今回は、20代で税理士試験に合格し、税理士として働く場合の平均年収や仕事内容、資格を生かしたキャリア選択について解説していきます。20代でこれから税理士業界へ転職を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
税理士業界において20代の割合は少なく、日本税理士会連合会が行っている第6回税理士実態調査によると、税理士登録している税理士の20代の割合は全体のなんと0.6%という結果です。ちなみに前回の調査では20代税理士の割合は1.1%でしたので、税理士の若手の割合は減少傾向となっています。
これは、よく世間でも言われている会計業務がAIに代替されるという話の影響もあり、若手で税理士を目指す人が減っているためです。一方で、直近の税理士試験から受験資格が変更になったこともあり、受験者数や一部科目合格者の数は増加傾向にあります。
ただ、やはり税理士の転職市場における20代の価値というのはとても高く、選択肢もBIG4税理士法人から専門特化型の事務所、一般の事業会社の経理財務まで多岐に渡ります。
令和5年度(第73回)税理士試験結果
41歳以上 | 20.9% |
36~40歳 | 13.5% |
31~35歳 | 16.4% |
26~30歳 | 18.7% |
21~25歳 | 23.8% |
20歳以下 | 6.8% |
「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、税理士の平均年収は20〜24歳で約371万円、25〜29歳で約519万円でした。中央値は445万円なので、20代税理士の年収は445万円あたりであると推測できます。
税理士資格の有無は、特に会計事務所などで採用の可否に影響を与えることはありますが、BIG4など大手税理士法人で働く場合を除いては、年収面では大きなインパクトはない印象です。
実際、同調査による税理士以外も含めた平均年収は20〜24歳で約273万円、25〜29歳で約389万円だったので、100万~150万円ほどの年収アップが相場ということになります。
つまり、すでに税理士試験5科目の合格や科目合格が1科目以上ある人は、ない人に比べて採用される可能性は高くなるものの、実は年収については資格の有無で大きな差は生じないというのが実情です。
出典:令和5年賃金構造基本統計調査
税理士試験に合格している人の場合、実務経験5年〜10年程度のタイミングで独立開業や大手事務所、一般企業などへの転職といった形でステップアップを目指す人が多いです。
この業界は、サラリーマンとしてのキャリアアップを目指す方もいる一方で、独立志向の強い人が多いのが特徴の一つです。この点は公認会計士を目指す人と比較しても顕著といえます。独立開業した場合の年収はまさしく「頑張り次第」ということになります。
人件費以外の固定費は基本的にかからないビジネスですので、従業員の教育と定着を図りつつ事業規模を拡大していく税理士も多くいます。おおよその目安ですが、従業員20名以上の会計事務所で「中規模事務所」と言われることが多いです。大手の税理士法人になると従業員数100名を超えるところもあります。
20代の税理士有資格者は希少なので、特に会計事務所などでは年収に反映されたり、資格手当が支給されるのが一般的です。
一方で、税理士試験に合格しているものの実務経験がまだない場合は、新規の顧客がつくまで年収が上がる可能性は低いです。実務経験が2年以上ないと税理士登録ができないため、税理士試験合格のみだと税理士の独占業務を行えないことも一因でしょう。
会計事務所に入社してから5年目ぐらいまでの20代税理士の平均年収は350万円~400万円程度です。経験5年目以降のベテラン職員で年収450万円〜600万円程度稼げればわりと優遇されている扱いになります。
20代で未経験から働き始める場合、具体的には以下のようなパターンで税理士としてのキャリアプランを考える人が多いでしょう。
税理士業界で高年収(例えば年収1000万円など)を稼ぎたいのであれば、BIG4を中心とした大手税理士法人に勤務する、年収水準が高い一部の中小会計事務所に勤務する、もしくは独立して自分の事務所を持つキャリアを目指すといった選択肢を選ぶ必要があります。
まず、BIG4に入るのは採用時にかなり高いハードルがありますが、20代で税理士資格を持っている方であれば、それ以外の面でよほどマイナス評価にならなければ、採用される可能性は高いでしょう。
仕事はハードですがその分若いうちから成長でき、中小事務所では取り扱えない最大手企業を相手とした国際税務など、税務会計に関する専門性を磨いていくことができます。
もちろん、大手以外でも高年収が実現可能な会計事務所は存在します。
高年収が目指せる中小会計事務所の特徴として、専門性の高い業務に強みを持っている事務所や、インセンティブ制度を取り入れている事務所などが挙げられます。
専門性の高い業務には国際税務やM&Aアドバイザリーなどが該当します。また、インセンティブ制度とは給料が成果に応じて上乗せされていく制度を指します。
