原価計算の仕方には、主に3種類の方法があります。それぞれの原価計算の特徴や目的を知った上で活用してみることが必要です。
簿記2級では、工業簿記でこれらの原価計算の種類について学びます。原価計算は企業利益を考えていく上でとても大事なもので、原価自体をどう捉えていくのかを知ることも大切です。それぞれの原価計算について紹介し、種類と特徴、目的を見ていきます。
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原価計算について、通常は、実際にその製品にかかった費用を元にして原価として計算します。それを実際原価計算と言います。
実際原価計算以外にも、異なる2種類の計算もありますので、詳しく特徴と目的をご紹介します。
実際にかかった費用を原価として計上して計算する方法です。「全部原価計算」とも呼ばれることもあり、一般的にはこちらを使うことが多いでしょう。財務諸表に計上する場合の正式な原価は、実際原価となります。
それに対して、標準原価計算は目標原価ともいうべきものです。目安の原価を計算し、利益、粗利を算出できるようにするものです。
実際原価計算は実際の費用で行い、目安の標準原価計算とはもちろん差異が生まれます。
それを分析することでコストダウンを図ったり、生産性を上げて原価を下げたりする目的で、標準原価計算が使われます。
標準単価は実際の原価ではありませんので、最初からその製品1単位の標準原価が計算できるのが特徴です。これから完成する完成品の原価を計算したり、まだ完成していない月末仕掛品の原価計算に使用したりすることが可能です。
これによって粗利を早く計算できるようになるのが、企業にとってはメリットと言えます。
直接原価計算は、実際原価を固定費と変動費に分けて計算する原価計算方法です。
製品の採算性を見る際に、固定費と変動費で分けて考えて分析したい場合に使います。どのような原価になっているのかを細かく考える際に役立ちます。
原価を下げることが可能なのか、変動費を下げることで原価を削減できるのかを考えられるようになります。
さらに、損益分岐点を考える場合にも役立ちます。
原価計算は、計算の方法としてさらに他の種類の計算方法もあります。
生産する方法によってもいろいろな原価計算の方法を使い分けることができます。それぞれの目的で使われていますので、特徴を知ってみませんか。
個別原価計算は、顧客から発注された商品を個別に生産する場合に、個々に製品ごとに計算します。特別に個別発注された場合に、それだけを分けて個別に原価計算します。
他の製品とは別に特別に生産するものを詳しく原価計算したい場合に使います。それで採算が合うかどうかの基準にもなるでしょう。
総合原価計算は、製品を大量生産する場合にその期間にかかった費用を、その期間に製造した数で割って製品原価とする方法です。その期間全体でかかった費用でまとめて計算するのが特徴です。
長く生産している最中に、かかる費用が増減することもあるでしょう。それでもその増減を含めた全体で、総合的に計算する方法となります。
長期的に大量のものを作る場合には、総合原価計算の方法を用いると、平均的な原価計算ができておすすめです。
個別原価計算と総合原価計算は、生産方法によって個別に原価計算するのか、総合的に原価計算するのかを使い分けるものと言えます。
原価の捉え方を部分的に捉えたり、全部で捉えたりということでも、2つの原価計算方法がありますので覚えておくといいでしょう。
製造にかかった費用の一部だけを費用として扱い計算するのが、部分原価計算です。企業内でその部分の業績を管理するために使います。内部で管理する目的のために使われる原価計算方法です。
それぞれの部分の費用、粗利、生産性を追求するには便利な原価計算となります。
製造にかかった費用を全部原価として計算する方法が全部原価計算です。通常はこちらで原価計算をすることになります。
きちんとした財務諸表に計上する原価は、全部原価計算となり、部分原価計算は社内だけで使うものです。
原価計算は主に実際原価計算、標準原価計算、直接原価計算で、それぞれに計算の目的がありますので、目的に応じて使うことで企業での粗利計算や損益計算に役立てることができます。
それ以外にも生産する物、生産方法によって2種類の個別原価計算、総合原価計算があります。
また、原価の捉え方を変えることで部分原価計算をしたり、全部原価計算をしたりする方法が2種類あります。
それぞれに目的に応じて原価計算を使い分けるといいでしょう。原価計算の方法をいろいろ覚えることで、企業内で役立てることができます。いろいろな原価計算で利益分析ができるようになります。工業簿記では、これらの原価計算に慣れる必要がありますので、しっかり種類と特徴、目的などを覚えましょう。