
働き方改革による業務効率改善の一環として、アウトソーシングを検討する会社が増えています。アウトソーシングでは、「業務請負」や「業務委託」という意味で使用されますが、人によって違うケースが散見されます。
今回は、業務委託の意味とメリット・デメリット、「業務請負」「業務委託」の違いについて解説します。
業務請負と業務委託との最大の違いは、業務請負が「完成物や成果」に対して報酬が支払われるのに対し、業務委託は成果には関係なく「実際に行った業務」に対して報酬が支払われることです。
業務請負の場合は、業務に多くの時間を費やしても成果が上がらなければ報酬はないか、減額されるのに対し、業務委託の場合は一定の時間仕事をすれば一定の業務を行ったとみなされるので成果に関係なく報酬を受けることができます。
業務請負とは、アウトソーシングの1種で「請負契約」により成立します。請負契約の特長は下記の通りです。
業務委託は、「委任契約」や「準委任契約」により成立します。委任契約の内容は「法律行為」ですが、準委任は法律行為以外の行為です。業務委託の特長は下記の通りです。
アウトソーシング業務で業務の発注者と受任者が結ぶ契約について、民法では「請負契約」「委任契約」「純委任契約」の3つの契約形態を定めています。
広い意味で業務委託は、「請負契約」による業務請負と、「委任契約」や「準委任契約」による業務委任に分けることができます。
しかし、民法の条文では「委任」ではなく「委託」という言葉が使用されているため、業務委任は業務委託と呼ばれることが一般的です。
すこし紛らわしいですが、今回の記事では「請負契約」によるものを業務請負、「委任契約」や「準委任契約」によるものを業務委託、と定義して解説していきます。
ここでは、業務請負を
のそれぞれのメリット・デメリットを解説していきます。
やはり、1番のメリットといえるのは、自社で出来ない業務を行ってもらえるところではないでしょうか。
コストが軽減できるのもそうですが、会社規模になってくると、この業務だけやってほしいなどということがあるので、その業務を任せることで安心して他の業務を行うことができます。
進捗状況が確認できづらく、連携が取れずに期限遅れとなってしまうリスクがあります。
自社の社員ではないので、すぐに連絡が取りづらいのはデメリットでしょう。
依頼されているということは、自社の得意領域で仕事ができているということです。
出来ないことや苦手なことで任されるようなことは少ないため、どんどん仕事を進めることができます。
個人の場合には特にデメリットが多く、そのような依頼を多く受けて仕事をしている場合、成果を出していないときには収入は出ず、そういった依頼を適宜探してこないといけません。**
収入が安定しないのはデメリットといえるでしょう。**
依頼するときの注意点としては主に以下の3点が挙げられます。
どれも重要なので、一つ一つ見ていきましょう。
実際に委託したい内容を契約の際に決めて置かないと、その規約以上のことは依頼を受ける側はする必要がありません。
そのため、依頼する側がやってほしいことでも、規約に書いていないからやらなくてよいといわれてしまう可能性があるので注意しましょう。
また、同じ理由で、請負を依頼する場合も事前に期日を決めておく必要があります。
契約上のトラブルがあった際の対処法をあらかじめ用意することは大切です。
トラブルでなくても、どの条件が達成されたら契約解除する、または契約更新するなどをあらかじめ決めておくことで、どちらの立場も明白となり関係が良好になるといえます。
依頼するときには、「再委託の可否」「再委託する場合に満たすべき条件」「再委託の際に生じた損害の賠償を求める旨」なども決めておくべき必要があります。
依頼する側は、依頼先の技術を見込んで依頼しているわけなので、再委託されてしまうと、思っていた成果が得られない場合があります。また、情報漏洩のリスクも上がってしまいます。
業務請負において、発注者が業務手順や方法を管理したり指示してないかチェックされる理由は、偽装請負の問題があります。
請負業者は人の派遣のみを行い、発注者が業務指示をするという派遣労働と変わらない状況にもかかわらず業務請負をしている状態を偽装請負といいます。
偽装請負が生まれる原因は、派遣社員と異なり、請負労働者には労働基準法が適用されず社会保険料や福利厚生の負担も不要であるため、請負業者にとって請負労働者は低コストの労働力であるからです。
偽装請負は違法行為なので、業務請負を利用する企業は、請負契約の内容が遵守されているかチェックする必要があります。
一般的に「請負契約」によるものを業務請負、「委任契約」や「準委任契約」によるものを業務委託といいます。
業務請負と業務委託との最大の違いは、業務請負は「完成物や成果」に対して報酬が支払われるのに対し、業務委託は「実際に行った業務」に対して報酬が支払われることです。
業務請負には、依頼する側、依頼される側ともにさまざまなメリット・デメリットがあるので、お互いに請負契約の内容を理解したうえで制度を有効活用しましょう。