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本当に激務なのか?大手税理士法人に転職する前に抑えておきたいポイント

HUPRO 編集部
大手税理士法人の特徴と大手税理士法人への転職について

税理士としてのキャリア形成について様々な思いを巡らしている方が多いと思います。その中でも収入及び社会的ステータスが高い大手税理士法人で経験を積みたいとお考えの方も少なくないでしょう。今回は激務と噂される大手税理士事務所の実態と転職前に抑えておきたいポイントを解説します。

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大手税理士法人とは

大手税理士法人について、明確な定義はありませんが、一般的には、BIG4と呼ばれる4大税理士法人及びその他の2法人のことを指す場合が多いです。

ここで、4大税理士法人とは、

・KPMG税理士法人
・PwC税理士法人
・EY税理士法人
・デロイト トーマツ税理士法人

のことです。
また、残りの2法人は、

・辻・本郷税理士法人
・税理士法人山田&パートナーズ

なお、4大税理士法人については、世界4大会計事務所とメンバーファームとなり、業務提携を交わしています。ロイヤリティー(加盟金)は収めていますが、国内で日本人が代表を務めている『外資系会計事務所』ということになります。

大手税理士法人の特徴

大手税理士法人のクライアントは大手企業・外資系企業・金融機関などで、企業規模が大きいクライアントが多いです。大手税理士法人はこういったクライアントに会計・税務・コンサルティングなどを提供していますが、もちろん主に提供しているのは税務に関する業務です。

クライアントの多くは自前で経理・会計に関する部署を持っているため、記帳代行・決算業務・税務申告書の作成はクライアント自身が行うのが通常です。そのため、大手税理士法人にて行う主な業務は、作成された税務申告書のチェックなどです。

また、上記のように記帳代行や決算業務を行わない分、大手税理士法人では、中小の税理士法人・会計事務所では扱うことの少ない、より専門性の高い税務業務が行われています。

大手税理士法人の年収事情

大手税理士法人の年収事情

大手税理士法人は基本的には中小の税理士事務所に比べると、給料面含め待遇が良いです。BIG4と呼ばれる大手では、初任給も高く、初年度で年収が500万円に達するケースもあります。

なぜ年収が高くなるのかと言うと、大手税理士法人は、クライアントも上場している大手企業が多く、また高度な国際税務の案件を扱うなど、その分大きな利益を上げているからです。

もちろん、大手税理士法人への転職は選考ハードルが高く難しいですが、採用されれば、初任給から高待遇が用意され、40代にもなれば年収1000万円以上も望めるでしょう。

大手税理士法人で働くメリット

次に、大手税理士法人で働くメリットをご紹介します。

年収が高い

既に記載しましたが、大手税理士法人はその他の税理士法人・会計事務所と比べて年収のレンジが高いです。これは非常に大きなメリットと言えるでしょう。

専門性の高い業務の経験

上記のように、大手税理士法人のクライアントは大手企業、外資系企業、金融機関などです。大手企業、外資系企業、金融機関ならではの税制があるなどの理由で、大手税理士法人でしか経験できない専門性の高い業務が存在します。そういった業務を経験できることは大手税理士法人で働くメリットであると言えます。
そこで実績を残すことは今後のキャリア形成の大きな手助けになるでしょう。

英語を使う業務ができる

外資系企業の多くも顧問先となりますから、国際税務に取り組むことができます。英語ができない人にとっては難しいですが、英語ができる人にとっては、大きなチャンスであり、そこを評価されて転職すると年収アップも見込めるでしょう。

大手税理士法人で働くデメリット

反対に、大手税理士法人で働くデメリットとしては下記が挙げられます。

繁忙期は激務である

会計業界の繁忙期は非常に多忙ですが、大手税理士法人の繁忙期は特に激務であると有名です。その激務と言われる仕事内容ですが、具体的には決算時の税務報告業務の時期が多忙です。そして、その期間が長いのが特徴と言えます。

外資系の企業と国内大手企業を多く相手にしているために繁忙期がそれぞれに異なります。外資系企業の場合には、12月に決算を迎える企業が多く、1月~3月が繁忙期となります。国内大手企業の場合は3月決算が一般的に多いため、消費税や法人税などの申告もあり、4月~6月まで忙しいでしょう。両方を相手にしている場合は、1月~6月までの長期間にわたって忙しくなります。

この期間は申告書の書類製作に追われ、自宅に帰れないほどの激務になることが増えます。繁忙期には休日に出勤することも可能性として出てくるでしょう。ストレスをかかえて健康を大きく害してしまうと社会人生活全体に悪影響を与えますので、大手税理士法人に転職するのであれば、上手に健康を維持することと大きな覚悟が必要です。

ただ、その後の7月~9月などはわりと暇な時期になりますので、ひと段落することができます。激務も一年中というわけではありませんので、メリハリを付けた仕事ができれば乗り切れるでしょう。
また、大手税理士法人は幅広い業務を行っているために、申告時期でなくても年中忙しいという部署などもあり、大手税理士法人によっても異なります。

大手税理士法人の激務と言われる仕事内容

激務と言われている具体的な仕事内容についても見ていきます。
大手税理士法人の仕事内容としては、まず「税務コンプライアンス」として、税務申告書の作成、税務相談や税務代行などを行います。これは他の会計事務所とも一緒です。

