コロナ渦によって、働く在宅勤務の広がりや、オフィスの縮小により、フリーアドレスに踏み切る企業が増えています。しかし、いきなりフリーアドレスになった従業員からしてみれば、フリーアドレスに対する不満もあるようです。今回はフリーアドレスにまつわる面倒くささと、その対応について解説します。
これまでの固定席とは異なり、フリーアドレスの場合は机の引き出しが使えません。
また、机に文房具など普段使う備品を置くこともできないので、仕事に必要な道具と書類、そしてPCと携帯電話を持って、席の移動をおこないます。
机に何もない状態なので、オフィスがとてもきれいになるというメリットはありますが、毎回荷物の出し入れは大変面倒です。
■対応
ロッカーだけじゃなく、オフィス内に個人用のキャビネなども作り、マニュアルや文具などは収納しておけるようにしましょう。
今回のコロナ禍の影響でなし崩しにフリーアドレスを導入した場合は、確かにオフィスの縮小には寄与しているのですが、在宅勤務との併用で出社が面倒になっている社員にさらに「どの席に座るべきか」という決断の面倒くささを与えているともいえるでしょう。
さらに、席を決めたら「そこはいつも私が座ってるので」と、フリーアドレスの意味のないマイルールを持ち込まれたりして、うんざりといったこともあります。
社内の人間関係が必ずしも良好とはいえない部門の場合、毎日の席を決めるのも相当な面倒くささを伴うでしょう。
また、表面化していないセクハラなどのハラスメント問題もあり、
「あの人がいる(から見える)からそこには座りたくない」といったことも。
結局は席が固定化してしまい、なし崩しになってしまうケースもよくあります。
■対応
集中する業務に取りかかれるようパーソナルスペースを設けていたり、ちょっとした雑談やミーティングなどがおこなえるコミュニケーションスペースを作っていたりと、用途別の席を用意しており、ゾーニングをおこないましょう。
フリーアドレスの場合、電源との距離やタップ数、採光など、自分にとって使い心地の良い席というのが、どうしても出てきます。
例えば、別の席だといちいち延長コードを用意しなくてはいけないとか、椅子の座り心地が悪いといった「ちょっとしたこだわり」が生まれてしまうのは避けられません、
業務効率を上げるためにも、自分が気に入った席で仕事がしたいと思うのは当然のことです。しかし、フリーアドレスの場合は、原則として毎日座る席を替えることになるので、違う席になったときのフラストレーションがたまってしまいます。
いっそ固定席なら諦めもつくのでしょうが、より良い席を考えるという事にリソースを割くのが面倒ということがあります。
■対応
席ごとの環境があまりにも違うようであれば、総務に申し出る
自席の準備が効率化できるよう、必要な荷物をひとまとめにする
フリーアドレスの場合、座席表が作成できないので、どこに誰がいるかということがわからなくなってしまいます。
ちょっとしたことを聞きたい場合でも、事前にチャットなどでどこにいるか確認しにに向かうという時間と作業のロスはかなり大きなものです。
■対応
どの席に誰が着席しているかを、使用しているPCなどのデータから割り出すシステムなどを導入する
オフィスには様々な体格の人がいますので、オフィスチェアーの高さなどは自分で調整したりしています。
役職によって椅子が違ったりする場合もあるので、個人席の場合は、フロアの引っ越しの度に椅子ごと移動していたりするのは珍しくありません。
しかし、フリーアドレスで毎回席を替わるとなると、椅子の高さ調整からはじめることになり、大変面倒です。
■対応
自分のチェアを占有するわけにはいかないので、椅子の調整について素早くできるようになるしかないかも・・・・・・
新型コロナウイルス感染を避けるためには、席を移る場合はアルコールティッシュなどでキーボードや机を拭いて消毒しておくのが望ましいです。
しかし、フリーアドレスの場合は、毎日の着席時と離席時の消毒をしなくてはなりません。
自分がオフィス退出時に消毒していても、翌日座った席の人が前日消毒しているとは限らないからです。
■対応
総務より消毒グッズなどを配布し、自席のワイプなどを徹底する
ノートPCを貸与していないオフィスの場合は、デスクトップPCを使い回すわけですが、会社によってはPCでソフト導入などを管理しているところもあります。
つまり、移動した先のPCを初めて使う場合、自分を使用者として登録して、ネットワークプリンタの設定からはじまり、自分が普段使っているソフトなどが未導入の場合、システム担当者に連絡して、ソフトの導入からおこなわなければいけなかったり、新しいPCを導入した場合の設定周りを一通りおこなう必要があったりするのです。
■対応
事前に個人別のノートPCを導入しておく
クラウド環境を活用した在宅勤務や、フリーアドレス導入によるオフィスの生産性向上など、企業は新しいことに取り組んでいますが、逆にその流れが面倒くささを助長し、かえって生産性を下げてしまうことにつながるケースもあります。
生産性を上げるためには、新しい取り組みを導入するとともに、古い業務のやり方についても見直していく必要があるでしょう。