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M&A業務に資格は必須なのか?種類や難易度について解説します!

ヒュープロ編集部 川辺
M&A業務に資格は必須なのか?種類や難易度からオススメの資格まで徹底解説!

近年注目を集めるM&Aは、専門知識を使わなければならないため資格が必要なイメージが強いようですが、果たして必須の資格はあるのでしょうか。
今回はM&A業務に資格が必要なのかについて触れながら、M&A業務で活かせる資格やその難易度について解説していきます!

M&A業務に必須の資格はある?

近年、中小企業における後継者不足の問題事業の選択と集中などが進むことにより、M&Aの需要が高まっています。これに伴って、M&Aの案件数が右肩上がりに増加しています。そんな中でコンサルタントの立場でM&Aをサポートする、M&AアドバイザーおよびM&A仲介や、企業のM&A担当者の役割は非常に大きいものになっています。

結論から申し上げますと、M&A業務を行うにあたって、必須の資格はありません無資格でM&A業務を行うことは、一向に問題が無いのです。

ただし、実際にM&Aの業務を行う際には、税務や財務、法務などの専門知識が必要になります。そのため、後述するM&Aに活かせる資格を持つことによるメリットは大きいといえるでしょう。

M&Aに活かせる資格を取得するメリット

M&A業務を行う上で必須の資格はありませんが活かせる資格はあります。その種類としては、M&Aに関連する総合的な資格としての民間資格や専門的な国家資格まで多岐にわたります。ここからは、そんなM&A業務に関連した資格を取得するメリットについてみていきます。

業務を行う上での知識を得られる

M&Aの業務を行う上では、税務や財務、法務、経営など多岐にわたる知識が求められます。これらの知識は関連書籍や経験によって身につけることもできますが、資格取得により包括的に得ることができる場合があります。資格取得の勉強を通じて、必要な知識を体系的に学習することができ、M&Aの業務に対する理解を包括的に深めることができるでしょう。またM&Aに関連した一部の民間資格の中には、M&A業界の第一線で活躍している人が講師となり教えてくれるものもあるので、より実務的な知識の習得が期待できるでしょう。

依頼の決め手につながる

M&Aを行う当事者にとって、M&Aは一世一代の決断であり信頼できる専門家に任せたいと思うことは自然です。トラブルを避け、スムーズにM&Aを実行したいと考える当事者に対して、M&Aに関連した資格は専門的な知識とスキルを証明する手段になります。そのため、資格を持つことで初対面の顧客からの信頼が高まり、依頼の決め手となる場合もあるでしょう。

M&A業務に有利な民間資格3選

それでは、M&A業務に役立つ民間資格からみていきましょう。
一般的にはあまり知られていないものも多いですが、民間資格はM&Aに特化したものが多いため、知識だけでなく実務面でも重要なスキルを習得できるものが多いです。
資格によって習得できる内容や難易度、また取得費用についても比較しているので、ぜひ参考にしてみてください。

M&Aスペシャリスト資格

M&Aスペシャリスト資格は日本経営管理協会が運営・認定しています。M&Aの知識だけではなく、現場で使える知識を取得でき、また毎年の研修受講と3年ごとの更新が義務付けられており、実務のスペシャリストであることを証明できる資格となっています。この資格は実務に特化しており、M&Aの第一線で活躍している方が講師となっており、資格取得後も公式の継続セミナーで役に立つ内容を学ぶことができます。
資格取得のためには、3日間の公式対策講座の受講と試験合格が必要であり、合格基準としては正答率60%とされています。公式の講座があるとはいえ、他の民間資格と比較して難易度の高い資格といわれています。
取得費用としては、講座受講料と試験料合わせて88,000円となっています。

