経理業務は流れが決まっているので、繁忙期と閑散期によって業務にメリハリがつけやすいと言われています。それでは、経理業務の業務が集中するときと、比較的余裕ができやすいときはいつなのでしょうか?
今回は、経理部門が担当する・日次業務、・月次業務、・年次業務について、それぞれ業務とフローを解説します。
経理での日次業務は、経費精算を始め、売上や買掛金の管理、出納などがあります。これらの業務は、基本的に毎日発生するもので、その都度処理する必要があります。
そのため、事項で説明する月次業務や年次業務にかかるときは、日次業務+月次業務・年次業務という形になります。
つまり、経理業務で比較的余裕があるときというのは、日次業務のみの日です。
では、月次・年次の業務はいつ生じるのでしょうか。次の項からフロー図を使って説明してきましょう。
日次業務については以下の記事でも解説しています。併せてぜひご一読ください。
経理業務の中で、毎月決められたサイクルで毎月行う経理業務が「月次業務」です。
月次業務には2つあり、
1つは、請求や支払の締め日に合わせておこなう業務で、これはどの会社にも存在します。
もう1つは月次決算で、これは税法や会社法で義務付けられているわけではないのでやっていない会社もあります。
月次決算は、その月ごとの売上や予算消化状況を確認していくものです。
しかし、その手順はほぼ決算と同じため、月次決算について概算でなく正確性を求める経営層の場合は、月初の作業がかなり負担となります。しかし月次決算をきちんとおこなっておけば、年次決算にかかる手間を省けるという利点もあるので、一長一短というところです。
このフロー図では、請求書発行や支払を月の下旬にしていますが、例えば請求書の締め切り日が15日など中旬の場合は、この作業が中旬に移ることになります。
最後に年次業務を解説します。
年次業務は、決算月を中心としたスケジューリングになりますので、決算月がいつかによって、年間の中で業務がいつになるかが変わります。
決算月から2~3ヶ月間は、いわゆる繁忙期です。決算の業務+月次業務+日次業務が加わることになります。
決算後の法人税の納付期限については、決算月の2ヶ月以内となっていますが、株主総会の絡みで2カ月以内には決算が確定しない場合は、申告期限を1カ月延長することができる「申告期限の延長の特例」を利用可能です。
以下、それぞれのケースで見てみましょう。
決算の内容については、株主総会での承認が必要となります。
監査法人による監査が入る会社の場合は、株主総会の招集通知に、監査役及び会計監査人の監査報告書を添付する必要があるため、監査が終わるまでは、株主総会の招集ができません。
こうした諸手続にかかる日数を加味して、法人税の申告期限を決算月の2ヶ月後の月末から1ヶ月延長しているケースが多いです。
例えば、3月決算であれば、本来は5月までが期限のところを6月末にするので、3月決算の多い大企業においては、6月の株主総会実施が多くなります。
法人税は株主総会の決算の承認を経て、金額が確定してから納付できますが、消費税には延長特例がないため、決算月+2ヶ月後に納付します。
しかし、これは概算での納付です。決算が確定後に修正申告をおこなっているケースが多くあります。
この消費税については、業務フローの大きな妨げになっていたため、令和3年3月31日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間ついては、法人税と同様に延長特例を認めるという法改正がなされました。
株主総会は、決算後に企業の規模を問わずにおこなう必要がありますが、企業の規模が小さい場合は、決算自体も大企業に比べると作業量が大分減ります。
基本的には、2ヶ月以内に申告できる場合はそうするのが大原則です。
当コラム内では、決算業務についての記事を他にも公開しています。併せてぜひご一読ください。
〈関連記事〉
「決算業務」タグの記事を探す
担当によって異なりますが、ある程度経験を積んで、職位が上がってくると、年次の決算とは別に、会社の予算編成に関わることになります。月次決算や四半期決算の内容を元に、予算を組み立て、関係部門との調整などをおこなう業務です。
他にも、上場企業の場合は、四半期報告や有価証券報告書の作成、内部統制報告制度対応や決算短信の発表など、幅広い仕事があります。
経理業務は、企業と自分の担当業務によって、いつが繁忙期なのかは異なりますが、効率的に仕事をおこなえるように自分の仕事のペースをつかんでおきましょう。