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米国税理士は難しい?その難易度を詳しく解説!

HUPRO 編集部
米国税理士は難しい?その難易度を詳しく解説!

EAとは日本でいう米国税理士です。
米国税理士の試験に合格するだけで、資格欄に米国税理士と明記することができますし、科目合格だけで十分なアピールとなることから、就職・転職にも有利となる資格です。
今回は、米国税理士の難易度について詳しく解説していきます。

米国税理士(EA)とは

Enrolled Agentを略してEAと呼ばれており、日本語では「米国税理士」と訳されます。米国のIRS(内国歳入庁)が認可する米国の国家資格です。内国歳入庁は、日本でいう国税庁に相当する機関で、アメリカの税制を管理しています。

米国の法律で、アメリカ人だけでなく永住者は、実際の居住地に関係なく常に米国居住者として認識され、国内外のどこに住んで所得を得たとしても、米国に所得の申告が義務付けられています。そのため、米国内だけではなく、日本でもそういった方々の税務申告での需要のある資格となっているのです。

日本ではまだなじみの薄い資格となっていますが、海外にクライアントを持つ会計事務所で働くことができたり、アメリカで税理士としても働けます。そのため、日本の企業でアメリカの税制に詳しい人材は、重宝されます。つまり、米国税理士は国境を越えて活躍できる機会と、キャリアの選択肢を広げる資格なのです。

米国税理士試験の試験概要

米国税理士は、IRSから税務申告業務を行うことを認可された税理士です。納税者に代わって IRS に対する税務関連業務を行うことを公的に認められた税務の専門家で、米国税理士となるためには、IRSが課す試験に合格しなければなりません。

18歳以上であれば試験を受けることができ、以下で説明するようにPCを使った試験となっていることから、日本に居ながら受験することもできます。ただし、試験会場は東京・御茶ノ水のプロメトリックテストセンターのみとなっているので注意が必要です。当然試験は英語で実施されます。

米国税理士の試験は、英語でIRS Special Enrollment Examinationと呼ばれ、

Part 1:Individuals(連邦個人所得税法および連邦贈与税法・相続税法)
Part 2:Businesses(事業関連の連邦税法)
Part 3:Representation, Practices and Procedures(税務代理業務および諸手続き)

という3科目によって構成されています。各科目の受験料は、2020年8月現在$182です。科目合格制が採用されているので、1つの科目に合格しておけば、合格日から起算して2年間にわたって試験が免除されます。

試験科目毎に受験可能回数が決められており、各科目年間4回まで受験可能です。

各試験の問題数は100問となっており、PCを使って四肢択一形式(Multiple choice)の問題に解答していきます。各科目の試験時間は3.5時間となっていますが、第1問~第50問が解き終わった時点で試験時間とは別に15分の休憩が設けられています。

試験の採点は科目ごとに実施され、得点した点数に対して問題の難易度等を考慮し補正値であるスケールドスコアとして40から130ポイントに換算されます。各科目の合格ラインは105点程度となっているため、米国税理士試験は、できる限り問題を落とすことなく、確実に得点していく力が求められる試験であると言うことができます。

1.米国税理士試験の試験概要

米国税理士の難易度

日本の税理士試験と比較すると、米国税理士は決して難しい試験ではありません。試験は英語で実施されますが、難しい英文法は問われませんので、大学レベルの英語力があれば問題ないでしょう。学習時間の目安としては以下の表のようになります。

図表1:米国税理士試験合格に必要な勉強時間の目安

米国税理士試験合格に必要な勉強時間の目安

合計 220-280 時間 22-28 週間 16-20 週間
出典:How Long Does It Take to Become an Enrolled Agent?|Pass the EA Exam

この図が示しているように、米国税理士の試験は約300時間程度の勉強すれば合格することが可能です。1週間あたり10時間勉強して全科目合格を目指す場合には、約7ヶ月程度の継続した勉強が必要です。

一方、1週間当たり15時間勉強して全科目合格を目指すような場合には約6ヶ月程度の継続した勉強が必要となります。もちろん、上で説明したように、米国税理士は科目合格制度が採用されているので、2年かけてそれぞれの試験パートを合格することも可能です。

 以下では、税国税理士の各試験パート別合格率を示します。
図表2:米国税理士の各試験パート別合格率

一般的に、米国税理士の試験は、米国における二大会計資格であるUSCPA(米国公認会計士)と比較して難易度は優しいと考えられています。その理由は、米国税理士の試験範囲が、米国公認会計士(USCPA)試験のTAXの範囲と内容が重複しており、より広範な試験範囲を勉強しなければならない米国公認会計士の方が当然合格難易度が高くなるからです。

