就職や転職を目指すにあたって、面接の選考は避けて通れませんので、どのような質問をされるかを知っておき、想定の回答を考えておいて損は無ありません。特に税理士業界については、業界特有の質問もありますので、押さえておく必要があります。
本記事では、そんな面接で聞かれることの多い質問について解説します。
まずここでは、当社ヒュープロの税理士業界特化キャリアアドバイザーに聞いた、税理士事務所の面接で聞かれることの多い質問をまとめました。
嘘の内容で考えたり、作った回答を丸暗記するのはよくありません。事前に自分の中で整理して上手く伝えられるようにしておくことが大切です。
その企業になぜ応募したのか、という志望動機は面接で必ず聞かれる質問です。基本的に面接は書類選考を突破した際に実施することになるので、企業は履歴書や職務経歴書に記載してある志望動機を既に見た上で質問していることになります。つまり、二重で確認するほど、選考において重要なポイントなのです。
嘘で固めたきれいな志望動機を作る方もいますが、当社ではそのような志望動機で選考に臨むことをオススメしていません。では、どのように作ればいいのか、紹介していきます。
業界未経験の場合、まずは税理士業界を希望する理由を洗い出します。ただし場合によっては、そのまま書くと企業側にマイナスなイメージを与えかねないものもあるので注意が必要です。
例えば、「手に職をつけることができる」というのは、直接的な表現は避けた方が良いでしょう。手に職をつけれればどの業界でもいいのではないか、と考える採用担当が多く、他の業界と志望度が分散しているとか、入社してもらってもすぐ退職してしまうのではないかという懸念が出てくる可能性があります。もし先ほど紹介したような理由であれば、「学生時代から興味があった税務会計の知識を深めて専門家になることで、将来的に社会で活躍できる存在になりたい」など、税理士業界を目指した理由を絡ませるようにするのが良いでしょう。
次になぜその企業先に応募したのかという理由も落とし込みましょう。税理士業界の求人は沢山ある中でなぜその企業を選んだのかは、ほぼ必ず選考基準に入っています。
志望動機の完成度が低かったり他の企業でも通用するような内容だと、志望度が低いもしくはもし入社してもすぐ辞めてしまうかもしれないという懸念に繋がってしまいますので注意が必要です。
特に税理士業界は行っている業務内容が似ているため、応募先ごとの志望動機を作る難易度が高いといえます。企業情報や求人を仔細に確認し、サービスや経営理念への共感などが、相手に伝わりやすいような内容を作りましょう。
《関連記事》
最後にその応募先において自分自身がどのような役割を果たせるのかを考えましょう。こちらはいわゆる自己PRのようなものですが、今までのキャリアや実績をなんでも書けばいいというものではなく、あくまで税理士業界の仕事、さらにその応募先企業で活かせるとアピールできるものでなくてはなりません。
当然実務経験がある場合は、その経験をどう活かせるのかを考えましょう。ただし、直接的に関係なくても、大学で会計学を学んだ経験や、数値分析の経験があれば記載しておくと、適性があると判断されやすくなります。
また日商簿記2級など会計に関する資格を持っている場合は、未経験の中ではプラス評価になりやすいので、持っていることだけでなく、取得した経緯も話せると良いでしょう。
転職理由を聞く意図は意外と単純で、転職後に継続して働けるのか否かを見極めるためです。
例えば、残業が月平均30時間あり、れが辛くて転職をしている人を、残業平均月30時間ある税理士事務所の面接官は採用しようと判断しません。また辞める可能性がありますから当然でしょう。
このような事態を防ぐために、必ず面接前にその税理士事務所に転職理由とミスマッチな部分が無いか、見ておきましょう。ただし、ネガティブな理由を伝えてはならないというわけではないので、間違えないようにしましょう。
例えば、「現職の税理士事務所で仕事に見合った給料がもらえていないと感じているから」といった理由は、一見事務所側にネガティブな印象を与えそうですが、必ずしもそうとは限りません。評価制度を整えていたり、高年収をウリにしている事務所であれば、理由にマッチした職場であると判断されやすくなるでしょう。