M&Aエキスパート認定資格

M&Aエキスパート認定資格は、一般社団法人金融財政事情研究会と日本M&Aセンターが共同で、企画・運営・認定をしています。資格は3段階に分けられており、事業継承及びM&Aについて基本的な知識を身につける「事業承継・M&Aエキスパート試験」や、その上位資格である「事業承継シニアエキスパート」、さらに上位の「M&Aシニアエキスパート」というものがあります。最もスタンダードなのはM&Aエキスパート認定資格であり、M&Aに関する入門的な資格です。上位クラスにおいては25年以上のM&Aノウハウをもつ日本M&Aセンターが講師を努めており、実践的な講義を行なっています。
M&Aエキスパート認定資格については、取得のために講座の受講は必要なく、また上位資格とは異なり受験資格もないため修得しやすいといえます。
取得費用としては、受験料7,700円のみです。

JMMA認定アドバイザー

JMMA認定アドバイザーは、一般社団法人日本M&Aアドバイザー協会が運営・認定しています。この資格を取得することで、事業継承に特化した知識を得ることができますが、JMMAが定める基準をクリアした上で、入会を認められた者しか取得することができません。また試験という形式ではなく、講座の受講とJMAAによる審査に合格することで正会員として認定され入会することができます。資格取得・入会により手厚いサポートを受けることができ、人脈などが作れる会員の集まりが年に2回あります。開業の支援やデータベースの共有など得られるメリットは大きいといえます。
審査基準については明かされていませんが、合格することで正会員として証明される以上、厳格な審査基準が設けられているといえるでしょう。
取得費用としては、受講料と入会金、また月会費を合わせて、363,000円となっています。

M&A業務に有利な国家資格4選

ここからは、M&A業務に役立つ国家資格を3つご紹介します。
これから紹介する国家資格は、M&Aの業務におけるデューディリジェンスや契約書作成、登記など、専門知識が必要な場面において活躍します。それぞれの専門家とどのような役割をするのかみていきましょう。

公認会計士

公認会計士は会計や監査の専門家として、M&A業務を財務・会計的な面から支える役割を果たします。またM&Aではすべてのプロセスで財務的な側面が重視されることが多いため、M&Aの戦略策定からPMIまで、公認会計士がM&Aアドバイザーとして一気通貫でサポートすることもあります。
公認会計士試験は、短答式と論文式の二段階に分かれており、会計をはじめとするファイナンス領域の知識について幅広く習得する必要があります。受験資格はありませんが、合格率10%からもわかる通り、公認会計士は弁護士、医師と合わせて三大難関国家資格といわれており、その難易度は特に高いといえます。
取得費用については、受験費用と登録費の合わせて169,500円が挙げられますが、実際には資格学校に通うなどの学習費用が別途必要となります。

公認会計士試験について、下記の記事でも詳しく紹介しておりますので、ぜひご参考にしてみてください。
〈参照記事〉

税理士

税理士は税務の専門家であり、独占業務である税務に関するアドバイスなどを通じて、M&Aにおける税務全般のサポートを行います。
税理士試験は、学識・資格・職歴による受験資格があり、また必修・選択科目から5科目合格する必要があるため、資格取得までの難易度は非常に高いといえます。
取得費用については、科目数により変動しますが受験料が4,000~10,000円必要であり、別途登録費用が110,000円、また資格学校に通うなどの学習費用がかかります。

税理士試験については、下記の記事でも詳しく紹介しております。
〈参照記事〉

弁護士

弁護士は法務の専門家として、契約書の作成など法的知識が必要不可欠なプロセスで重要な役割を果たします。
弁護士になるためには司法試験に合格する必要があります。合格率は50%といわれていますが、受験資格は予備試験合格者または法科大学院修了者に限られており、そもそもの受験者のレベルが高いといえます。また三大難関国家資格である点からも難易度は非常に高いといえるでしょう。
取得費用については、受験費用の28,000円と登録費などが挙げられ、弁護士についても別途予備試験の準備のための予備校費用や、法科大学院の学費なども合わせると高額となるでしょう。

社会保険労務士

社会保険労務士は通称社労士とも呼ばれ、デューディリジェンスやM&Aの成約後において、人事や労務に関する専門的な知識を活かして活躍するといえます。
社会保険労務士試験には学歴や資格、実務経験など要件が様々あり、毎年6~7%の合格率となっています。科目数も多く、各科目に足切りもあることから、難易度は高いといえるでしょう。