そして独立した場合は、自分で顧問先を開拓していく営業スキルは必須です。高年収の可能性がある一方で、顧客がいなければ全く稼げなくなる可能性も出てくるので、その点は留意しておく必要があるでしょう。
顧問先の経理や税務代行だけを自分の仕事と考えるのではなく、活用できる節税対策の方法を提案したり、生命保険などの代理店報酬を稼げるようになったりすることも大切です。
職員時代からこうした形で自分の所属する事務所の売り上げに貢献できる人は、独立しても成功できる可能性が高いと言えます。
会計事務所で働く税理士の中でも、年収の高い人と低い人は大きく分かれます。
稼げる会計事務所職員を一言で表すと「営業スキルの高い人」です。
会計業務や税理士業務では高い専門知識が求められますが、習ってきたことをそのまま伝えても、税金のプロではない経営者からしたら全く理解ができません。
難しいことを簡単にわかりやすく説明できる人のほうが経営者に気に入られやすい傾向にあるのは間違いありません。
ここで一番大切なのは、経営者や顧問先とのコミュニケーションです。
経営者に気に入られる人は、税制面や経営的なアドバイスの他になにげない「世間話」を積極的にします。
普段のなにげない世間話から経営者の好みや悩みを聞き出し、生命保険の営業などに繋げる税理士は給料も高いです。相手の立場になって考えれば当然ですが、いきなり生命保険を勧められても営利目的で動いているようにしか見えません。
なにげない会話が信頼をつかみ、相手の立場、状況を理解したうえで営業をかけていったほうが成果を上げられます。逆にこれらができていない会計事務所職員は、たとえ税理士有資格者であっても年収も低いのです。
税理士として高収入を目指すのであれば「営業力スキル」を高めることも重要なのです。
20代の税理士は先述したように非常に市場価値が高いため、幅広いキャリアの選択肢があります。
税理士として将来どういうキャリアを築きたいのかによって、20代の過ごし方は大きく異なってくるでしょう。将来独立したいのであれば、中小規模の事務所で経験を積むべきですし、会社に勤める中で活躍を望むのであれば、若いうちに大手税理士法人やあるいは事業会社を選択して自分の税理士資格を活かしながら専門性を高めていき、市場価値を上げることが重要です。
もちろん、資格を活かして年収を上げていくというのも一つのキャリアプランです。ただし、何もしなくても年収が上がるような職場はほとんどないので、年収アップをモチベーションに必要な知識と経験を存分に積める環境を選ぶのがよいでしょう。
最後に、税理士資格を活かして高年収を実現できる環境で働きたい方にオススメのハートランド税理士法人をご紹介させて頂きます!
ハートランド税理士法人は大阪府大阪市に本社および梅田オフィスを構え、東京にも五反田オフィスを展開している税理士法人です。
税務顧問(巡回監査)や決算業務、申告書類作成、会社設立支援、クラウド会計導入支援、MAS業務、相続対策、組織再編、事業承継、M&Aなど幅広いサービスを提供しています。
「報われない、を終わらせる」をモットーに、利益を従業員へ還元するインセンティブ制度で業界トップクラスの年収を実現できるのが魅力となっています。
業界経験のある転職者は全員が前職以上の年収を実現中(2024年1月実績)で、勤続3年未満の税務担当・平均年収823万円、勤続3年以上の税務担当・平均年収1,228万円と上場企業並みの超好待遇を実現しています。
そもそもインセンティブ制度を導入している会計事務所が珍しい中でその率も高いので、他では目指せない年収や、モチベーションを持つことができるでしょう。
顧問先数は1,200件(年間純増350件)と取り扱う案件の幅も広いため、さまざまな経験を積んでスキルアップ&キャリアアップも目指せます。
その他、高年収だからといって、働き詰めというわけではなく、フレックスタイム制(コアタイム10:00〜16:00)の利用が可能で、年間休日も125日など、働きやすさも実現しています。
ハートランド税理士法人について、詳しい会社案内を確認されたい方は、以下より事務所様のサイトをご覧ください。
今回は、20代の税理士の年収事情や、どのようなキャリアを歩んでいくべきかについて解説しました。20代という若さと税理士という資格の取得難易度から、非常に市場価値の高い存在です。その一方で、働く職場やその後のキャリアによって年収は左右されることを認識しておきましょう。
まだ税理士試験に合格できていないという人は「試験に合格してから働き始める/転職する」という方も多いかもしれませんが、この業界は資格とともに実務経験がものをいう世界でもあります。試験に合格する前であっても、年齢的に少しでも若い時期からキャリアをスタートする方が良い場合もありますので、ぜひ長期的な目線でキャリアを考えていくようにしてください。
税理士全体の年収事情についてはこちらのコラムでも詳しく紹介していますので、あわせて是非ご覧ください。
<関連記事>