もちろんポジティブな転職理由であれば、それに越したことはありません。すでに税理士事務所に勤めているけれども他の事務所に転職をするという場合も、前の事務所ではどうしてもできなかったことに対して、新しい職場で具体的に何をやりたいかを伝えると、転職理由として納得されやすくプラス評価になるでしょう。
事務所によって相続業務に力を入れているとか、コンサルティングに注力しているなど、特徴がある事務所も多いですので、その辺りは必ず事前に確認しておきましょう。
この質問は業界問わずよく聞かれるものでしょう。特に未経験者の場合、前職の中でもそのような課題解決をしたことがあるかは、重要なポイントです。
また若手の場合は、「ガクチカ」と呼ばれる「学生時代に力を入れたこと」についても聞かれることが多いでしょう。これは、リーダーシップを発揮した経験やコミュニケーション力があるかなど、求職者の「人となり」を把握する意図で質問が行われています。
税理士業界において税理士を持っているかだけでなく、持っていなくても取るつもりがあるのかどうかは、転職後の業務に大きな差をつけます。
多くの税理士業界希望の方は、「はい」と答えると思いますが、その上でさらに以下のような質問がされるでしょう。
これらの質問は、税理士資格取得に向けたプランに事務所がマッチしているかを事務所側が判断するために、投げかけられます。税理士をまだ取得していない場合は、取得までのプランと応募先の環境がマッチしているかも、事前に確認しておきましょう。
税理士を取得するメリットの一つとして、税理士事務所などを独立開業して経営者になれるという部分があります。もちろん独立するためのステップとして、税理士事務所に転職する方も多いので、この質問に対して「はい」と答えたくなる方がほとんどでしょう。ただ、場合によっては独立予定の社員は他よりも早い段階で開業のために辞めてしまう可能性があるという懸念に繋がってしまうので、その応募先が独立応援しているのかについても確認しましょう。
また実務経験がある方などには、特化型の税理士になりたいのか、ジェネラリストになりたいのかといった、深堀りする質問をされることもありますので、自身のキャリアプランについてもあらかじめ考えておきましょう。
こちらも他社との選考状況を確認するためによく聞かれます。ここは、あるなしだけでもいいですし、面接まで進んでいる企業数を共有するだけでも問題ないでしょう。
採用する側は、どのくらい他の企業と競合しているかや、選考回数・日程をどうするかなどの採用戦略を立てる意図で、質問しています。
ここで見繕ったところで選考にプラスにはなりませんので、現在の状況を正直に答えるのがよいでしょう。
面接の最後に「何か聞きたいことはありますか?」と質問されることがあります。この質問に対して応募者が採用側に逆に質問を行うことになることから、「逆質問」と呼ばれています。この逆質問において、「特にありません」という回答は絶対にNGです!採用側に「自社に興味がない」と判断されてしまうからです。ただ、その場で考えようと思っても慌ててしまうので、事前にいくつか用意しておきましょう。
逆質問の際に、働き方や待遇に関して聞くことは問題ありません。むしろここで、求人だけでは分からないリアルな情報を取得しましょう。
聞くと評価がマイナスに働くかもしれないと考える方がいるかもしれませんが、そんなことはありません。転職の目的は内定を取ることではなく、納得のいく条件でキャリアを形成していくことだと考え、その懸念に働き方があるなら徹底して逆質問で潰しておきましょう。
またその他逆質問をした方が良い内容に関しては下記にまとめています。
ここまで税理士業界において、面接でよく質問される内容とその回答に関する注意点をご紹介していきました。
ここからは、当社ヒュープロのご登録者からもよく質問やご相談をいただく大事な点を5つご紹介します。
税理士事務所ではスーツでの勤務が一般的です。
そのため面接も、基本的にはスーツで臨みましょう。男性の場合は、スーツにネクタイが基本です。色味にも注意が必要で、派手な色、柄は避けましょう。無地で黒か紺のスーツを選ぶのがよいでしょう。ネクタイも落ち着いた色、柄のものを合わせるのがおすすめです。
