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人事担当者が辛いと感じる10の仕事

HUPRO 編集部
人事担当者が辛いと感じる10の仕事

皆さんは今後のキャリアパスとして「人事職」を狙っていたり、現在は別職種についていて、今後人事へ転職を希望している人も多いはずです。今回は実際の職場のおいて人事担当者が辛いなと感じる瞬間や、現場で生じる様々な課題について人事のリアルをお伝えします。

「人事」の役割って?

組織として掲げる「人事計画」を基に「採用」「教育/育成」「労務」「評価」の業務を担うのが人事職です。あらゆる部署のヒトに関わる業務はすべてここに集約されます。近年人事の役どころは趣が若干変わってきていますが、従来からの人事業務とはルーティンの業務と突発の業務に大別され、「ヒト」に関する相談窓口として役割を担っています。

人事担当者の定型業務

組織の大小によってないものもありますが定期的にこなす業務は大まかに以下の通りです。

4月;入社式及び新入社員研修運営/段取り、入社書類手続き、雇用実績等取りまとめ、各種保険更新
5月;新入社員入社1か月後研修、次年度採用求人表作成、学校廻り
6月~7月;住民税、労働保険、社会保険の改定/申請/提出のための手続き
8月;インターンシップ対応
9月~10月;次年度採用にかかる内定手続き、社会保険料の算定手続き、最低賃金反映手続き
11月;厚生年金保険料更新、年調告知と回収
12月;年末調整
1月;給与支払報告書取りまとめ、源泉徴収発行手続き
2月~3月;合同説明会準備、入社者準備、入社式準備

これ以外にも、月毎に給与計算、健康診断手配等が入ります。

人事担当者が辛いと感じる瞬間

「人事って大変よね…」とはよく言われますが、これは人事という仕事内容が「ヒト」に関する相談役の立場を担うことから、業務に柔軟性を求められることと対応難易度が高いことに辛いと感じるのかもしれません。

例えば、上司が悪気なく発した言葉を部下が気にしすぎてしまい、パワハラと感じてしまうことなど、一昔前は人事・労務担当者が仕事として扱わなかった事例に対しても近年は対応せざる終えなくなりました。その他にも、人事担当者が感じる仕事での悩みをお伝えしていきたいと思います。

1.離職に関する対応

入社後数か月で辞めました、実績のある社員が辞めました等々離職する理由は様々です。総じて離職を減少させる策を講じるのが人事の仕事です。離職すると大変なのは、単に従業員数が減って人手不足になるからだけではありません。

部署全体の生産性が下がり、その穴を埋めるため一から採用活動をしなければならなくなる。その上、別の部署へしわ寄せが生じ、1人の離職が次の離職者を生んでしまいかねないのです。もしこのような事態になってしまえば、多大なる手間と損失が生じます。事前に対応すべく、退職した本質的な原因の解明と現場ヒアリングを行います。

同じような退職者を出さないために対策を講じますが、原因が労働問題なのか、企業の制度上の問題なのか、はたまたプライベートにかかわるものなのか、多方面からの分析が必要になるため、手間と時間がかかります。

2.従業員の異動

経営層/上層部の意向や人員計画に沿って従業員を配置していきます。組織形態をを最適化させることも人事担当者の仕事になります。異動の内容にもよりますが、何らかの理由があって異動ができない従業員も出てきます。そこを何とか説得し移動をしてもらうことなど、負担に感じる人事担当者は多いはずです。

家庭事情等によって異動ができない場合は別の従業員を異動の対象にしますが、パズルみたいなもので、従業員数が多くなれば多くなるほど作業は混沌としていきます。良くない例として無理な人事異動を従業員に強いることで離職を促す場合も少なくありません。

3.従業員のトラブル対応

従業員が起こした素行不良、勤務態度などの問題に対しては現場で解決するイメージがありますが、査定評価や前述の異動も関係して、最新の情報は人事部署で管理します。とりわけ、社外に対して生じた問題はことが重大になりがちです。当然社内規定により処罰が下るケースもあり、そういうことを伝えて対応するのも人事の役割になります。

