転職において、面接は合否に直結する非常に重要な選考です。志望動機や転職理由、自己PR、逆質問など…。聞かれることが多い質問については、念入りに対策する必要があります。
今回は経理の転職活動を行うにあたって、面接ではどのような質問をされるのか、そしてどのような準備をしておくべきかについて、当社ヒュープロ専任の経理特化キャリアアドバイザーからのヒアリングも踏まえて、解説します。
経理の面接で聞かれやすい質問は、大きく分類すると以下の3つです。
・自己紹介と志望動機・転職理由
・経理業務についての経験や知識
・これからどのようなキャリアを積みたいか
それぞれの具体的な質問例と回答のポイントをご紹介します。
まずは基本的な情報について確認されます。ここで聞かれる内容の多くは、履歴書や職務経歴書に記載することが多いでしょう。それをわざわざ面接でも聞かれる理由としては以下があります。
★選考において重要な情報なので口頭でも伝えてもらう
★適度な時間で分かりやすく説明する力を測る
★志向性が会社とマッチしているか判断する
★応募書類の内容と齟齬がないかを確かめる
具体的には以下のように質問されます。
このような質問は面接の初めに実施されることが一般的で、選考において合否に最も大きな影響を与えることが多いです。なぜなら、採用側が求めている人物像と求職者がマッチしているかを、これらの質問で判断されるからです。もちろん後述する経理としてのスキルの有無も重要ですが、それ以前に会社や経理部の雰囲気や、仕事への取り組み方などと違う方向性ではないかは、重要視される傾向にあります。
これらの質問に対して回答する際にどの企業でも共通して意識すべきなのが、「ネガティブなニュアンスを伝え過ぎない」ことです。特に退職理由に関しては、全くネガティブな理由が無い人は稀なものの、率直に伝え過ぎないよう注意が必要です。
採用側は、退職理由がこの会社でも当てはまる理由であれば「同じ理由で辞めてしまう可能性がある」と判断し、不採用とするでしょう。また、その会社に当てはまらないとしても、何かしらネガティブな要素を見つけて辞めやすい人柄なのではないか、という印象を与えかねません。
また退職理由だけでなく、大学や新卒での職場を選んだ理由についても同様のポイントを意識しましょう。よくある率直な理由として「第一志望の大学や企業に落ちたから滑り止めで受かったところを選んだ」というものがあります。もちろんこれをストレートに伝えことが好印象に繋がらないことはお分かりいただけるとは思いますが、その選択に際しての根拠をしっかりと伝えられるようにしましょう。
そしていずれの質問に対しても、ネガティブなニュアンスを伝えないようにし過ぎた結果、「なんとなくで」のような答え方をするのはもってのほかです。曖昧な答えは、志向性が合うかどうかの判断以前に「そもそもあまり志向性が無い」人というイメージを与えかねません。
当然、選考を突破する可能性もかなり低くなってしまいます。
業務に取り組んでもらうに当たって、必要な経験・知識・スキルが十分かどうかを判断するために出される質問です。経験した業務については職務経歴書に記載しますが、その詳細について口頭で深掘りされます。
具体的には以下のような質問です。
最初に、職務経歴書にある業務内容をおさらいする意味で、今までやってきた業務について簡単な説明を求められます。
この部分についても「職務経歴書に書いてあるのになぜまた質問するの?」と思いがちですが、これは要点をまとめて簡潔に説明できるかどうかという点も判断されていますので、要約して話せるようにしておいてください。
そこから、担当業務の知識やスキル、その業務における責任範囲など、細かい業務内容への質問が入ります。
ここで聞かれることは、面接先企業において必要とされている業務内容です。もし、その分野について、経験済みであったり、知識が豊富にある場合はかなり有利になるでしょう。もし、未経験だったとしても、前向きに勉強して取り組む意欲を見せておくことが大事です。
ここで重要なのは「嘘を言わない」ことです。転職活動時の詐称は、入社後の自分の首を絞めることになります。
上記までで、あなたのこれまでの経験や人となりは、ある程度は把握されているでしょう。その上で、面接先の企業が転職者に求めるキャリア観があなたのこれからの希望にマッチしているかどうかを、確認していきます。
具体的には以下のような質問です。
ここでは、「この人を採用しても、当社を踏み台にするかもしれない」「不満があればすぐ辞めてしまうかも」という懸念が無いかを確認されます。
企業では、採用した人には長く勤務してほしいと思っていますが、総合職採用などの場合によっては、将来のマネジメント経験のために他部署を経験させる場合もあります。
ただ、ご紹介した質問の中でも「経理で採用されたとしても、今後別部署に異動するかもしれませんが大丈夫ですか?」については繊細な注意を払って回答するのが望ましいです。なぜなら、会社によって評価される回答が異なるからです。
例えば部長や会社の言うことを忠実に実行してほしいという会社であれば、上記の質問に対して「問題ございません」と答えるのが望ましいでしょう。一方でキャリアの軸が揺るがないような主体性の高い人材を求めている会社であれば、「経理職としてのキャリアを考えていますので、異動は希望しません」という答えを評価する意図で質問している可能性があります。