女性の場合は、スカートでもパンツでも構いませんが、シンプルなジャケットを着用するのが望ましいでしょう。
第一印象で損をすることが無いように、髪型や服装等の身だしなみは常に意識して面接に臨まれることをおすすめします。
そもそも筆記試験が無い事務所もありますが、導入している場合は以下の2つのパターンが一般的です。
知識試験に関しては、簿記や税務会計に関するもので、未経験者や初心者向けの内容が多いです。基本的には日商簿記3級~2級レベルの知識を問われることが多いようです。
選考フローや面接の前後に筆記試験があるのか否かを確認して、ある場合には実務経験者であっても基本的な部分の復習をしておくことをおすすめします。
税理士業界の選考における筆記試験事情については下記のコラムで詳しく紹介しているので、気になる方はあわせてご覧ください。
《関連記事》
一般的に中小規模の税理士事務所が行う面接の回数は、所長との1回で終わるケースも多いです。
大手税理士法人の場合は、人事担当や、役員、所長など2〜3回面接が行われることがありますが、基本的に面接は1回、多くても2回と考えておくのがよいでしょう。
税理士事務所の面接では、所長(税理士法人であれば代表社員)が面接を行うことがほとんどです。
規模が20名を超えてくる税理士事務所だと、所長と一緒に副所長や上司となるメンバーが面接に同席することもあります。
伝えることは問題ありませんが、伝え方には注意が必要です。
前提として押さえておきたいのは、税理士事務所は学びに行くところではありません。仕事をして成果を上げる場所です。
実際、採用する税理士事務所からは、税理士受験生の面接では「勉強時間を気にする人や勉強したいと主張する人が多い」との声もよく聞かれます。採用側の立場では、「仕事も勉強もしっかり行ってくれる人」を採用したいのが本音です。
面接においても「勉強をしたい」「勉強できますか?」という言い方ではなく、「仕事をしっかり行う上で、勉強と両立することはできますか?」「従業員の方々は仕事と勉強をどのように両立されていますか?」という聞き方をするのが好まれます。
仕事として貢献をする意欲は忘れないように、アピールを心がけてください。
税理士事務所は小規模なところが多く、所長との相性もとても大切になります。
また、所長との相性が良ければ、他の従業員との相性も良く社風が合っている可能性が高いでしょう。
面接時に所長の経歴や事務所の成り立ちなどを質問してみることによって話が弾むきっかけになります。
面接を無事に通過して内定を貰ったら、いよいよ入社の準備に入ります。就職活動や転職活動においては、内定条件の確認や、入社準備も重要ですので最後まできっちりやりましょう。
内定を貰った場合、お互いの条件に相違がないように「内定通知書」や「条件提示書」を貰いましょう。もし、口頭で内定を貰った場合は、書面又は、メールなどで「内定であること」「内定の条件」を貰うよう、お願いしましょう。
内定を貰ったら、返事をいつまでにすればよいのかの期限を確認しておきましょう。返事までの期間は1週間〜10日程度が一般的ですが、あまり長引くと複数の会社に迷惑をかけることになるので、なるべく早く返事をするようにしましょう。
内定を受諾したらいよいよ入社日の調整になります。在職中の方であれば、業務の引き継ぎ等を行い、1〜2ヶ月程度での入社が一般的です。一方、在職中でない方は先方の希望に合わせてなるべく早い日にちで入社するのがよいでしょう。
いよいよ入社です。忘れ物の内容荷物の確認はしっかりして行きましょう。入社時の第一印象はとても大切なので、身だしなみ、挨拶をしっかりとして、職場の方との良好なコミュニケーションを心がけましょう。
今回は税理士事務所の選考と面接について、具体的な質問内容から面接に挑む際のポイントについてご紹介しました。
ぜひ今回の内容を参考に、納得のいく面接をして内定に結びつけて頂けたら幸いです。
もちろん、一人だけでの転職活動に自信が無いという方は、士業・管理部門特化の転職エージェントである当社ヒュープロにご相談ください。今回ご紹介したような適切なアドバイスを専任キャリアアドバイザーから提供させて頂き、希望にマッチした求人もご紹介させて頂きます。お気軽にご相談から、お待ちしております!