4.体調を崩した従業員への対応

業務上生じた事故によって従業員が怪我を被るなど外的影響がある場合は、原因の追求もおおよそ想定できます。しかしながら、近年多い事例として精神的な不調から休業に至るなど個人的な病気への対応です。何が原因によって事態が起こったのかは人それぞれになります。

同僚や上司、さらにはご家族まで聞き取り調査することもあります。稀には必要に応じて取引先からお話を伺うこともある程です。従業員に対する処遇や適応する社内規定や公的制度の段取り、それにより支障が出る社内業務への調整事など、その従業員の実生活が見えることが人事をやっていて辛いと感じるでしょう。

5.ハラスメント対応

精神的な体調不良と共に近年多いのがハラスメント対応です。ハラスメントでは被害者、加害者、及びその周囲とも違う第三者的立場で状況を把握し、解決に導くのが人事の役割です。わだかまりなく三方丸く収めるのが理想ですが、大抵どなたかに折れていただく場合が多いように感じます。

体調が良くない従業員への対応

6.従業員の評価対応

所属組織にもよりますが、全従業員の評価(1次評価~最終評価/査定まで)を人事が一手に引き受けていることも未だにあり、現場調整が大変です。現在は若干変化が起きてきて、1次評価~2次評価あたりの直接評価は直属の上司に一任し、人事部は3次評価以降を担当します。直接評価を担う上司へ評価教育研修などが新たに業務に加わったため、現場とのすり合わせに手間を要する印象を受けました。

7.現場の意見を汲み取ること

新卒であれ、中途であれ、何らかの求人広告は打ち、候補者の興味を引きます。どういう文言や写真で掲載すると求職者の目に留まりやすいか、差別文言や限定文言を使用してないか、露出するタイミングは間違っていないか、内容に齟齬はないか、などは人事担当者がある程度コントロールできますが、問題は「求める人材像」です。

特に中途採用に関しては経営層ではなく現場サイドが大きく関わりますが、現場責任者の方は採用に関して疎い傾向にあります。募集のための条件ヒアリングすると「明るくてコミュニケーションが取りやすい」や「○○さんみたいな感じ」等、結構な割合でざっくりとした条件が返ってきます。

業務のどの部分を強化したいか、どのクラスの人材が当社に必要か、それにあたりどんな経験や資格が必要か等々、ざっくりした条件をかみ砕いてイメージを具体化するのも人事の仕事です。

8.企業と候補者の相性

どんなに具体的な条件を出し、何回も面接して、高度な適性診断して、明確なイメージを持って採用したとしても、最終的には「候補者と企業の相性の良し悪し」で判断されます。またこの相性は実際に仕事をしてみないとわからないのが人事担当者としては厄介に感じます。

いくら経営層や担当部署の意向に沿った採用だったとしても、現場と候補者の相性が悪いことが原因により、不本意な離職者を出してしまうと人事部の責任が問われる可能性があります。メンタルやハラスメントとも複雑に絡み合うことなので、事前に予防策を練っておくことが大切になります。

9.退職勧告業務

人事の最も困難な業務が退職に関わることだと感じています。従業員全員の意図を汲み取ることができないことを面と向かって突きつけられ、できれば避けて通りたい仕事になります。

実際一緒に仕事をした人、過去に大きな業績を上げてきた人、お世話になった上司など、先輩後輩関係なく伝えなければならず、何より精神的に辛いと感じます。退職勧奨の場合は仕事と割り切り、我慢して淡々と伝えることが大事になります。勧奨に使う定型文言というのがあるのでまだ楽なのかもしれません。

10.緊急事態への対応

突然出社しなくなる従業員はいます。事情把握から対応、処罰に至るまでの一連のタスクは当然人事が担当します。前述のメンタル不調などは個人事情の場合が多いので退職勧奨の時ほど心は痛みませんが、最悪解雇しなければならない状況になるとやはり穏やかではありません。

まとめ

合併だったり、世代交代だったり、新規参入だったり、組織を停滞させないためには必要に応じて変革を求められます。人事の仕事は組織について誰よりも考え、組織全体を発展させる役割を担っています。AIなどの技術進歩によって、単純な業務は機械がこなすようになりました。人事の仕事は人を相手にするため、仕事が大変だと感じることもあると思いますが、機械への代替が難しく、これからの時代は大変求められる職種になります。

この記事を書いたライター

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