「リース取引」とは「リース会社が特定の設備や機械を購入し、それを一定期間、個人や企業に貸出す」という取引をいいます。設備や機械の借手である企業や個人事業主は、使用料としてリース料を貸手に支払います。
また、リース取引には「ファイナンスリース」と「オペレーティングリース」の2種類に分類されます。
今回は【税理士監修】のもと、リース取引の2種類のうち、「オペレーティングリース」についてメリットや会計処理を解説していきます。
オペレーティングリースとは、かんたんに言えば「モノを借りているだけ」の取引をいいます。リース資産は自分の所有物ではなく、貸手の所有物になります。借手は契約期間に応じてリース料を支払い、期間が終了したあとは貸手にリース資産を返却しなければなりません。
実際にモノを所有しているわけではないので、自分の資産として計上する必要はありません。また、リース資産が故障した場合には所有者である貸手が修理費用を負担することになります。
日常生活でいえば、レンタカーやレンタルビデオなどをイメージしてもらうと分かりやすいかと思います。
ファイナンスリースはオペレーティングリースとは事情が少し違ってきます。ファイナンスリース契約では、リース期間の途中において契約を解約することができず、また、故障した場合の修理費用は使用者である借手が負担することになります。
つまり、リースという契約ではありますが、その実態は「お金を借りて資産を購入し、その資産を使用しながら返済する」といえます。たとえば、ローンを組んで車を購入した場合をイメージすればいいでしょう。
ファイナンスリースは、リース料の総額がリース資産の時価を上回るのが一般的ですが、オペレーティングリースは、一般的にリース料の総額がリース資産の時価より低くなります。
リース期間についても、オペレーティングリースではリース期間を契約で自由に設定することができますが、他方、ファイナンスリースでは一般に法定耐用年数の60%~70%の期間を設定しなければなりません。
ファイナンスリースは、リース期間が終了した後に物件の所有権が借手に移転するか移転しないかで、「所有権移転ファイナンスリース」と「所有権移転外ファイナンスリース」に分類されます。
リースの対象となるものは幅広く、IT関連機器やコピー機、自動車、工作機械、機材、医療機器、建物、航空機など、ほぼすべての有形物がリース資産として取引されています。
ただし、オペレーティングリースの場合は設定に条件があります。リース期間終了後に、中古物件として値がついて取引できる市場があることが条件となり、また対象物件は汎用性がなければなりません。
オペレーティングリースを利用することのメリットは、以下のとおりです。
たとえば1年間という短い期間でのリース契約も可能であり、中途解約もできます。
リースの対象となる資産は、一般的に購入価額が多額となりやすく、自社で購入しようとすると資金面での問題が生じます。しかし、オペレーティングリースであれば月々の支払はリース料にみで固定されるので、費用負担が減ると考えられます。
オペレーティングリースの会計処理は、通常の賃貸借処理と同じ処理となります。つまり、契約または請求書通りに毎月、リース料支払いの仕訳をするだけなので、会計処理・税務処理の負担は軽減されることになります。
オペレーティングリースの会計処理について見ていきましょう。
オペレーティングは、実態として「契約期間のあいだ、リース会社から資産を借りている」という取引になるので、通常の賃貸借処理と同じ会計処理となり、たとえば120万円の車両を、1ヶ月10万円で12ヶ月リース契約をした場合、毎月のリース料支払い時に下記のような仕訳を起こします。リース契約開始時や決算時に特に仕訳をする必要はありません。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
リース料 | 10万円 | 現預金 | 10万円 |
今回は、リース取引のひとつであるオペレーティングリースについて解説しました。オペレーティングリースというと一見難しそうな印象を受けますが、単に事業のために一定期間モノを借りるだけのことと考えていいでしょう。
リース料の総額は、一般的に物件を買うより安く済むことが多く、さらに実質的に購入したとされる「ファイナンスリース」と比べても、リース料は安くなります。
借手から見ると、コストパフォーマンスの効果は多く、会計処理、税務処理も簡単に済みます。