アメリカでの税理士資格「米国税理士(Enrolled Agent:EA)」をご存じですか?アメリカの税務申告を代行するための資格ですが、日本の税理士資格と比べると難易度が低いため、米国公認会計士(USCPA)は敷居が高いと思っている方にもおすすめできる資格です。国際税務の専門家として転職アピールにも使うことができます。今回は米国税理士(EA)の試験概要と合格までの勉強時間について解説します。
まず、米国税理士の試験がどのようにおこなわれるのかを見ていきましょう。
米国税理士試験(EA試験:IRS Special Enrollment Examination)は3科目から構成されています。
Part 1:Individuals(連邦個人所得税法および連邦贈与税法・相続税法)
Part 2:Businesses(事業関連の連邦税法)
Part 3:Representation, Practices and Procedures(税務代理業務および諸手続き)
各科目100問・3.5時間
受験料:各科目 $185 (2021年4月現在)
受験はどの科目からでもかまいません。
日本の税理士試験と同様に科目合格制を取っていますが、科目合格は終身ではなく2年という期限付きです。
試験は4択のみで記述はありません。
EA試験は年に4回おこなわれます。
試験は年に4回(6月・8月・11月・2月)
場所は東京・御茶ノ水のプロメトリックテストセンター(アメリカの多くの資格試験を扱っているセンター)のみです。地方在住の場合は受験のために出向く必要があります。
試験日は、税理士試験のように1日ではなく、2週間ほどの日程で分散して受験が可能なので、自分の都合に合わせやすいです。
以下のプロメトリックセンターのサイトから、受験の予約をおこないます。
IRS特別入学試験|PROMETRIC
受験は現地のPCで行い、その場で結果が確認可能です。
それでは、具体的に米国税理士の資格を得るための勉強時間やその方法を見ていきます。
EAの試験については、勉強にかかる時間は200~300時間と言われています。
これは、まっさらな状態からはじめた場合の勉強時間です。
EAの試験は英語で出題されます。しかし、難しい英文法はありません。大学レベルの英語力があれば勉強に差し支えないでしょう。
英語力が微妙という方は、文章を読解するのに時間がかかるため、その学習時間分がプラスされます。
もし、現在英語を使った仕事をしていて、英文を読むことに抵抗がなく、外国税務に携わっていて、米国の税法に知己があるのであれば、勉強時間は少なくて済むでしょう。
EAは受験者がそんなに多くないので、時間を無駄にしたくない方は予備校・通信講座での勉強がおすすめ。税理士や公認会計士の試験でも定評のあるTACが、EAのコースも用意しています。
米国税理士[EA] コース案内|資格の学校TAC
もちろん独学で勉強することも可能。実際にアメリカで受験生が使用しているEAのテキストを自分で取り寄せて、勉強することもできます。
代表的なものを2つ紹介しましょう。
こちらは、パートごとに分冊になっているテキスト。毎年ごとに更新されます。
こちらは、全部のパートが1冊にまとまっているテキストです。
● “EA Business Exam (First Series) ”|Amazon
しかし、アメリカの資格なのでテキストも全編英語。わかりにくいところなどについては、自力で調べる必要があります。
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