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M&Aアドバイザリーは激務なのか?

公認会計士 前澤直樹
M&Aアドバイザリーは激務なのか?

M&Aアドバイザリーは激務とよく言われますが、本当に激務なのでしょうか。
今回はM&Aアドバイザリーの業務内容から激務なのか、そうではないのかということについて解説していきます。

M&Aアドバイザリーとは?

そもそもM&Aアドバイザリーとは一体何者なのでしょうか。
M&Aアドバイザリーとは、M&Aについて専門知識を持った専門家です。一言にM&Aについての専門知識と言っても、相手を見つけ、交渉して契約締結と様々なステップを踏みます。その中で必要な専門知識が異なり、業務の内容が異なってきます。それぞれの業務量も異なるので、M&Aの流れからそれぞれのステップにおける業務内容を見ていきましょう。

M&Aの流れについて

さて、M&Aの流れですが以下のステップがあります。

①相手探し
②調査
③交渉
④契約締結
⑤統合プロセス

まず、M&Aにおいては相手探し、買収の場合は売り手、売却の場合は買い手ですが、なかなか相手探しは苦労します。いくら買いたくても売り手側が売る意思がなければ買えないですし、いくら売りたくても買い手側が買う意思がなければ売れません。なので、M&Aアドバイザーに依頼して蓄積されている買収先もしくは売却先のリストを元に探します。ここにおけるM&Aアドバイザリーがファイナンシャルアドバイザリーと言われるものです。

次に、買収先が見つかった場合には買収先の調査を実施します。買収先の調査として、法務面、財務税務面、ビジネス面、システム面などで調査を行います。これはいわゆるデューデリジェンスと言われるもので、各方面の専門家に依頼して、専門知識をもってして調査してもらうものです。また、相手先を調査するとともに買収先の株式価格の算定をしていきます。価格の算定においてもファイナンシャルアドバイザリーや専門家が登場します。

買収先のデューデリジェンスをした結果、買収するとなったら買収先と交渉します。これもM&Aの専門家であるアドバイザリーに依頼するとスムーズに進むことができます。ここでも登場するのがファイナンシャルアドバイザリーです。

さらにフェースが進むと契約書の締結に進みます。ここでは、株式売買契約書など契約書のやり取りが生じます。契約書においては、専門知識が必要なこと、また条件内容の交渉となるため、弁護士及びファイナンシャルアドバイザリーが間に入ってもらい進めることになります。

最後に、契約書の締結が終われば、統合プロセスに進みます。統合プロセスとは、いわゆるPMI(Post Merger intergration)と呼ばれるプロセスで、自社と買収先の異なるところを統一していくという作業のことを言います。もちろん買収先の優れた点もあるかと思います。その際は買収先の優れたところに自社を合わせていくという作業となります。このフェーズにおいては、会計面の統合もあれば人事面の統合など幅広く統合する必要があります。その際は必要に応じて、会計面なら会計士、人事面なら人事コンサルなどにお願いして進めることになります。

以上がM&Aの流れを見てきました。この次は各アドバイザーのM&Aアドバイザリーの業務内容を見ていきましょう。

2.M&Aの流れについて

M&Aアドバイザリーの業務内容・業務量

さて、各アドバイザーにおける業務内容はどのような感じなのでしょうか。

まず、ファイナンシャルアドバイザリーはM&Aの最初の段階から契約締結まで業務を提供します。ファイナンシャルアドバイザリーの主な業務は先方とのやり取り、交渉、スケジュール管理などがメインになります。ファイナンシャルアドバイザリーはクライアントの要望を受ける立場にあり、どのようなタイミングでも連絡が取れる状態にしておかなければなりません。業務自体の重たさより、いつでも連絡取れる状態にしておかなければならないというところが大変さとなります。

次に、デューデリジェンスで業務を依頼する専門家について見ていきましょう。一般的にデューデリジェンスは、短期間で様々な資料を見て分析を行い、インタビューをするという形になっており、業務自体は激務になりやすい傾向になります。また、短期間で業務を行なう上に時には掛け持ちで業務を行うこともあるのでその時にはさらに業務が激務となります。

そのほか、PMIにおいて人事コンサルなどコンサル会社も入ってくることになりますが、こちらは長期間に渡り業務が実施されます。長期間に渡るものですが、業務自体は多く、幅広い業務になるため、大変な業務になる傾向が多いです。

以上、M&Aアドバイザリーの業務内容を見てきましたが、それぞれのアドバイザリーで業務が異なり、激務と言っても種類は異なります。

4.まとめ

M&Aアドバイザリーは激務なのかについて書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。

それぞれのM&Aアドバイザリーで激務の内容は異なるものの、イメージ通り、M&Aアドバイザリーは激務になりやすい傾向にあります。ファイナンシャルアドバイザリーは時間関係なく仕事を、デューデリジェンスを実施する専門家は短期間で多数の業務を、PMIを実施するコンサルは長期間で幅広い業務を、それぞれ形は違いますがM&Aアドバイザーは激務になります。

この記事を書いたライター

公認会計士試験合格後、監査法人トーマツに就職。約6年間金融商品取引法監査、US監査などを経験。グループ会社であるDTFAに転籍し約4年間従事。デューデリジェンス、バリュエーションなどM&A系の仕事を経験。その後、事業会社の経営企画に従事。
カテゴリ:業務内容

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