専門性が高く、安定している経理職。しかし、安定しているからこそ「業務内容に変化がない」「将来自分の歩むビジョンが描きづらい」と悩んでいる方も多いかと思います。今回は、経理の業務レベルはどのように変化していくのかから、その先の将来ビジョンについて解説していきます。
まず、経理の仕事レベルがどのようにステップアップしていくかをご説明します。
記事を読みながら、自分が今どのような実務レベルにあるのかチェックしてみましょう。
まず経理職に就いた際任されるのが、基本的な日次業務です。
具体的には、毎日の請求書処理、領収書発行、売掛金の管理、預貯金管理、小切手・手形の管理、帳簿への記入などを指します。簿記で学んだ知識をどのように実務で生かしていくかを学んでいきます。
その後、月次業務に使用するデータ処理などの補助を行っていきます。
経理として一通りの日常業務を習得できたら、次は一人で月次決算の処理を行えるようになりましょう。
ここで重要なのが、単なる数字処理としてルーチン化しないことです。経理は「資金の流れを数字で表す仕事」のため、どうしても機械的に数字処理のみをしてしまうことがあります。しかし、それでは会社の経営状況を読み取る力をつけることは難しくなります。
単なる数字ではなく、会社全体の財務状況・資金の流れを理解しようという意識付けが重要です。
月次決算を一人で行えるようになったら、年次決算業務に関われるようになりましょう。
年次決算は、会社の経営状況を社長や執行役員に示す大変重要な業務です。具体的には、決算書の作成、連結決算、納税申告などを指します。1年という大きなスパンで会社全体の資金の流れを把握し、最終的には会社の経営層に経理視点からのアドバイスができるようになるのが理想です。
では、経理業務における実務レベルを高めた先の「将来ビジョン」はどのように描いていけるのでしょうか。
経理職の将来ビジョンは大きく3つに分類できます。自分がどのような道に進んでいきたいのか考えながら見ていきましょう。
1つめは、現在在籍している会社でキャリアアップをはかる方法です。
具体的には、経理担当を経て経理管理職を経験し、最終的にCFO(最高財務責任者)として会社の経営に深く関与し、成長戦略や今後の経営方針に意見する立場となるキャリアパスを指します。
自社内で経験を重ねることで、管理職などの重要ポジションにつけるまでの期間が比較的短くなる傾向にあります。
2つめは、転職をして新たな企業で経験を積み、キャリアアップをはかる方法です。一口に「経理業務」といっても、企業規模や扱う商材によって必要になる知識や視点が全く異なります。
単純に製品や社員数が多ければ多いほど、お金の動きは複雑になるためより深く専門的な経理知識を身につけることできます。逆に会社の規模が小さいと、一人の経理が担う業務は多岐にわたり、一般的には財務・総務領域に分類されるような業務まで経験でき、知識の幅を広げることが可能です。
3つめは、経理職での知識を生かしつつ違う業種にキャリアチェンジをはかる方法です。
具体的には、財務、公認会計士、税理士、国際会計基準に則した英文経理、経営企画、会計コンサルタントなどです。これらのキャリアチェンジには、経理の実務経験だけではなく資格取得が必要となります。大きくキャリアチェンジをしたいと考えている方は、目標を立て日々勉強を行いましょう。
ここまで経理の将来ビジョンをご紹介してきましたが、自分がどの道に進んで行きたいかどうか、早めに計画を立てることが最重要となります。
現在自分が持っているスキルレベルを正確に把握し、将来の大まかな計画を立てることで日々の業務に対するモチベーションが向上したり、効率よく必要知識を身につけたりすることが可能です。
現在の自分のスキルレベルや市場価値を把握したい、日々の業務の棚卸しが一人でできるか不安という方は、転職エージェントの活用を検討しましょう。今すぐ転職したいと考えていない方も、知識豊富なキャリアアドバイザーから客観的にアドバイスをもらえるため、キャリアに関する新たな視点を取り入れることができます。
経理職は専門性が高く、企業の経営に関わる重要な業務として一定の需要がある職種です。一方で実際に業務を行っている人の中には、日々の業務に変化がなく将来に不安を抱える方、現在のスキルを今後どう生かして行けるかわからないという方が多い職種ともいえます。
まずは現時点でのご自身の実務レベルを正確に把握し、今後どのような方向でステップアップしていきたいか明確にすることが重要です。その際にエージェントを活用してもよいでしょう。