社会保険労務士の試験については以下の記事でも詳しく紹介していますので併せてご参照ください。
〈参照記事〉

M&Aフロー別!それぞれの資格が強みを発揮するタイミング

M&Aにおいては、戦略策定からクロージングまで様々な工程が存在します。それぞれの工程の中で、ここまで紹介した各資格保有者は専門知識を活かして活躍します。ここからは、資格別にM&Aのフローの中で強みを発揮するタイミングを見ていきます。

〈参照記事〉

公認会計士

公認会計士は会計や監査の専門家として、M&A業務を総合的にサポートします。特にその専門性を活かして、企業価値評価や財務デューディリジェンスにおいて活躍するといえます。さらに、公認会計士は税理士登録も可能な資格であり、税務的なアドバイスをできる知識ももっているため、節税対策など税務的なサポートも行うことができます。また、公認会計士の中にはM&Aの戦略策定からPMIまで一気通貫でサポートするアドバイザリー業務を行える人もいます。

公認会計士のM&A業務における役割については以下の記事でも詳しく紹介していますので併せてご参照ください。
〈参照記事〉

税理士

税理士は税務の専門家として、主に税務の観点からM&Aをサポートします。公認会計士と同じく、その専門性を活かして企業価値評価や税務デューディリジェンスにおいて活躍するといえます。さらに、M&Aではスキームに応じて多額の税金が発生するケースがあり、税務に関する処理や税金対策が非常に重要となるため、節税対策をはじめとした税務的なサポートにおいても税理士は強みを発揮するでしょう。また、M&Aアドバイザリー業務を得意としている税理士もいるため、総合的なサポートを依頼することもできます。

税理士のM&A業務における役割については下記の記事でも詳しく紹介しています。
〈参照記事〉

弁護士

弁護士は法務の専門家として、基本合意書や秘密保持契約書の締結、また最終契約書の作成など、法的知識が必要な場面で強みを発揮します。さらに法務デューディリジェンスにおいては、顧客との契約や負債の有無、労働環境などにおける調査を行い、契約して問題ないかをチェックします。加えて、M&Aのプロセスや事後的に発生しうる法律上のトラブルに対しても法的対応などの助言を実施するなど、リスク管理の観点において重要な役割を果たします。

〈参照記事〉

社会保険労務士

社会保険労務士は、人事・労務の専門家として、労務デューデリジェンスを行う際に強みを発揮します。特に、売り手企業の従業員の働き方や雇用契約などに問題が無いかを確認します。これらの調査はM&A後の人事政策や雇用条件の調整に大きな影響を与えるため慎重な調査が必要です。社会保険労務士の調査や労務的なアドバイスがM&Aの成否に大きな影響を与えるという点で、非常に重要な役割を果たすといえるでしょう。

民間資格

M&Aスペシャリスト資格、M&Aエキスパート認定資格、JMMA認定アドバイザーといった民間資格については、M&Aに関する知識を十分に備えているため、M&Aのプロセスを包括的にサポートすることができます。他の国家資格とは違いM&Aに特化した資格であるため、M&Aに関する知識や実務スキルが保証されている点が強みといえるでしょう。ただ、M&Aアドバイザリーのように単身で一気通貫のサポートを行えるわけではありませんが、M&Aに精通している団体や企業から認定を受けている資格であるため、各スペシャリストとつながりを持っていることが多く、M&Aに大いに貢献できるでしょう。

業界特化キャリアアドバイザー厳選!M&A に活かせるおススメの資格

ここまで、民間資格から国家資格までM&Aに活かせる様々な資格を紹介してきました。強みを発揮できる業務や資格の難易度など、比較要素は様々ありますが、
業界特化キャリアアドバイザーとして、M&A業界に転職するためにおすすめの資格は公認会計士と税理士が挙げられます。
おススメの理由としては次の理由が挙げられます。

①業務の幅が広がる

上述の通り、デューディリジェンスや企業価値評価からM&Aアドバイザリーまでと行える点で、M&A業務に活かせる資格の中でも特に公認会計士と税理士は業務の幅が広いです。

