今回は業界未経験から税理士を目指している35歳男性のキャリア相談です。
新卒ではトラック運転手をしていましたが、この度一念発起で税理士を目指しました。4科目合格したところで会計事務所に勤め始めましたが、仕事ができない不安から転職を考えています。相談内容に基もとに、経理・財務職のご転職相談を年間通じて多数受ける『最速転職HUPRO』がご回答します。
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35歳男性。大学卒業後、トラック運送会社に勤めトラック運転手の仕事をしていたが、何か専門領域を設けて自分に強みをつけたいと思い、30歳を超えてから大手専門学校に通い、税理士試験を目指すことに。1年に1科目づつ合格し、昨年会計事務所に入所したが、思い通りの仕事ができないことに不安を感じ、新しく転職すべきかどうか悩み中。
大学卒業後、元々はトラックの運転手をやっていたのですが、何か自分に強みをつけたいと思い、一念発起して、30歳を越えてから、大手専門学校の通信教育に通い、税理士試験合格を目指すことにしました。
仕事をしながらでしたが、1年1科目ずつ受験し、今までは割と順調に4年で4科目に合格して、昨年会計事務所に無事入ることができました。
しかし、現在の事務所は仕訳の入力作業ばかりで、受験で得た知識をどう活用する場面もほとんどなく、このままだとせっかく受験で得た知識を忘れてしまうだけのような気がしています。
もうすぐ1年が経ちますが、まだ1人で申告業務は行えず、一般的にはどのぐらいで行えるようになるものなのかも不安に思っています。
また、もう少し裁量が持てる事務所への転職も考えています。
社会人の平均勉強時が6分とされる中、まずは、一念発起し、新たな資格取得を目指した行動力はとても素晴らしいことです。また、新卒一括採用後は横並びの労務管理で定年まで勤め、その後は年金生活というキャリアパスは明らかに旧来のものとして考えられていると言えるでしょう。リカレント教育(学びなおし)の必要性は叫ばれてはいるものの、実際に行動に落とし込めている人は多くはありません。
今回、官報合格まで残り1科目に迫っているものの現在の会計事務所の職務内容に満足できないとお察ししました。結論としては、今の事務所で税理士試験の残り1科目に合格してから転職すべきと考えます。理由は科目合格と官報合格では、科目合格者の中にも優秀な方はおられますが、信頼性に差がある点が否めません。税理士試験に官報合格し信頼性が担保されることにより、あきらかに転職先も選択肢が増えます。
また、転職をするにしても、まずは今の事務所において、1人で申告業務を行えるようになるまではいるべきとも言えます。これは、官報合格かつ1人で申告業務を行えるという能力は更に市場価値が高まるからです。1年で1科目ずつ、かつ、既に4科目合格する力があれば、勉強の習慣及び勉強法が確立されているのは言うまでもありません。その場合、受験専業(その間、いわゆる失業手当以外は事実上の無収入)のリスクをあえて選択する必要性も乏しいと言わざるを得ません。
また、今転職をしたとしても、官報合格でなければ、納得のいく転職先を見つけたとしても任される業務が(科目合格ゆえに)一定程度以下に留められる場合も想定できます。そうなると、現職と従事する内容は同じであるにも関わらず、勤続期間が少ないゆえに有給休暇の付与日数も少なく、最も肝心な8月の試験日にも満足に有給休暇を取得できないリスクも考慮すべきでしょう。そのようなリスクが予見できるのであれば、業務の幅が広がり得る官報合格を勝ち取ってからの転職の方が被るリスク(有給休暇や、任される職務の内容があまり変わらない可能性)も少ないと言えます。
そして、晴れて官報合格することが出来ればそもそも現職でも従来と同じ業務のままというわけにはいかないでしょう。申告業務は未経験の場合、半年から2年程度で任されるケースが多いこともあり、また、最近は業務のマニュアル化が進み、3ヶ月以内に申告業務ができるようになる人や事務所もあります。それらの点を総合考慮すると、現職を一定期間「引っ張る」という選択をしても大きく道を踏み外しているとまでは言えません。
万が一、官報合格後も現在と同じような業務内容であれば、その後のキャリアを見据えて、その時は、むしろ転職を積極的に検討すべきと言えるでしょう。