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米国税理士は難しい?その難易度を詳しく解説!

HUPRO 編集部
米国税理士は難しい?その難易度を詳しく解説!

米国税理士とは英語でEnrolled Agent(EA)と呼ばれ、アメリカ合衆国内国歳入庁(Internal Revenue Service: IRS)が認可した米国の税理士のことを言います。日本においては、確定申告を自分で行う人も多くいますが、米国では確定申告を自分で行うことは稀で、米国税理士がそのほとんどを担っています。

米国籍の持つ人であれば、海外に住んでいたとしても、米国に税務申告をする義務があることから、米国税理士は、米国だけではなく世界中の様々な国においてニーズのある資格です。

米国税理士の試験に合格するだけで、資格欄に米国税理士(EA)と明記することができますし、科目合格だけでも採用担当者に十分なアピールとなることから、就職・転職にも有利となる資格と言えます。今回は、そんな米国税理士の難易度について詳しく解説していきます。

米国税理士試験の試験概要

米国税理士は、IRSから税務申告業務を行うことを認可された税理士です。米国税理士は、納税者に代わって IRS に対する税務関連業務を行うことを公的に認められた税務の専門家であるため、米国税理士となるためには、IRSが課す試験に合格しなければなりません。

18歳以上であれば試験を受けることができ、以下で説明するようにPCを使った試験となっていることから、日本に居ながら受験することもできます。ただし、試験会場は東京・御茶ノ水のプロメトリックテストセンターのみとなっているので注意が必要です。当然試験は英語で実施されます。

米国税理士の試験は、英語でIRS Special Enrollment Examinationと呼ばれ、

Part 1:Individuals(連邦個人所得税法および連邦贈与税法・相続税法)
Part 2:Businesses(事業関連の連邦税法)
Part 3:Representation, Practices and Procedures(税務代理業務および諸手続き)

という3科目によって構成されています。各科目の受験料は、2020年8月現在$182です。科目合格制が採用されているので、1つの科目に合格しておけば、合格日から起算して2年間にわたって試験が免除されます。

2020年5月1日から2021年2月28日の試験のスケジュールは以下のようになっています。試験科目毎に受験可能回数が決められており、各科目年間4回まで受験可能です。
図表1:米国税理士の試験スケジュール

米国税理士の試験スケジュール

出典:Prometric (2020)Providing License Examinations for the Internal Revenue Service (IRS)

各試験の問題数は100問となっており、PCを使って四肢択一形式(Multiple choice)の問題に解答していきます。各科目の試験時間は3.5時間となっていますが、第1問~第50問が解き終わった時点で試験時間とは別に15分の休憩が設けられています。

試験の採点は科目ごとに実施され、得点した点数に対して問題の難易度等を考慮し補正値であるスケールドスコアとして40から130ポイントに換算されます。各科目の合格ラインは105点程度となっているため、米国税理士試験は、できる限り問題を落とすことなく、確実に得点していく力が求められる試験であると言うことができます。

1.米国税理士試験の試験概要

米国税理士の難易度

日本の税理士試験と比較すると、米国税理士は決して難しい試験ではありません。試験は英語で実施されますが、難しい英文法は問われませんので、大学レベルの英語力があれば学習を開始することができます。学習時間の目安としては以下の表のようになります。

図表2:米国税理士試験合格に必要な勉強時間の目安

米国税理士試験合格に必要な勉強時間の目安

合計 220-280 時間 22-28 週間 16-20 週間
出典:How Long Does It Take to Become an Enrolled Agent?|Pass the EA Exam

この図表が示しているように、米国税理士の試験は約300時間程度の勉強すれば合格することが可能です。1週間あたり10時間勉強して全科目合格を目指す場合には、約7ヶ月程度の継続した勉強が必要です。

一方、1週間当たり15時間勉強して全科目合格を目指すような場合には約6ヶ月程度の継続した勉強が必要となります。もちろん、上で説明したように、米国税理士は科目合格制度が採用されているので、2年かけてそれぞれの試験パートを合格することも可能です。

 以下では、税国税理士の各試験パート別合格率を示します。
図表3:米国税理士の各試験パート別合格率

米国税理士の各試験パート別合格率

出典:How Long Does It Take to Become an Enrolled Agent?|Pass the EA Exam

一般に、米国税理士の試験は、米国における二大会計資格であるUSCPA(米国公認会計士)とUSMAA(米国管理会計士)と比較して難易度は優しいと考えられています。その理由は、米国税理士の試験範囲が、米国公認会計士(U.S.CPA)試験のTAXの範囲と内容が重複しており、より広範な試験範囲を勉強しなければならない米国公認会計士の方が当然合格難易度が高くなるからです。

上記の図表からもわかるように、米国税理士試験の各試験パート別合格率をみれば、米国税理士の試験はパート1がおよそ60%〜70%程度を推移しており、パート2は55%〜65%程度パート3は80%〜85%程度となっています。この図表からもわかるように、米国税理士試験は、1年度程度の勉強時間を確保してコツコツ勉強を重ねることで十分に合格を目指すことのできる資格であると言えます。

この記事を書いたライター

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