近年ではジョブローテーション制度を利用する企業もある一方で、廃止する企業も見られます。ジョブローテーションには適している会社と適していない会社があり、職種によって導入の判断をすることが大切です。今回はジョブローテーションを廃止する企業の理由などについて詳しく解説をしていきます。
ジョブローテーションとは、様々な部署に社員を移動させて、広い範囲にわたって業務知識を学ばせる制度のことを指しています。
ジョブローテーションを活用している日本企業は多数あり、目的は社員の人材育成と組織の活性化になります。
メリットも多い反面、適切な導入をできていないとリスクを抱えることもありますので導入には注意が必要です。
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ジョブローテーションは、社員に様々なスキルを身に付けてもらうことを目的とする制度ですが、「浅く広く」の知識は必要としない企業もあり、かつては導入していても最近では廃止している企業も見られます。
ここでは、ジョブローテーションが廃止される理由について解説をしていきましょう。
ジョブローテーションのデメリットは、専門性の高いスキルを身につけにくい点です。
一つの部署に長くいられないため、「何でもできるけれど深い知識はあまりない」社員になってしまう恐れがあります。
近年の転職市場では、同じ仕事を長く続けている人の方が、実務の習熟が高く、専門性は高いと評価されます。
最近では、スペシャリストとしての社員を重宝する企業も多くなり、ジョブローテーションを廃止し始めた企業も見られます。
全く関連性のない違う部署に異動してしまうと、今までに培ったスキルや経験がリセットされてしまう恐れもあります。
たとえば、営業と事務で必要なスキルは、基本的には全く異なります。これは容易に想像がつくのではないでしょうか?
営業を3年経験した後に、事務に異動して5年が経過したとします。営業の経験は5年前では、スキルも知識も忘れている可能性は高いです。
現在、配属されている部署で実績を積み、これからもっと頑張ろうと思った矢先に移動命令が出ては、せっかくのモチベーションが下がってしまいます。
まるで会社に邪魔されてしまったように感じ、会社に対して愛着を感じなくなってしまい、退職を考えてしまう人も中にはいるかもしれません。
特に専門性の高いスキルを身につけてスペシャリストになろうと考えていた人の場合、その可能性は高いでしょう。
会社から自分が納得のいかないジョブローテーションを切り出された場合、断る方法を解説していきます。
ジョブローテーションを断りたいときは、まずは直属の上司に相談をしてみましょう。上司によっては親身になって相談に乗ってくれて、さらに上の人事部門に話を通してくれるかもしれません。
ただ、嫌だからという理由ではなく、明確な理由を伝えて話すことがポイントです。
直属の上司に相談しても上手くいなかいときは、思い切って人事担当者に相談してみましょう。
ただし、今後の出世に影響がある場合もありますから、ジョブローテーションを断りたい理由を相手が納得行くようにきちんと説明しなくては上手く行きません。
今回は「ジョブローテーション廃止」について詳しく解説をしていきました。
ジョブローテーションは一見、社員のためになりそうな制度ですが、近年ではワークライフバランスを重視する若い社員が多くなり、ただ仕事をして給料だけもらえればいいという時代ではありません。
社員が働いていくうえで生きがいも重ねられる企業こそが、これからの時代に活躍できる優良企業となるでしょう。
企業がジョブローテーションを導入する際には、自社の会社理念や方針に合っているかどうかの判断が必要となります。