士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

ジョブローテーションに成功した企業事例とは?制度内容も解説します!

HUPRO 編集部
ジョブローテーションに成功した企業事例とは?制度内容も解説します!

ジョブローテーションとは社員を様々な部署に異動させ、色々な業務に従事してもらう制度です。新卒の人材研修などで、大企業を中心に実施されています。
今回は、ジョブローテーションに成功した企業の事例や制度内容、導入した際のメリットなどについて詳しく解説をしていきます。

ジョブローテーションとは?

ジョブローテーションとは、職場や職種を異動して様々な経験を積んでいくシステムのことを指しています。

近年ではジョブローテーションを積極的に活用している日本企業も多数見られており、多種多様なスキルを身に着けた従業員を多く輩出しているのです。

《関連記事》

ジョブローテーションをする3つの目的

企業がジョブローテーションをする目的は、社員を成長させるためです。
代表的な3つの目的について解説をしていきましょう。

目的①:優秀な人材を育てる

ジョブローテーションの第一の目的は、優秀な人材を育てることです。
企業内のあらゆる職種や様々な部署を経験させて、幅広い分野の仕事ができる社員を育成します。

新卒社員の入社後に、ジョブローテーションで様々な業務に取り組ませるのも、社員それぞれの才能や希望を引き出すために行われることが多いのでしょう。

目的②:企業内のバランスを保つ

第二の目的は企業内のバランスを保つことです。
大企業になるほど多種多様の部署や業務がありますが、社員にジョブローテーションをさせることによって、社内全体のワークバランスを見直すきっかけにもなります。

例えば所属する部署によって、仕事の量や求められるレベルなどが同じ会社でも全然違っているものです。

社員が様々な部署で業務をこなしていくうちに、企業の現状が全体的につかめるようになっていきます。

目的③:業務の共有化

第三の目的は業務を共有化することです。
一人の社員に決まった業務を任せっぱなしにしていると、その社員の負担は大きくなる一方で、その社員が休んだ時や急に退職してしまった際には、会社の業務がストップしてしまいます。

また、あまりにも負担が大きくなってしまうと、心の病を引き起こすことにもなりかねません。

ジョブローテーションは様々な社員が業務を共有することで、従業員一人ひとりの負担を減らし、退職などのリスクを軽減することに非常に役立っている方法です。

ジョブローテーションのメリット

ジョブローテーションを活用すると様々なメリットが得られます。
特に大きなメリットを3つ、ご紹介していきましょう。

メリット①社員一人一人にマッチした人事配置が可能

ジョブローテーションを活用するメリットの一つとして、社員一人一人にマッチした人事配置ができるようになります。

企業側は、社員に多種多様な部署や業務を経験させながら、本人の意向と適性を見定めることが可能になり、その人にマッチした業務に配属させられるようになるのです。

社員の才能を引き出すことに成功すれば、職場のモチベーションアップにもつながっていき、業績が上がることも期待できます。

メリット②社内の雰囲気が一体化する

2つ目の大きなメリットは、社内の雰囲気が一体化することです。
人が動くことによって社内が活性化し、アイデアも出やすい環境となり、風通しの良い企業へと変わっていくことができるでしょう。

また、業務を共有し合うことにより、社員同士のコミュニケーションが深まり、和気あいあいとした職場でストレスなく社員が仕事に打ち込める効果も見られます。

メリット③将来の幹部候補を育てられる

3つ目のメリットは、将来の幹部候補を育てられることです。

将来の幹部候補を育てていくには、大変な手間と労力が必要となりますが、ジョブローテーションを社員に経験させることによって、効率よく育成ができるのです。
日本の企業の風潮として幹部になる際には、現場をよく知っていることや全体的に業務内容を把握しておいた方が有利になる傾向があります。

会社の将来を担っていく人材に様々な経験をさせることにより、優秀な幹部として活躍してくれる可能性が見えてくるのです。

メリット③将来の幹部候補を育てられる

ジョブローテーションに成功している企業事例

日本企業でもジョブローテーションを活用している会社は多数あります。
ここでは、成功している日本企業の事例をご紹介していきましょう。

企業事例①:ヤマト運輸株式会社

ヤマト運輸株式会社は、宅急便などの物流業を行う大企業ですが、地方などでも多くの配送拠点を持っています。

ジョブローテーションを導入した主な目的は、会社全体の業務の流れを理解してもらうことです。
実際の配送事業の現場を経験することで、自分が行っている業務が、企業全体の中でどういう働きをしているかなどについて、理解を深められるようになります。

