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例題解説!固定資産の計算方法について詳しく解説

公認会計士 大国光大
固定資産の計算

固定資産は、取得、減価償却、除却、売却と様々な処理のポイントがあります。この中でも取得原価の求め方を間違えると最後まで影響するため、とても大事なポイントとなります。
そこで今回は、固定資産の取得原価の求め方や、どんな費用を入れるかまたは入れないのかを解説します。

固定資産の取得原価の求め方は?

固定資産のスタートでもある取得原価は、次のものを合計して求められます。
固定資産の購入代価
固定資産を使える状態にするために直接支出した費用
購入するために付随した費用

このまま読んでみても、どれをどれだけ入れたら良いかがわかりづらいかもしれません。そこで、ここからは具体的にお話します。

固定資産の購入代価の求め方

まず、本体ともいえる固定資産の購入代価についてです。具体的な例を見ていきましょう。

(例) 建物を購入するために、1億円の借入をし、100万円の利息を支払った。代金は5,000万円を現金で支払いし、残り1億円を借入金から支払った。

ここで、購入代金というのは建物本体価格の5,000万円+1億円の1億5千万円となります。利息の100万円銀行へ支払うものなので、購入代価には含めません。特例で利息を購入代価に入れることもあるのですが、例外的な処理ですのであまり気にしなくても良いでしょう。

固定資産を事業に使うために直接支払った費用

次に、固定資産を事業に使うために直接支払った費用についてお話します。

例えば、1億円の機械を購入したとしても買っただけでは使えないことがほとんどです。機械を運ぶための費用、設置するために外部に支払った費用、機械を動かすための試運転費用等が該当します。

簡単な例を見てみましょう。

(例) 機械を1億円で発注し、外部運送会社に100万円、据付費用として300万円、機械を動かすための試運転費用として100万円かかった。

この例でいくと、どれかが欠けても機械は動かないので、全てが固定資産の取得原価に含められます。よって、固定資産の取得原価は1億5百万となります。

取得原価に含める付随費用の考え方は「その費用が無ければ固定資産が稼働しないもの」となります。ですので、例えばスペアで買った機械の部品や機械と一緒に購入した関係のないものについては取得原価から除く必要があります。

固定資産の購入代価の求め方

固定資産の単位

では、今度は複数の資産を購入した時のことを考えてみましょう。
例えば、PC9万円をまとめて10台90万円で購入したとします。1契約としては90万ですので、全てを固定資産に振り替えなければならないかどうか悩みどころです。

固定資産の単位は「そのもの一つずつで稼働できるかどうか」がポイントとなります。よって、PCで言えば単体で稼働できるため、9万円ずつの資産となります。しかも、10万円以下の場合は費用処理ができるため、この説例では90万円が消耗品等の科目で費用処理されます。

一方で、応接セット、机20万円、椅子が4脚で30万円だったとします。一見、バラバラで処理ができそうですが、応接セットは机といすが全て揃って初めて機能するので、合計の50万円が固定資産の取得原価となります。

想像してみてください。お客さんを応接に通して机だけあったら立った商談になりますし、椅子だけあって机の無い応接では取れる受注も取れなくなってしまうでしょう。

固定資産の取得原価に含めないもの

今まで固定資産の取得原価に含めるものをお話しましたが、逆に固定資産の取得原価に含めないもの、含めなくても良いものについて解説します。

まず、土地を購入した時には不動産取得税が発生します。この不動産取得税は土地を取得するのに必要な費用ですので、取得原価に含めなければならないと感じるかもしれません。ですが、不動産取得税は取得原価に含めても含めなくても良いとされています。
特に土地は減価償却費がないので、不動産取得税を取得原価に含めてしまうと土地を売却するまで費用処理されないこととなります。
節税のためには、不動産取得税はなるべく費用処理をした方が得、と言えるでしょう。

同じように、登録免許税というものがあります。登録免許税についても同じ考え方で費用処理が選択できます。ただし、特許権などの権利については登録免許税も取得原価に含めて計算しなければなりません。
これは、その他の資産は登録免許税が無くても物自体は存在しているのに対して、特許権などについては登録免許税を支払うことでようやく権利が主張できるという違いから来ています。

まとめ

固定資産の取得原価は、本体そのものにかかる支出と、固定資産を使えるようにするために支出した費用、固定資産に付随する資料で求められます。この取得原価を間違えると減価償却や除却売却の仕訳も間違えることとなるため注意が必要です。
税務上はなるべく費用処理できるものは費用処理をして、反対に資産計上しなければならないものは固定資産に含めて、適切な会計処理と税務処理ができるようにしておきましょう。

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この記事を書いたライター

公認会計士、税理士。監査法人東海会計社代表社員、税理士法人クレサス代表社員。大学時代に公認会計士旧二次試験に合格後大手監査法人に就職し、27歳で独立開業。国際会計と株式公開支援が専門。セミナーや大学で講師を務めたり書籍の出版も行っている。
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