また、「税務コンサルティング」として、M&A・組織再編、企業再生や事業承継海外税制についての調査・解説などに重きをおいて行う点が特徴的です。
「国際税務」もあり外資系企業も多いため、アウトバウンド、インバウンドの国際税務なども行います。大手税理士法人で得ることができる貴重な専門知識となります。
他には、関税や間接税、移転価格なども扱います。大手税理士法人でないと経験できない部分もありキャリアアップが図れる点がメリットです。広く業務を行うというよりも貴重な経験ができ、専門的な知識が得られるのが魅力です。

チームで業務を担当

また仕事のやり方としては、大きな業務を担当することが多いためにチームで仕事を行うのが特徴です。大きなクライアントに対してチームで案件を遂行し、そのマネージメント業務を行う人も重要です。

管理職(マネージャー)として転職をした場合には、チームをマネージメントしてチームワークで長期的な激務をこなしていきます。新規のクライアントや案件を生み出していく営業も大切な仕事となります。

将来の独立には直結しない面がある

大手税理士法人では専門性が高い業務を行えることをメリットとしてあげました。しかし裏を返せば、高度な専門性が要求されない中小企業のクライアントに対する基本的な記帳代行・決算業務・税務の経験は積むことが難しいとも言えます。

各々の専門性を高めやすくするために、部門が細分化されていることや任される業務の範囲が限定的であることが理由です。税理士として独立開業する際には、そのような専門業務が直接生かせる機会は少ないため、場合によってはデメリットと言えるでしょう。

将来独立したい場合には、広く業務を経験できる中小の税理士法人に転職する方がおすすめとも言われています。

大手税理士法人へ転職する魅力

ただ、それでも大手税理士法人への転職は人気です。激務であるということで敬遠される場合もありますが、ここでしか得られない専門的な知識や経験があり転職先に選ぶ人が多くなっています。

また近年、税理士業界は人手不足です。これは大手税理士法人も例外ではありません。そのため、以前に比べれば大手税理士法人からの内定が得やすくなっています。しかし、大手税理士法人は依然として人気があるのも事実なので、簡単に内定が得られるというわけではありません。以下で内定を得やすい方の条件を見ていきましょう。

大手税理士法人への転職

大手税理士法人への転職のための条件

大手税理士法人への転職の条件は、年齢によっても異なってきます。できれば若い方が有利です。その他、外資系に対応する英語力なども重要となりますので詳しい条件を参考にして下さい。

年齢

これは大手税理士法人への転職だけに限らず転職全般に言えることですが、基本的に、若い方が有利です。30代前半まであれば、自分の売りを実務経験と合わせて上手にアピールできれば転職できる可能性は十分にあります。30代中旬以降の方は、十分なスキルと実務経験が求められます。

税理士試験の複数科目合格

税理士試験の必須科目である簿記論、財務諸表論についてはもちろんですが、その他メジャーな法人税法もきっちりと合格しておきましょう。大手税理士法人へ中途として転職する場合は、この3科目は必須であると言えます。もちろん理想は5科目合格です。

英語力

大手税理士法人だけに限らず、日本での転職に最も有効な資格の一つのTOEICですが、800点以上であれば大手税理士法人への転職活動にも有利に働くでしょう。

豊富な実務経験

税理士事務所での実務経験はもちろん評価対象ですが、一般の事業会社の経理財務業務も内容によって十分な経験であると評価されます。例えば、大手企業での連結決算業や税務申告までを対応していた能力は、大手税理士法人においても顧問先との折衝業務にも活かすことができます。その他、コンサルティング業務の経験もアドバンテージとなるでしょう。

大手税理士法人への転職で求められるもの

BIG4の大手税理士法人への転職は、年齢が上になると難しくなると言われています。これまでの経験や知識が高くないと難しい面があります。
若いうちは税理士試験の科目にあまり合格していなくても最近の人手不足のために入社できることもあったりします。ただし、人気の税理士法人や年齢が上の場合には税理士試験科目合格などが条件になります。

転職する部署によって、どの科目に合格していることが評価対象になるのかも変わってきます。自分が合格している科目によって、転職先の要件をチェックしてみるといいでしょう。
M&A・組織再編、企業再生や事業承継などの業務ごとに部署が分かれているために、細かな専門知識が必要となるのも特徴です。広い経験や知識というよりも、転職して深く専門的に学びたいと思っている人に向いています。

大手企業の経理に転職する人も

また、なかには税理士法人から大手企業の経理に転職する人もいます。もっと簿記について細かく関わってみたいという人も実際にいます。
そんな場合には実際の経理系の経験がなくても、会計事務所や税理士法人で行っていた経験を詳しくアピールしてみるといいでしょう。
経理の業務内容と共通する点を探してアピールしてみることがおすすめです。記帳や申請書の作成、申告などについて強いことを活かしてみるのが良い方法です。

まとめ

ここまで大手税理士法人の特徴と転職についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。各々のキャリアプランと照らし合わせた時に、必ずしも大手税理士法人への転職がプラスに働くとは限りません。しかし大手税理士法人での経験が、税理士として貴重であることに疑いの余地はないでしょう。年齢によって有利な状況もあることから、大手税理士法人にチャレンジする時期は考えておくと良いかもしれません。

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この記事を書いたライター

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