられることになります。事務所での仕事は、日々の記帳や決算業務を行い、顧問先に月次巡回をするといった内容です。月次巡回や申告書の作成までアルバイトに任せるところもあれば、記帳代行の仕事がメインのところもあります。

より専門的なのは月次巡回などを任せられるアルバイトであり、将来のキャリア形成にとってはこちらが有利です。実際にクライアントと接することができ、よい経験となるでしょう。将来、就職するときには即戦力として期待されます。ただし、試験勉強をするためにあまり忙しくアルバイトをしたくないならば、記帳代行が中心の業務のほうがよいでしょう。アルバイトをする上で自分が何を重視するのかをよく考えて、アルバイトの仕事内容に注目するとよいです。

まとめ

以上、税理士を目指しながら税理士事務所でアルバイトとして実務経験をすることのメリットを紹介しました。あくまでも税理士受験生の場合、本業は勉強ですが、上記でご説明したように税理士事務所でアルバイトすることにより、勉強にも将来のキャリアにもプラスになることが多々あります

税理士試験の学習に専念するメリットとしては、仕事をする時間を学習するために充てられるので、学習に100%打ち込めるし、最終的に税理士試験に合格する可能性が大きくなります。しかし、長時間税理士試験の学習に専念し続けるのはリスクがあります。

基本的に、若い人であれば1年間~2年間税理士試験の学習に専念しても、この後の転職先は探しやすいでしょう。しかし、30代の後半以降の人で特に専門スキル・経歴が少ない人については、若い人よりも税理士試験の学習に専念するリスクが大きくなるため、実務から長期間離れることのデメリットも考慮しながら学習に専念するかどうかを考える必要があり、そんなときにアルバイトとして働くというのも一つの有効な選択肢になりますので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事を書いたライター

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