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税理士補助から経理になれる? 税理士補助からの転職が有利な転職先3選を紹介!

ヒュープロ編集部 川辺
税理士補助から経理になれる? 税理士補助からの転職が有利な転職先3選を紹介!

税理士を目指して税理士補助になったものの、諸事情から税理士補助業務への専念を決め、転職できるか不安な方もいるでしょう。しかし、税理士補助からの転職が難しいというのは、人手不足の今、全くの古い認識です。今回は、税理士補助からの転職が有利な転職先3選と、その理由やメリットを解説していきます。

税理士補助からの転職が有利な転職先

会計・税理士事務所で働いている税理士補助からの転職が有利な転職先として挙げられるのは、次の3つです。

1. 企業経理
2. 会計事務所
3. 現事務所のクライアント企業

企業経理

ひとことで「企業経理」(事業会社での経理職)といっても、その仕事範囲は多岐にわたり、企業によっても異なります。自らの経験を棚卸ししたうえで、強みを活かせる企業を探すことが重要です。

たとえば、クライアント企業における日々の経理業務代行がメインだった場合、そうした業務に携わる経理職を正社員として雇用している中堅企業がターゲットになるでしょう。大企業では、派遣社員やアウトソーシングなどを活用しているケースが多く、ポストがないケースもあります。

また、同じ経理業務でも、1社だけではなく税理士補助として何十社も担当していることで、より効率的な手法を学んでいることも強みになります。

会計事務所・税理士法人

税理士補助からの転職で最も一般的なのは、他の会計事務所・税理士法人への転職です。同じ業界・職種なので業務経験が評価されやすく、転職がしやすい傾向があります。

現事務所のクライアント企業

税理士補助は、担当するクライアント企業の経理業務代行や、経営陣への税務会計アドバイスを行う機会も多いです。そのため、クライアント企業の経営事情に精通して頼りにされれば、引き抜かれて転職するケースもあります。

税理士補助から企業経理に転職するメリット

事業会社は人事制度や福利厚生が整備されている企業が多いです。
個人の税理士事務所は、一般企業と比較するとどうしても、残業量などの調整が難しかったり福利厚生が薄かったりする傾向があります。そのため、結婚などに伴い安定した生活を求める場合などには、人事制度や福利厚生の享受は大きなメリットです。

税理士補助から企業経理への転職が歓迎される理由

税理士補助は、会計事務所などの同じ業界内でしか転職できないと思っている方もいるでしょう。しかし実際は、税理士補助の経験は事業会社でも歓迎されます。税理士補助は、税務や会計など特定の分野においては一般的な企業経理よりも経験を積んでいるケースがあるからです。

たとえば、企業経理の場合は、1年に1回自社の決算業務しか経験できません。ところが、税理士補助は、会計事務所に依頼される企業の決算業務を1年に20〜30件ほど経験可能です。決算業務においては、企業経理の数十倍の経験を積んでいるといえます。
そのため、税理士補助から転職するには、まずは自らが積んできた経験を棚卸ししましょう。どのような分野に強いのか、その経験を求めている転職先はどこかを分析し、うまくマッチングができればスムーズな転職が可能です。

税理士補助から経理への転職を有利に進めるためにやるべきこと

とはいえ税理士補助から企業の経理職の転職は未経験からの転職ということになりますので、内定率が高いわけではありません。そんな中で、どんなことをやっておくと有利に働くのか、紹介していきます。

税理士補助での経験をアピールする

経理職は先述した通り、税理士補助としての経験を活かせるので、積極的にアピールするべきです。特に面接ではこれまでこのような経験をしてきた、今後はこのような業務に役立つなどと具体的な業務内容を伝えていくことが大切です。書類だけでは業務の中身が分かりづらかったり、そもそも面接官が全ての職務内容を見てくれているとは限りません
税理士補助とひとえに言ってもその業務レベルは様々ですので、経験・スキルはアピールしていきましょう。

志望動機を明確にする

志望動機は、書類選考や面接において合否に関わる重要なものなので、適当に作ってはなりません。
まずは職種への志望動機を考えるにあたり、なぜ経理職として働きたいと考えているのか、自分自身でも理解しておく必要があります。ここは特に正解があるわけではありませんので、「なぜそう思ったか?」を自問し続けることで、自分だけの、明確な志望動機を見つけましょう。また、それを面接時にもアウトプットできるよう準備しておきましょう。