事前に企業研究や面接対策を実施することで、適切な答えをできるようにしましょう。もちろん、求められている回答と希望がそぐわない場合は、そもそもの応募を取り消すことをおすすめします。
経理の面接選考を通過するかどうかは、準備をどのようにするかによってほぼ決まっていると言っても過言ではありません。ではどんな準備をしておくべきなのか、解説していきます。
面接の準備は書類選考を通過してから始めるのが一般的なので、職務経歴書に記入する程度のキャリアの棚卸はできている前提ですが、面接への準備ではさらに深堀りをしておかなければなりません。経理の経験の有無に分けて詳しく見ていきましょう。
経理の経験がある場合、どのような業務を何年間やっていて、どのくらいのスキルがあるということを具体的に伝えられるように棚卸しておきましょう。大まかな業務経験やその年数だけ伝えてしまうと、「経験年数の割にはあまりスキルが無いのかもしれない」と感じられる可能性があるので、職務経歴書よりも詳しく話せるようにしましょう。
また、これらの経験をただ具体化するだけでなく、応募先がどのようなポジションを募集するかによって伝える内容を変えるなどの工夫もできると、より選考突破の可能性が高まります。
正直、キャリアの棚卸の難易度は未経験者の方が高いといえます。なぜなら他職種での具体的な業務経験は、経理職の転職ではそのままアピールにならないからです。経理に全く関連しない経験から適性をアピールをするのであれば、やりがいを感じた業務との親和性や経理でも活かせると感じた強みを見つけなければなりません。
その上で、経理職に活かせるスキルであると評価されるような伝え方をすることも必要になってきます。
キャリアの棚卸、そして書類を作成する時点での企業研究を完了したら、それらを踏まえてのアウトプットの練習をしましょう。面接対策は想定される質問に対しての回答をフィードバックしてもらうものです。このフィードバックは転職エージェントに依頼するのがオススメです。
どうしても転職業界に精通していないと適切なフィードバックはできませんし、当然一人ではできないからです。特に、士業・管理部門特化の転職エージェント「ヒュープロ」では業界に特化しているため、各企業に応じた面接対策を実施することが可能です。知っておくべき企業のビジョンや面接の傾向、どの段階の面接でどのような役職の面接官が対応するのかなど、様々な観点での対策が可能ですので、是非ご活用ください。
身だしなみや体調管理は当たり前という方も多いかもしれませんが、それだけに細心の注意をしなければなりません。
特に近年はオンライン面接が普及したため、新卒ではオンラインのみで転職活動で初めて対面の面接をしたり、そうでなくても最終面接で初めてオフラインを経験するという方が少なくないでしょう。そのため髪型や服装などは、特に清潔感を心がけましょう。
また、上記の準備をしてきても面接当日に体調不良となっては元も子もありません。理由に関わらずキャンセルした選考は受けられないという企業も存在しますので、準備で気を張りすぎたり、緊張で本来の生活リズムから崩れることがないようにしておきましょう。
自分の業務を棚卸しておき、職務経歴書にまとめるとともに、聞かれたときに各業務の詳細を伝えられるようにしておくのが、好印象を与えるコツです。面接で業務報告のあり方も見られています。
転職の面接、それも経理の場合は、業務内容についての質問を避けることはできません。会社が求めるスキルや能力があるかどうかは、採用の第一条件です。
具体的に聞かれるのは、先方が必要としている業務であることが多いでしょう。
【質問例】
・◯◯はできますか
・◯◯の経験はありますか
・◯◯の知識はどのくらいありますか
この◯◯には以下の業務内容が入ります。
・現金の出納管理(経費精算)・預金管理・帳簿や伝票などの管理・与信管理・月次決算・予算実績管理・給与計算・請求・支払業務(掛金処理)・決算業務・法人税等の申告・納税・年末調整・償却資産の申告・次年度の予算編成
など
ここでは、「自分の経験や知識を正確に」答えることが大事です。具体的には聞かれたことについて、以下のいずれかの段階で答える必要があります。
・業務経験があり、自分1人で完結できる
・業務経験があり、サポートが必要だが、しばらくの後に自分1人でできるようになる
・業務経験はないが、知識は習得しており、業務がおこなえる
また、業務についてはもっと掘り下げて説明できるようにしておきましょう。
・業務のどの部分を、どのくらいの範囲でを担当していたのか
・業務について、どこまでの責任を負っていたのか
・その業務を担当する際にどれくらいで一人で任されるようになったか
多くの面接では、最後に「何か聞いておきたいことはありますか?」という質問がされますが、これを逆質問と呼びます。
ついでのように聞かれるため、一見選考には関係なさそうにも感じるかもしれませんが、実はアピールに繋がる反面、マイナス評価にも繋がりかねない要素なのです。
当社ヒュープロの経理職特化キャリアアドバイザーから求職者様に逆質問についてお伝えしているのが、面接官によって得意な領域が違うので、その領域に合った質問をするのがよい、ということです。具体的にどのような逆質問が適切なのか、面接官が「人事(採用担当)」「経理職」「役員・代表」の場合に分けて、下表にてご確認ください。
