現在経理を経験している方が転職を考えたとき、一番初めに浮かぶのは領域が似通っている「財務部門」ではないでしょうか。一方で、実際に転職は可能なのか迷っているケースも多いかと思います。今回は経理と財務の仕事内容の違いから、転職は可能なのか、また財務へ転職した後のキャリアパスについて解説していきます。
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まずは、経理と財務の大まかな業務内容の違いを確認しましょう。
経理の業務内容を一言で表すと「日々(過去)のお金の動きを管理する」ことです。
具体的には以下の業務内容に区分されます。
1.売掛、買掛債権管理:売り上げや仕入に関するお金を管理する
2.在庫管理:会社の資産・在庫をお金に換算する
3.経費管理:日々の経費管理
4.財務状況管理:会社の財務状況のまとめ(月次決算・年次決算)
このように、会社にまつわるお金を数字として表し、日々のお金の流れから年単位でのお金の流れを管理するという業務です。
上記経理に対し、財務の業務内容を一言で表すと「未来の会社資金を管理する」ことです。
具体的には以下の業務内容に区分されます。
1.資金調達:銀行からの借り入れ・株式の発行
2.予算管理:年間の資金計画の管理
3.資産調整:社員給与や経費の調整
このように、会社が事業を運営するための資金を集める業務です。
実は会社によって、「経理」「財務」の業務内容の区分けは微妙に違ってきます。さらに中小企業やベンチャー企業の場合、経理と財務の業務を同じメンバーが行っていることもあります。
一方で、「経理は日々の資金管理」なのに対し、財務は「未来の資金調達」であり、経理に比べどの業務をこなすにも専門知識が必要になります。そのため、一般的に経理よりも財務の方が業務領域が難しいと言われています。
上記で「財務の業務は難しい」と述べてきましたが、経理から財務への転職は可能です。転職市場で「経理の経験」を持っている人材は、管理部門未経験の人材よりも、はるかに有利になります。
それでは、実際に経理から財務への転職を成功させるには、どのようなポイントに気をつければよいのでしょうか。
キーワードは「経理業務を行い経験・知識を蓄えること」と、「財務で活かせる資格を取得すること」の2つです。
転職において有利になる「経理のうちに積んでおきたい経験」として、まず基本の月次・年次決算の経験は積んでおきましょう。さらに、決算書の作成と分析を行い、経営者が納得出来るような指標を提供するような経験を積んでおきましょう。
会社全体の資金の流れの理解や、決算書の数字を自分なりに解釈し分析する経験は、財務業務を行う上で必須となります。
財務で活かせる資格をご紹介します。
ファイナンシャルプランナーとは金融・税制・不動産・保険など、広く「家計」に関わる知識を問う資格です。こちらの資格は財務に特化しているというよりも、広い領域でお金の知識をつけることが目的です。
ファイナンシャルプランナーの資格を取得するメリットは、上記のように財務・経理だけでない周辺知識をつけられる点です。将来資金管理のゼネラリストとして活躍したい方は取得することをおすすめします。
FASS検定とは、資産・決算・税務・資金など財務・経理の実際の業務で必要となる知識を問う試験です。メジャーな「日商簿記検定」よりも、より実践に近い知識が問われるというイメージです。
FASS検定の資格を取得するメリットは、上記の通り日商簿記よりも実践的な知識をアピールすることが可能です。日商簿記を持っていて日商簿記の1級を取得するか迷っている方は、FASS検定の取得をした方が転職市場で有利になりますので一度検討してみることをおすすめします。
IFRS検定とは、正式名称を「国際財務報告基準」といい、グローバルな会計基準の知識を問う資格です。現在は日本語での受験が可能になっているため、以前の英語での受験よりもハードルが低くなっています。
IFRS検定を取得するメリットは、今後のグローバル社会にも対応できるというという点です。近年ではIFRSを導入する企業が増えているため、転職の際アピールできる資格です。
最後に、財務への転職が成功した際、どのようなキャリアパスを描けるのでしょうか。
財務担当→財務管理職→CFO(最高財務責任者)に昇進するケースです。
こちらのキャリアパスは、実は経理担当からも目指すことが出来、経理担当→経理管理職CFOのルートもあります。そのため、経理・財務どちらの知識も持っていると、かなり有利になるといえます。
財務を経験した後、コンサルティングファームに転職し財務・会計コンサルタントになるケースです。
企業や個人事業主などに対し、資産状況を調査・分析し、今後の戦略案を提案しなければならないため、幅広い知識が必要になります。
経理業務と財務業務は似て非なるものですが、経理の経験を活かし転職をすることは可能です。まずは日々の経理業務をしっかりとこなすと共に、資格取得に努めましょう。現時点でのご自身の市場価値や、キャリアチェンジに迷った際は、転職エージェント等を活用し相談することもおすすめです。
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