さらに応募先への志望動機も考えておかなくてはなりません。同じ経理職の求人が沢山ある中でなぜその企業を選んだのかは、書類選考でも面接でもほぼ必ず選考基準に入っています。志望動機の完成度が低かったり他の企業でも通用するような内容だと、志望度が低いもしくはもし入社してもすぐ辞めてしまうかもしれないという懸念に繋がってしまうので注意が必要です。

転職エージェントを利用する

経験のアピールも志望動機も、税理士補助からの経理職への転職活動において非常に大切なことなのですが、実際なかなかご自身だけで行うのは大変だと思います。特に税理士補助という職種は半年近くある繁忙期だと、より転職活動に割ける時間は限られているでしょう。そんな中でおすすめなのが転職エージェントの活用です。アピールポイントの整理や志望動機の明確化も担当エージェントのサポートを借りながら、進めることができます。また、応募する求人を探したり面接の日程調整をするのも、エージェントが対応するので、必要最低限の時間を使うだけで転職を成功させることができます
ヒュープロは面接対策や書類添削の手厚さ、士業特化だからこその企業情報や市場感の知識が量・質ともに高い満足度を頂いています。

経理への転職にオススメのタイミング

経理職は決算期が最も忙しい時期に該当します。よってこの決算期の前、もしくは終わった後が転職にオススメの時期といえます。

決算期の前は、業務量が増えることを見越して、求人を出す企業が増えます。この時期は、すぐに業務を割り振れる即戦力を求める求人が多いですが、税理士補助の経験があれば応募可能な求人は十分にあるケースが多いので、この時期に転職するのがオススメです。

一方で税理士補助の経験があるとはいえ、少しスキルに自信がないという方は、決算期後に動くのが良いでしょう。これは決算期が終わり、経理職の所属部門に余裕ができるタイミングで、経験の浅い人や未経験者向けの求人が増えるからです。全くの業務未経験者よりは十分有利に立てる上、応募できる求人数もある程度多いこの時期が、もう一つのオススメのタイミングと言えるのです。

日本では3月決算の企業が多く、その前後2か月程度も繁忙期と言われていますので、12月や6月が決算期に該当するタイミングとなります。ただし、3月決算の企業は全体の18%程度とされているので、応募を検討する企業の決算月を把握した上で逆算するようにしましょう。

税理士補助から他の会計事務所・税理士法人に転職するメリット

税理士補助が、わざわざ現在の事務所を辞めて、他の会計事務所・税理士法人に転職するメリットとして、主に次の点が挙げられます。

・転職の交渉によって待遇を上げられる
・会計事務所の後継者になれる可能性も

個人の税理士事務所ではどうしても人事制度や福利厚生まで行き届かないケースがあります。また、未経験の税理士補助として就職した時点では、低賃金のアルバイト契約だった方も多いでしょう。
最初の税理士事務所で十分な経験を積んで転職する場合には、大手や中堅の会計事務所を目指すなど、転職によって給与や福利厚生などの待遇を上げることが可能です。実際に転職まで踏み切らなくとも、現在の事務所に転職の可能性を示唆すれば、引き止めのために待遇が上がるかもしれません。
また、個人の税理士事務所では後継者問題に悩まされているため、経営者に気に入られれば、後継者や重要なポジションに就ける可能性もあります。そのような話が出た場合、税理士試験合格を再度目指せばよいでしょう。

税理士補助から会計事務所への転職が歓迎される理由

リーマンショックの頃、税理士業界での転職は厳しいといわれていましたが、この10年で状況は大きく変化しました。2020年現在、税理士補助の転職が会計事務所で歓迎される理由は、主には次の通りです。

・人手不足のため後継者問題で悩んでいる会計事務所が多い
・独立の可能性がないため重宝される
・実務が身についていれば、教育の手間が省ける

2008年のリーマンショック時には、倒産する企業が増えた影響で税理士業界の先行きは暗く、難関の税理士試験に合格してもパフォーマンスが悪いという風評が定着しました。その結果、税理士試験の受験者数・合格者数が年々ともに減少し、税理士業界では人手不足に悩まされています。

税理士の平均年齢は60代といわれており、日本税理士会連合会「データで見る税理士のリアル。」によれば、60〜80代の税理士が全体の半分(53.8%)を占めます。そのため、後継者問題で悩んでいる会計事務所は多いです。