人事(採用担当) |
➣中途採用で貴社で活躍している方の特徴 ➣会社で評価されている社員の共通点 ➣社員同士のコミュニケーションを良好にするポイント |
経理職 |
➣入社後の担当業務/業務内容 ➣使用している会計ソフト ➣現状の経理部の課題 ➣どのレイヤーがどんな業務を担当しているのか ➣部署の仕事の進め方(チーム?or個人?など) ➣経理部の雰囲気 |
役員・代表 | ➣これまでの会社の沿革の中で気になること ➣有報や決算書を見たうえで気になったこと ➣事業に関すること ➣今後の事業展開について ➣会社の今後の成長戦略について |
人事であれば社内制度やヒト、経理であれば経理部の内情、役員や代表であれば会社や事業といった部分に強いため、上記のような質問をするのがオススメです。
このような逆質問をすることで、その会社とのマッチ度を確かめることができるだけでなく、採用側に対して入社に意欲的であるというアピールをすることができるでしょう。
どんな面接官が出てくるかに関わらず、以下のような質問は避けましょう。
このうち上二つについては認識している方が多いかもしれませんが、年収や残業時間、退職金などについては、気になるポイントになりやすいこともあり、つい質問してしまいがちです。
例えば年収の質問をすると、そこまで高い年収を出していない企業であれば、「当社は合わないかもしれない」と考えるかもしれません。残業時間や退職金についても同様です。
このような質問をしたい気持ちは十分理解できますが、選考の突破を優先して押さえておきましょう。ただし、これらの条件は入社するかの重要なポイントにもなるでしょう。そのため、転職エージェントを介してそれらの情報を取得するのがオススメです。業界特化の転職エージェントである当社「ヒュープロ」では、各企業のリアルな情報を把握しておりますので、是非ご活用いただければ幸いです。
上述のようなNG質問と同じかそれ以上にやってはいけないのは、「特にありません」と回答することです。これは応募企業に興味が無い、入社意欲が低いというイメージを強く与えてしまいます。
逆質問で陥りやすいケースとして、企業が詳細な説明をしてくれたことで、予定していた質問をする必要が無くなることがあります。そうならない為にも、最低でも3つほどの質問、さらに「はい」か「いいえ」で答えられる質問以外で考えておくとよいでしょう。
経理未経験の場合には、以下のような質問をされやすいです。
・求める業務に見合う経験とスキルがあるか
・仮に経験がなかったとしてもうまくキャッチアップできる能力があるか
・自社の社風になじめる人材であるか
例えば、決算業務を任せたいのに、一切の経験がないと言うことでは困りますが、仮に経験豊かで全ての業務を任せられそうな人材でも、他のメンバーとうまくやってくれなさそうな人材は困るわけです。
その採用に応募してきたメンバーの中で、経験・スキル・能力・キャラクターのバランスが最も良く取れている人が採用にいたる事になります。
経験については、その時の状況にもよりますが、スキルと能力については、経験や資格取得で、キャラクターについては、企業研究をおこなうことで準備することが可能です。
「面接は嫌だなあ」と思う理由は、自分が緊張してしまうのもそうですが、面接で嫌な質問や意地悪な掘り下げをされたりといったことがある経験も影響しているケースが多いです。
女性であれば、なめ回すように見られたり、セクハラと意識していない質問や、面接の端ばしでの会話に、その企業での女性の立ち位置を見てしまうこともあるかもしれません。
実は、プロフェッショナルの人事というのは日本にはそう多くありません。面接官も専門教育を受けた人が対応することは少ないのです。こうした「嫌な気持ち」にさせるような面接をおこなう担当者は、人材の採用可否を見極め方を誤っているといえます。
今後、その担当が自分の上司や同僚になることもあり得るという視点で、面接時に「この会社に入社した方が良いのか」という目線も持っておくことが、転職後に後悔しないコツといえます。
「緊張してそれどころじゃない」と思うかもしれませんが、実は面接官もそれなりに緊張しているのです。
発送の転換で、「自分が入社して気分よく働ける会社かどうか」という逆面接をするようなつもりで、面接に臨んでみるのも一つの手といえます。
質問の回答内容や答え方で、面接官は、スキルやキャリア観を確認するとともに、自社の社風に合う人材か、今の経理部の中でうまくやっていけるかどうかをジャッジしています。
会社にはその会社の社風があります。ある一定以上のスキルがある人であれば、円滑に仕事を進めて行けるかどうかは、あとは相性での判断です。
逆に考えれば、前項での会社が求める業務経験に少し足りない人であっても「この人ならうちの会社でうまくやっていけるだろう」と思われれば、採用につながるでしょう。
何度かご紹介したように、経理の面接を突破するためには、転職エージェントの利用がオススメです。ぜひ当社ヒュープロをはじめたとした業界特化型のエージェントをご活用いただき、効率的な転職成功を目指しましょう!
当メディア内では、経理の面接ついての記事を他にも公開しています。併せてぜひご一読ください。
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