〈参照記事〉

②転職活動でも有利に働く

こうした業務の幅の広さや高い専門性によりニーズも高いため、M&A業界への転職活動も有利に進めることができるといえます。近年、高年収をはじめとする理由でM&A業界は転職市場でも注目を集めており、人気があるだけに倍率は高い傾向にあるといえます。最近では未経験の求人も増えているものの、これまでの経歴や資格などが重視されることが多いです。その中でもM&Aを進めるうえで必要なファイナンス領域に関わる資格である公認会計士や税理士を所持していると経験がなくても相応の知識を有しているとみなされ選考で優遇されることが多いです。

③資格を活かして働ける職場が多い

また、M&A業界以外にも資格を活かして働ける職場が多い点もおススメできる理由の一つです。
公認会計士は、監査法人や会計事務所をはじめとして、会計領域のコンサルティングファームや一般企業の経理・財務部門で活躍することができます。税理士についても、会計事務所や一般企業の管理部門、また独立開業という選択肢もあるため、多様なキャリアを描くことができます。

〈参照記事〉

ご自身の状況に合った資格を取得するのが良いですが、勉強に時間をかけられるのであれば、税理士や公認会計士といった国家資格がオススメです。

資格を活かしてM&A業界に転職するには

ここまで、M&Aに関する資格についての説明をしてきましたが、ここからはM&A業界への転職を有利に進める方法をご紹介していきます。

M&Aに関する資格を取得する

今回の記事でご紹介したようなM&Aの業務に関連する資格を取得することで、M&Aの実務経験がなくとも、それ相応の知識があると評価されます。人気のM&A業界への転職を有利に進めるためにも、こうした実務に沿った資格を取得することも重要です。

M&A業界で求められる経験を積む

M&Aの実務未経験で転職する際には、営業職やファイナンス領域での経験が重視される傾向にあります。M&Aのプロセスにおいて数字的に企業を分析する力が必要であり、さらに売り手・買い手企業の双方が納得できる交渉を行う必要があるため、こうしたファイナンス領域や営業経験が重視されています。
ファイナンス領域に関しては、具体的には銀行や証券会社などの金融機関、会計事務所、企業の財務職などが当てはまります。またファイナンス領域での経験が無くても、メーカーや商社、MR、IT、保険、コンサルティングなどといった業種での営業職出身だと有利に働きます。
実際にM&A業界では未経験の場合、採用要項に法人営業経験や金融機関での経験が記載されていることも多いため、資格に合わせてこうした経験を積むこともM&A業界への転職成功につながるでしょう。

M&A業界に強い転職エージェントを活用する

上述のような資格や経験があると、ある程度転職活動は有利に進めることができますが、転職活動に伴う対策や準備を一人ですべて行うのはかなり時間がかかってしまうでしょう。特に働きながら転職活動をする方が多い中で、そのような時間を十分に取るというのは、あまり現実的ではありません。
そのため、転職エージェントを活用して効率的に転職活動を進めるのがおススメです。希望の条件やご自身の経歴などを伝えることで効率的に求人を提供され、日程調整もエージェントが実施してくれます。内定を複数社もらった際に断りをいれてくれるなど、心理的負担のある対応もする必要がありません。そういったサービスを無料で受けられるエージェントが多いのも特徴です。
さらに、M&A業界に特化した転職エージェントにおいては、金融機関や士業バックグランドを持つ人材の転職支援実績を多く有しているため、企業として一定の選考に係るナレッジや企業とのパイプラインを有しており、転職に関するリアルな情報提供が可能です。
M&A業界に特化した転職エージェント「ヒュープロ」は、M&A業界への転職を目指す全ての方の転職をサポートしております。
将来に向けたキャリアパス・キャリアプランのご相談や、転職市場のご説明などももちろん可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINE編集部の川辺です。転職エージェントとして多くのご登録者様からご相談をいただく際に伺った転職に際しての悩みや不安、疑問を解消する記事をご覧いただけるよう、日々奮闘中です!士業や管理部門、FASなどの業界に就職・転職をご検討されている方は、ぜひ業界特化の転職エージェントである、「ヒュープロ」をご活用ください!
カテゴリ:コラム・学び

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