上記の図表からもわかるように、米国税理士試験の各試験パート別合格率をみれば、米国税理士の試験はパート1がおよそ60%〜70%程度を推移しており、パート2は55%〜65%程度パート3は80%〜85%程度となっています。このように資格試験の中では比較的高い合格率であることから、米国税理士試験は1年度程度の勉強時間を確保してコツコツ勉強を重ねることで十分に合格を目指すことのできる資格であると言えます。

米国公認会計士(USCPA)との難易度の違い

USCPAとは、アメリカの公認会計士のことです。以下の表で簡単に比較してみました。

上記の表でも分かる通り、受験科目が違います。EAが3科目に対してUSCPAは4科目を勉強しなければなりません。EAはアメリカ内国歳入庁へ税務申告するのが主な目的なのに対して、USCPAはアメリカの会計基準に沿った会計監査、また税務業務も対応も目的のため、必然的に勉強科目が多くなっています。

合格率についても異なってきます。EAは科目合格制を取っていて、3科目別々に受験することが可能となっています。それに対して、USCPAは、一回の受験で4科目を既定の基準以上の点数を取らなければなりません。これによりEAは1科目ずつ段階を踏めるのに対し、USCPAは一度にすべての知識を詰め込まなければいけない点が難しいと言われています。

難易度として一番比較しやすいのが、合格に必要な平均勉強時間です。日本の税理士と公認会計士の関係と同じように、USCPAの資格を持っている人ならEAの行える業務内容を行うことができます。それに加えて、会計監査のような業務の試験内容が含まれるため、EAよりUSCPAの方が難易度が高いといえます。

日本の税理士試験との難易度の違い

日本の税理士とEA(米国税理士)の難易度や違いについて、以下の表にまとめてみました。

上記の表でも分かるように、受験科目は日本の税理士の方が多いです。日本の税理士試験の方が、より専門的な知識が必要になるイメージです。どちらの試験も科目合格制を取っていて、1回の受験ですべてに知識を詰め込まなくていい点が特徴となっています。

合格率では大きな違いがあります。科目ごとの合格率は、30%〜50%もの違いがあるのが分かります。日本人がEAを受けるとなると、英語の勉強も多少は必要になってくるため、そこのハードルはあると思いますが、税の問われる知識の深さでは、日本の税理士試験の方が難しいです。

合格に必要な勉強時間ですが、大幅に違うことが表を見てわかると思います。同じ税理士としても、日本とアメリカでは求められる業務内容が違っており、日本は税務全てを任されるイメージがあります。しかしEAは、税務のみの仕事をするよりも、税務知識を活かした仕事をする方が多いです。

それぞれの資格を目指すメリット

それぞれの資格について、独自のメリットをお伝えしていきます。

EA(米国税理士)

EAの資格のメリットは、比較的取得しやすい点です。4択問題で英語の能力も大学生レベルしか必要ありません。一方で、日本の企業において海外の税に知見のある人材が少ないため、転職などで一定のアドバンテージが見込めます。EAの受験資格は18歳以上という年齢制限のみであるため、今すぐに受験したい人やUSCPAを目指す過程での取得がオススメです。

USCPA(米国公認会計士)

USCPAの資格は、会計分野だけでなくITやビジネスの分野も試験範囲に含まれます。今後、会計業界はAI化が進むことが予測されており、IT知識に精通した人材が求められるようになるでしょう。よって今後よりニーズが高まってくると思われます。

また、日本企業では英語力の証明にもなります。USCPAの資格を取得するには、TOIEC約800点が必要といわれています。英語と会計知識の2つの能力がある証明となり、外資系企業やグローバル展開している企業・監査法人などでのニーズが高くなっています。

日本の税理士

日本の税理士資格は、日本の税理士・会計事務所で大きな需要があります。EAと合格に必要な勉強時間に差がありますが、日本の中ではニーズが高く、それに見合った見返りがあるでしょう。ここ最近では、税理士の高齢化が問題視されており、特に若手の税理士の需要が高まっています。

資格を活かした転職をするなら

EAやUSCPAなどの資格は、会計事務所や監査法人はもちろんfas系コンサルなどの職場でも活躍できます。こういった資格を活かした転職をするなら、ヒュープロがオススメです。ヒュープロは士業に特化した転職エージェントです。業界最大級に求人が多いため、自身にあった職場が見つかりやすくなっています。無料でお探しできるので、気になった方はぜひ下のリンクからお探しください。

この記事を書いたライター

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