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上場会社における海外子会社とのコミュニケーションのコツ

HUPRO 編集部
上場会社における海外子会社とのコミュニケーションのコツ

今やビジネスは日本国内で完結せず、海外との関わりが不可欠になりました。組織の規模や慣習が異なり、何より言語の壁が立ちふさがります。今回は、海外子会社とのコミュニケーションについて、どのようなパターンが想定されるか、それらを円滑に進める上でのコツは何か、ご紹介します。

日本企業を取り巻く環境変化

現在ではビジネスが日本国内で完結することはなくなり、開発・製造・販売その他各プロセスにおいて海外との関わりが不可欠な状況になっています。特に一定規模の上場会社の場合、米国や中国などに子会社を設立したり買収したりして、ビジネスの拠点を海外にも置いていることも今や当たり前の出来事になってきたと思います。

コミュニケーションの手段

そもそもコミュニケーションといっても色々あるわけで、まずはその手段を整理したいと思います。

(1)メール:主観的な使用頻度60%

もっともよく使う手段はご想像の通りメールです。複数名の宛先に情報共有できる、ファイルを添付できる、記録として残しておける、といった一般的なメリットに加えて、時差を気にしなくていいことが大きいです。

たとえば東京とニューヨークの場合ほぼ半日の時差があります。ちょっとしたQ&Aであれば、退社時にメールして翌朝現地から回答をもらうといった形で効率的に作業を進めることができます。筆者もほぼ毎日海外の同僚にはメールを送っている印象です。

(2)電話:主観的な使用頻度10%

次に想定されるのは電話です。ただし、上記使用頻度の通り筆者の経験上はあまり使いません。先ほどのメールにおけるメリットと正反対に電話する時間帯を気に掛ける必要があります。とはいえ同僚の声が直接聞けるという安心感はあるため、急ぎの確認や重要な案件を依頼したり、あるいは資料の督促等をしたりする場合には電話がもっとも手っ取り早いです。

(3)ウェブ会議:主観的な使用頻度20%

某Skypeに代表されるようなインターネットサービスを用いた会議です。本社・海外子会社双方の関係者がまとめて出席して認識のすりあわせをすることができます。筆者の場合、大きな海外子会社とは定期的に(月次程度)ウェブ会議を実施しCFO同士にも出席してもらい、トピックを共有する場としています。画面越しに挨拶もできますし、電話よりも使用頻度は高い感覚です。

(4)現地への出張/出張の受け入れ:主観的な使用頻度10%

そして最後、Face to Faceです。1~2人で海外子会社に行ったり、逆に来てもらったりして特定のプロジェクトなど込み入った話をします。そのほか複数の子会社に一堂に集まってもらい目線合わせをする、クロスリージョナルな会議を行うこともあります。

通常業務の狭間で時間とお金もかかるので、今のご時世かなり意識的に段取りしないと実施できないようです。ただし、現地の肌感を知ることは色々な提案を行う上でも明らかに説得力が増しますし、「いけるうちにいっておくべき」と思います。

(4)現地への出張/出張の受け入れ:主観的な使用頻度10%

円滑なコミュニケーションのコツ

さて、主要なコミュニケーションの手段をご説明させて頂きました。それぞれの手段がどのようなシーンで主に使われるか、イメージを持ってもらえたと思います。続いて、このようなコミュニケーションを日々円滑に行うためのポイントをいくつかご紹介します。

(1)手段を使い分ける

前述の繰り返しにはなりますが、手段を「ちゃんと」使い分けることは本当に重要です。メールで何度も督促しても連絡がない場合は電話で温度感を伝えるべきですし、現地経営陣とコンセンサスをとりたいときはウェブ会議の場で明確にトップからコメントをもらうことが効果的です。

要するに、楽だからといってメールに逃げないということです。

(2)お国柄を使い分ける

たとえば何か資料依頼をしたら、日本の子会社は何としても間に合わせようと努めてくれて、必要に応じて納期調整の相談が来ると思います。一方、海外では受け止め方にバラツキがあります。ある国では現地時間で対応して一日遅れになったり、別の国では督促が来てから慌てて対応したり、違いが出てきます。同じ企業グループであっても国民性の違いが先に出てくるのです。督促も柔らかく

リマインドすれば十分な国もあれば、「今日中に出せ、後はあなたの会社だけ」といった具合にかなり強めに伝えないと焦らない国もあります。
失礼にならない程度にお国柄を踏まえることが望ましいでしょう。

(3)現地の繁忙感を知る

現地の生活スタイルやスケジュール感を把握することも効率化のポイントです。たとえば、アメリカの感謝祭(英語ではThanksgiving Day)や中国の国慶節など日本になじみのない現地の祝日を確認しておくことです。生活スタイルでいえば、米国の多くのご家庭は家族でディナーをとることをとても大事にしています。定時で帰宅しディナー後に連絡が来るといった形で段取りを想定しておくとよいでしょう。

(4)必ず発言する

これは会議の際のポイントです。海外子会社に限った話ではないですが、日本の会議に比べ自分自身のプレゼンスを問われます。集中して聴くあまり毎回黙っていたら、いずれ呼ばれなくなってしまうでしょう。一方、拙い外国語であっても的を射たものであれば「Good Question!」と言われ、より明確な回答をもらえますし、リレーション向上にもつながります。

儀式的な会議に慣れていると海外子会社とのコミュニケーションで足をすくわれるかもしれません。

(5)駐在員を活用する

最後の手段です。一定規模の拠点であれば日本人駐在員がいるため、複雑な依頼の念押しや根回しなどをお願いすることがあります。文字に起こしにくい本社の思惑等はどの会社でも少なからず存在するものであり、いわば潤滑油としての役割を駐在員の方にお願いすることはとても有効です。もちろん駐在員の方もそれ以外の業務を大量に抱えているため、ここぞというときのイメージです。

まとめ

海外子会社とのコミュニケーションの手段やコツをこれまで説明してきました。難しさばかりが目についたかもしれませんが、ありがたいことに海外子会社は同じ仲間です。「社内コミュニケーションの恥はかき捨て」と言っては乱暴かもしれませんが、臆せずコミュニケーションを取り続けて自分自身のグローバル化への糧として活用していってください

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