士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

転職先の給与が前より安い・・・そんな時は就業促進定着手当を!

HUPRO 編集部
転職先の給与が前より安い・・・そんな時は就業促進定着手当を!

経験を積み、キャリアアップのために転職をしようとしたら、希望職種の転職先の給与が前職よりも下がってしまう・・・・・・ということは往々にしてあるものです。

失業手当をもらっている方の中には、早めに転職して再就職手当をもらいたいと考えている方も多いでしょう。しかし、転職先の条件によっては「この時点で転職して再就職手当をもらうよりも、もう少し失業手当をもらい続けながら転職活動をした方が良いのでは?」と思ってしまう方もいるのではないでしょうか。

実は、再就職手当をもらって早めに転職した場合には、「就業促進定着手当」も受け取ることができて、失業手当をもらうよりも得するパターンがあるのです。今回は、就業促進定着手当の支給条件や申請について解説します。

就業促進定着手当とは?受給条件について解説

「就業促進定着手当」とは雇用保険の一種で、「再就職手当」を受給した方のうち、前職よりも給与が低くなってしまう場合に支給される手当のことです。詳しく受給条件を見ていきましょう。

(1)再就職手当とは

就業促進定着手当を受給できる大前提の条件は「再就職手当」をもらっていることです。国としては、失業率を減らしたいので、なるべく早く再就職をしてほしいと考えています。

そのため、失業手当をもらっている途中の人が、所定給付日数の3分の1以上を残して再就職をしたときにもらえる「再就職手当」の制度が設けられました。例えば、90日間が所定給付日数の場合は、30日以上残して再就職すればもらうことができます。

再就職手当も失業手当と同様、雇用保険の制度なので、再就職先が「雇用保険」に加入していることが前提です。勤務形態によっては雇用保険の対象外になる場合があるのでご注意ください。

申請期限は就職、開業が発生した1カ月以内となり、それ以降は無効となります。再就職手当の条件は、所定給付日数の3分の1以上ですが、早く再就職を促したいため、早前に決定するほどもらえる金額が多くなります。

・所定給付日数の3分の1以上:基本手当×残り日数×60%
・所定給付日数の3分の2以上:基本手当×残り日数×70%

【例】基本手当が6000円で、90日間の支給の場合
・30日~59日残している場合:6000円×30日~59日×60%=108,000円~212,400円
・60日~90日残している場合:6000円×60日~90日×70%=252,000円~378,000円

いわゆる「再就職祝い金」のような形でもらえますので、転職時にいろいろ物入りの際に役立ちますね。就業促進定着手当をもらうためには、まずこの再就職手当を受給している必要があります。

(2)就業促進定着手当とは

再就職手当をもらって就職した先が、前職よりも賃金が低い場合に支給されるのが「就業触診定着手当」です。

支給には以下の条件があります。

・再就職手当を受給している
・再就職先に6か月以上雇用されている
・再就職先での6か月間の賃金が、離職前の賃金よりも低い

つまり、就業促進定着手当はすぐにはもらえません。6ヶ月間は勤務する必要があります。
金額は以下の通りです。

・就業促進定着手当=
(①離職前の賃金日額-②再就職後6ヶ月間の賃金の1日の額)×③再就職後6ヶ月間の支払基礎となった日数

※上限額:基本手当日額×支給残日数×(再就職手当の給付率が60%だった人は40%、70%だった人は30%)

①原則として、受給資格者証の金額です。年齢ごとに上限と下限があります。
②再就職後の6ヶ月間の賃金の合計/180 で求めます。手当などは含みますが、賞与は含まれません。
③暦日数で求めます(28日、29日、30日、31日)

2)就業促進定着手当とは

再就職手当と就業促進定着手当を具体的に計算してみよう

具体的に計算してみましょう。

【例】以下の条件で再就職手当と就業促進定着手当を求めてみましょう。

・離職前の賃金日額が10,000円
・失業保険は基本手当日額6000円で90日分の支給予定
・失業保険受給中に60日の日数を残して、4月に再就職
・再就職後6カ月の賃金については、1日分の額が8,000円

■再就職手当:所定給付日数の3分の2以上残っているので、基本手当×残り日数×70%
6000円×60日×70%=252,000円

■就業促進定着手当

・就業促進定着手当=
(①離職前の賃金日額-②再就職後6ヶ月間の賃金の1日の額)×③再就職後6ヶ月間の支払基礎となった日数

(①10,000円-②8,000円)×③183日=366,000円

・上限額:基本手当日額×支給残日数×(再就職手当の給付率が60%だった人は40%、70%だった人は30%)

6,000円×60日×30%=108,000円

上限額が108,000円のため、実際にもらえる額は108,000円となります。

再就職手当と就業促進定着手当を合わせると、ちょうど失業保険の残りの日数分受給したのと同じ事になります。
給与をもらいつつ、失業手当を満額もらったのと同じ状況になるわけです。

就業促進定着手当の申請手続き

「就業促進定着手当」の支給申請書は、再就職手当の手続き後の「支給決定通知書」とともにハローワークから郵送されます。

必要書類には、自分で用意するものと新しい勤務先から取り寄せが必要なものがありますので、事前に確認しておきましょう。

【申請書類】
①就業促進定着手当支給申請書(ハローワークから送付)
②雇用保険受給資格者証
③ 就職日から6 か月間(※)の出勤簿の写し
④ 就職日から 6 か月間(※)の給与明細又は賃金台帳の写し
(※)就職日が賃金締切日の翌日ではない場合、就職後最初の賃金締切後日の6 か月分

申請期間は再就職してから半年たった後ですが、その期間は2ヶ月となっています。就職して半年というと一番忙しい時期かもしれませんが、早めに準備しておきましょう。

なお、書類提出先は再就職手当の支給申請を行ったハローワークですが、郵送での申請も可となっています。支給申請書は再就職手当申請書に記入した住所に送付されますので、引っ越しする場合は、郵便局に転居届の提出を忘れないようにしましょう。

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINEを運営している株式会社ヒュープロ編集部です!士業や管理部門に携わる方向けの仕事やキャリアに関するコラムや、日常業務で使える知識から、士業事務所・管理部門で働く方へのインタビューまで、ここでしか読めない記事を配信。
カテゴリ:転職・業界動向

おすすめの記事