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開示業務とはどんな仕事?担当者は限られている?

HUPRO 編集部
開示業務とはどんな仕事?担当者は限られている?

上場会社は、有価証券報告書や四半期報告書を通して、投資家などの利害関係者の判断のために、企業の経営成績や財務情報を公表する必要があります。それらの報告書を作成する業務が、いわゆる開示業務と言われます。今回は、開示業務についての詳細やどのような人材が担当しているのかについて解説していきます。

業績の速報値を表す開示業務である「決算短信」の作成

一般的な上場会社の、開示業務のスケジュールについて説明します。

まず決算あるいは四半期決算を迎えると、適時開示として取引所に書類を提出します。その中でも最初に作成するのが、「決算短信」または「四半期決算短信」です。

これは、企業の業績や財政状況等を、投資家に向けて発表するための資料です。直近の決算期の速報という位置づけで開示されます。東京証券取引所は「決算発表の早期化の要請」という文章の中で、「遅くとも決算期末後45日(45日目が休日である場合は、翌営業日)以内に内容のとりまとめを行い、その開示を行うことが適当である」と述べたうえで、更に、「決算期末後30日以内(期末が月末である場合は、翌月内)の開示が、より望ましいものと考えられる」としています。

参照:決算短信・四半期決算短信 作成要領等|株式会社東京証券取引所

上場会社の場合、連結会社等の数もかなり多くなっている場合が多いため、本決算後の45日というのは、かなりタイトなスケジュールとなっています。3月末決算の会社の場合は、5月中旬の発表になるため、ゴールデンウィークは返上して、開示業務にあたることが多いでしょう。

監査法人も監査のために出入りしている時期になりますが、取引所の規程においては、決算の内容が定まった場合、直ちにその内容を開示することを求めていて、監査や四半期レビューの手続きの終了は開示の要件とはしていないため、まずは経理部として作成し発表することになります。勿論、監査法人に質問をすることはできますが、監査人は決算短信の数字についての責任は負えません。

なお、四半期決算短信については、金商法に基づく四半期報告書の法定提出期限が45日とされていることを踏まえ、「決算発表の早期化の要請」の対象とはなっていません。いずれにせよ、45日以内に数字をほぼ確定させなければならないことに変わりはありません。

債権者や株主のための開示業務である「会社法計算書類等」の作成

決算短信を出した後は、会社法に基づく開示制度である計算書類および事業報告を作成する必要があります。そうは言っても、数字自体は決算短信の延長上にあるものなので、短信よりもより細かい項目について記載していくというイメージになります。

これらは定時株主総会で報告されるため、株主総会の行われる2週間前までに株主に発送しなければなりません。計算書類には、貸借対照表や損益計算書、株主資本変動計算書、そして注記表が含まれます。

債権者や株主のための開示業務である「会社法計算書類等」の作成

投資家に対する開示業務である「有価証券報告書」等の作成

株主総会が終わると、「有価証券報告書」の作成です。なお、四半期決算の場合は、定時株主総会は行われないため、決算短信とほとんど同時に四半期報告書を作成します。

有価証券報告書の期日は、決算日の90日後となるため、3月末決算の会社の場合、6月いっぱいにかけて、経理部は細かいチェックに緊張感の続く日々が続きます。

有価証券報告書は法定開示資料ですので、監査法人が監査をします。監査が無事に終わり、監査報告書が添付されないと開示をすることができないため、監査法人の監査業務の日程も考えて、報告書作成のスケジューリングをしなければなりません。ですので、期日が90日あるといっても、実際には決算短信の発表がある時期には、監査業務も大詰めで数字はほとんど固まっているという場合も多いです。そのあと、細かい開示の項目について、監査法人や有価証券報告書の印刷会社に質問をしながら、粛々と作成していく業務が続くのです。
 

開示業務の苦労する点とは?

有価証券報告書については、毎年のように法律が改正され、開示項目が変化していくので、新しい法令へのキャッチアップが必要になります。

そのため、セミナー等にも足を運び、学びを深める必要があります。また、何度も推敲(すいこう)を重ね、最終的には監査法人に出向いて、声に出して読み合わせをするような仕事もあります。何ページにもわたる書類を、一文字ずつ確認していく必要があるため、かなり神経を使う業務です。

また、決算短信、会社法計算書類、そして有価証券報告書と同じような内容を、それぞれ違ったルールの下で違ったフォーマットを元に作成するため、効率化できるところとそうでないところの区別をして、計画的に作成していくことが重要になります。

まとめ

今回は、上場会社の決算を例にとって、開示業務について解説してきました。かなり専門性の必要な業務ですので、一度しっかりとした経験を積むと、転職の際にも有利に働くことが考えられます。大変な業務ではありますが、投資家や株主に資する書類を作ることができるという点では、やりがいのある仕事と言えると思います。

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