ジョブローテーションの内容は、主に新入社員を対象として実施され、入社してからの2年間は、集配や配送作業、営業といった現場業務を体験することです。

現場での経験後、本配属となった部署で職務に就き、その後もジョブローテーションを通じて得られた今後のキャリアプランなどについて、会社と話し合える制度も設置されています。

その結果、若手社員がモチベーション向上させながら、キャリアを順調に形成していくことに成功しました。

企業事例②:富士フイルムホールディングス株式会社

富士フイルムホールディングス株式会社は、カメラや医薬品などの開発、製造を行う有名メーカーです。

若手社員の育成や組織の活性化を目的としてジョブローテーションを導入しました。

ジョブローテーションの内容は、新入社員をスペシャリストとして育成するため、3年間の研修制度を用意しました。

自発的に自分を磨くことを第一の目標とし、ビジネスマナーや業務に関する専門知識、スキルの向上など、優秀な社員となるべく必要なことを学んでいくのです。
研修終了後は配属先の部署で、自分に任された業務を適切にこなしていける実力が身につくようになりました。

実際に業務を体験することで、社員の才能を引き出すことに成功している事例です。

企業事例③:双日株式会社

双日株式会社は、自動車やプラント、航空、医療インフラ、エネルギーなど多彩な分野を手がけている総合商社です。

ジョブローテーションの内容は、新卒入社から10年間という期間を設定して社員の育成プログラムを実施するというもので、長期間にわたって取り組むシステムとなっています。

社員が様々な部署の業務を体験することで、幅広い知識を得られることが目的です。

10年という長い期間設定は日本企業でも珍しく、長期的な視野で組織の活性化や人材育成にじっくりと取り組んでいる企業ともいえます。

優秀な人材ほど、所属部署のマネージャーが手放さないでおくというようなしがらみも解消でき、企業の活性化に成功することが実現できた企業です。

ジョブローテーションを導入する際のポイント

ジョブローテーションを効率よく活用するには、いくつかのポイントがあります。
ここでは、導入する際に重要となるポイントを3点抑えておきましょう。

ポイント①:自社の経営方針や必要とする人材像を明確にする

効率よくジョブローテーションを実施するには、まず、自社の経営方針や必要とする人材像を明確にすることです。

そして、その方針や必要となる人材像にふさわしい社員へと育てるためのカリキュラムを設計し、様々な分野で足りない要素を勉強してもらいましょう。

ジョブローテーションの流れとしては、下記の通りになります。

1. 社員へキャリアプランや希望などをリサーチ
2. 異動する社員を決めて配属先を決める
3. 実施期間や目標を決める
4. 対象者と配属先へ配属する旨の連絡
5. ジョブローテーション実施中は定期的に現状を確認する

ポイント②:導入する際は社員に周知をする

次に大事な点は、社員全員に向けて「ジョブローテーションをなぜ行うのか」ということを明確に周知しておくことです。

ジョブローテーションは会社により期間は異なりますが、会社がどのような理念で、その社員を様々な部署に異動させているのかを伝えるようにしましょう。

「なぜ、こんなに移動が続くのか」ということを社員自身がマイナス感情で思っていると、仕事のパフォーマンスは上がりません。

「このような目的で自分は今この職務についている」ということを理解して納得していれば、真剣に仕事に打ち込むようになります。

まとめ

今回は「ジョブローテーションの成功事例」について詳しく解説をしていきました。ジョブローテーションを上手く活用している企業は、社員の育成や企業の活性化に成功し、ひいては業績の向上も実現しています。

これからは、企業が社員に対して一方的に職務を押し付ける時代ではなく、社員一人一人の適性や意向に沿いながら、効率的に人材を配置していく風潮が見られています。

ジョブローテーションを通して、風通しの良い企業として生まれ変わって行きましょう。

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINEを運営している株式会社ヒュープロ編集部です!士業や管理部門に携わる方向けの仕事やキャリアに関するコラムや、日常業務で使える知識から、士業事務所・管理部門で働く方へのインタビューまで、ここでしか読めない記事を配信。
カテゴリ:コラム・学び

おすすめの記事