税理士を目指す人が減ったため、税理士補助になろうとする人も減っています。さらに、人手不足のなか、苦労して税理士や試験合格を目指す税理士補助を雇っても、独立すれば辞めてしまいます。

そのため、税理士補助業務に専任し税理士試験を目指していない人は、独立の可能性がないため重宝される傾向があります。実務に精通している優秀な人材であれば、人手がないなかで教育する手間も省けるため、なお高評価です。役職や年収がアップすることも期待できるでしょう。

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税理士補助からクライアント企業に転職するメリット

クライアント企業が事業会社であれば、人事制度や福利厚生の充実など、前述した事業会社への転職メリットを享受できます。
それに加え、転職する前に企業の内情や雰囲気がわかっているのも大きなメリットです。税理士補助時代から経営陣と接していて、企業理念や経営方針に共感できているなら、転職もうまくいく可能性が高いといえます。

税理士補助からの転職成功事例

最後に会計事務所での税理士補助からの転職に成功した事例をいくつか紹介していきます。

事例①:グループ会社多数のプライム上場企業へ転職!

Hさん
20代後半 男性
資格:日商簿記2級
転職前:中小税理士法人(税理士補助)
転職後:上場企業(経理)

中小規模の税理士法人で4年ほど勤務されていた20代後半のHさんは、これまでのご経験を活かし、事業会社の内部から経営陣を支える経理職として働きていきたいという点、および勤務先の雰囲気が合わないという点でご転職を考えられていました。
弊社エージェントからは、おもに二点のアドバイスをさせて頂きました。
一つは長期的なキャリアパスや年収の上がり幅を面談時にイメージができる求人に応募していくことです。一般企業の経理職でのご経験がない場合は、入社後のミスマッチを防ぐためにもこのような点は重要です。
そして二つ目は雰囲気が良いという抽象的な条件を、20~30代の方が多く、上司の方が穏やかで面接で質問のしやすい雰囲気があるという、具体的な条件にしてご転職活動ができたことです。抽象的な希望条件で求人を探してしまうと何を境目にして求人に応募するかを判断しにくくなってしまいますので、なるべく具体的にすることが転職成功の秘訣と言えるでしょう。
結果この方はご希望の経理職として、ミスマッチのない上場企業への転職を成功させました。

事例②:年収UPと働き方改善を同時に実現!

Iさん
30代後半 女性
資格:財務諸表論、日商簿記2級
転職前:会計事務所(税理士補助)、経理職も過去に経験あり
転職後:一般企業(経理)

経理職で4年ほど勤めたのち、9年ほど会計事務所で税理士補助をしていたIさんはリモートワークができる環境、かつ年収アップも実現できる転職先を探していました。
この方は弊社の担当エージェントとの面談時に、希望条件の明確化ができたことが転職成功の大きな要因といえます。リモートワークは週何回したいのか、年収の上がり幅はいくらから検討できるのか、といったところまで条件を落とし込むことで、よりご自身に合った求人が見つけやすくなりました。
また、面接があまり得意ではないとのことだったので、面接対策も各企業・各面接ごとに実施し、内定率を高めることに成功したのも、要因の一つといえます。
結果、リモートワークが希望通りの頻度で使用でき、年収も上げられる企業への転職を果たしました。

もちろん今回ご紹介した方以外にも、多くのご登録者の転職をご支援させて頂いておりますので、ご興味のある方はぜひお気軽にご相談ください!

まとめ

税理士補助からの転職は、リーマンショックの時期は厳しいといわれていましたが、現在では事情は大きく変化しました。

税理士業界が人手不足な現在、税理士資格を持っていなくとも、税理士補助としての経験を活かせる転職先は、企業経理やクライアント企業、会計事務所など多々あります。そのため、古い認識をアップデートし、積極的に転職に取り組むことが必要です。

まずは、自らの税理士補助としての経験を棚卸しし、自らの強みと転職先のニーズを分析することが必要です。どうしてよいかわからない場合には、士業に精通した専門エージェントのアドバイスを聞くなど、転職の専門家への相談で新たな選択肢が開けることもあります。まずは、税理士補助にはどのような求人があるかの確認など、手軽にできる転職への準備から始めてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINE編集部の川辺です。転職エージェントとして多くのご登録者様からご相談をいただく際に伺った転職に際しての悩みや不安、疑問を解消する記事をご覧いただけるよう、日々奮闘中です!ご相談はヒュープロ公式Xまでどうぞ!
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