よい会社が見つかり、転職をした際に「前職の源泉徴収票を持ってきてください」と言われるはずです。これには色々な理由があります。そこで、今回は転職の際に源泉徴収票の提出が必須の理由を解説します。
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源泉徴収票は、普段は12月や1月に会社からもらえます。これは、一年間の給与を合計して、今まで差し引かれた所得税と、確定した所得税の差額を出して、年末調整をすることで従業員に返金したり追加で徴収したりするためです。
もし、年の途中で転職をすると年末まで会社にいないので、基本的には年末調整が行われませんし、源泉徴収票がもらえないことになってしまいます。
ですが、会社は転職者に最後の給料を払ったところまでの源泉徴収票を渡さなければなりません。
これは、転職先で年末調整を行わなければならないのですが、転職先だけの給料で年末調整をするわけではなく、あくまでも前職を含めた給料での年末調整を行わなければならないからです。給与担当者は前職の給与を知るためには源泉徴収票を入手するしかないので、必ず必要となってきます。
実は、源泉徴収票を必要とする理由がもう一つあります。
転職する際に「前職の給与は?」と聞かれることがあると思います。これは、転職先の給与を決める際にある程度前職の給与を参考にしたいという考えからです。
だいたいその意図は皆さんもわかっている通りですので、ついつい高めの給与を言ってしまいがちかもしれません。
ですが、源泉徴収票を見れば前職の給与はすぐにわかってしまいます。
もちろん、年の途中までの給与なので、必ずしもわかるわけではありませんが、あまりにも言っている給与と源泉徴収票の給与がかけ離れているとすると、印象が悪いどころか賞与などの査定が下がる可能性もありますし、わかっていて給料がアップしてしまっていたら法律違反に問われる可能性もありますので注意が必要です。
ですので、給与を聞かれた時は源泉徴収票を出す前提でしっかりと答えましょう。ただし、誤った情報を伝えることと、聞かれるまで黙っていることでは全く違います。転職の際は言って不利になるようなことは極力言わないでおくのが鉄則ですが、間違っている情報を伝えるのだけは絶対にやめましょう。
では、源泉徴収票を提出したいのに、前職で源泉徴収票がもらえない時はどうしたらよいでしょうか。
まずは、会社に直接問い合わせることから始まります。前職に連絡することは気が引けるかもしれませんが基本的に本人からの問い合わせでなければ動けません。
また、何らかの事情で発行が遅れていたり忘れられていたりするだけかもしれませんので、頑張って取り寄せましょう。
それでも先方の悪意などによってもらえない場合は、税務署に相談するなど、外部から動いてもらうしかないですが、だからと言って必ずしももらえるわけではありません。その場合は源泉徴収票不交付の届出を提出することになります。
その際は、給与明細が約1年分必要となるため、大事に取っておきましょう。
期間があまりにも短すぎる最悪の事態を想定して、給与明細を一年分取っておいてそれを基に源泉をしてもらうということも考えておかなければならないでしょう。ただし、転職後の会社としては、前職の源泉徴収票が無いと年末調整も難しいので、最後の手段としてとらえておく必要があります。
転職先から源泉徴収票を依頼されると、いつまでにそれを渡さなければならないかという疑問がわいてくるでしょう。
転職先としては、最終的に11月~12月の年末調整に間に合えばよいのですが、そこで催促していてはもらえない可能性があるので、ほとんどの場合、転職してすぐに入社書類と同様に源泉徴収票を催促することとなるでしょう。
ですが、転職者の源泉徴収票は通常の給与計算に加えて源泉徴収票を作成する時間が必要となります。よって、すぐには渡せないのが本音でしょう。
ただし、税法上は退職後1か月以内に本人に交付しなければならないこととされていて、これを過ぎると法令違反となってしまいます。
よって、退職後1か月以内に転職先に渡す、というのが原則となるでしょう。これを超えたら直ちに問題が発生するわけではありませんが、少なくとも源泉徴収事務に間に合わないと、転職先で年末調整ができないため、自身で確定申告に行くこととなります。
この確定申告に前職の源泉徴収票がないと、給与明細などで無理やり申告をしなければならず、最近のシステムでは入れ間違いを起こすとエラーが出てしまうなど、とても大変な目に合ってしまいます。
転職時の源泉徴収票は速やかに転職先に提出しましょう。そもそも貰っていない場合は自身で前職の職場に問い合わせをして、早めに転職先の職場に提出できるようにしましょう。