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ITに強い税理士になるメリット(業務効率化・IT業界への転職)と必要なスキル

HUPRO 編集部
ITに強い税理士になるメリット(業務効率化・IT業界への転職)と必要なスキル

クラウド会計ソフトの普及など、税理士業務においても急速なIT化が進んでいます。ITに強い税理士になるメリットの一例として、「IT活用による業務効率化」 「IT業界に企業内税理士として転職」が挙げられます。今回は税理士業務へのIT活用、IT業界への転職を検討している方向けに、それぞれに必要なスキルなどを解説していきます。

ITを活用して税理士業務を効率化できる

ITに強い税理士になるメリットのひとつは、IT活用による業務効率化です。業務効率化には、細かく分けると4つのメリットがあります。

・作業時間の削減
・人員やコストの削減
・ミスの軽減
・コア業務への時間集中

たとえば、クラウド会計は銀行口座の取引内容を自動でソフトに取り込めるため、これまで必要だった、銀行での記帳作業が消滅します。このように、ITの活用によって作業時間が削減できます。その結果、たとえば銀行の記帳作業などの付随業務を行っていた人員や人件費などのコスト削減、自動取り込みにより人的な入力ミスの軽減が可能です。
さらに、作業時間の削減により、財務分析などのコア業務への時間集中が可能となり、より本質的な税理士業務を行うことができます。

IT活用による税理士業務効率化に必要なスキル

税理士業務を効率化するうえで、最低限必要なIT活用の一例として、次が挙げられます。

①クラウド会計の活用

「freee」 「マネーフォーワード(MF)クラウド会計」 「弥生会計オンライン」などクラウド会計の活用は、一般的な税理士事務所においても浸透してきています。
クラウド会計は、オンライン上で税理士事務所とクライアントを結ぶことができ、財務状況などをリアルタイムに確認できる点や、銀行口座やクレジットカードなど様々なサービスを自動で取り込んで記録できる点などが大きなメリットです。

②ITツールの利用

クライアントによっては、メールは最低限として、SlackやChatwork、SkypeやLine、DropboxやGoogle DriveなどのITツールを日常的に利用しています。そうしたクライアントと取引するには、各ツールの特徴やメリット・デメリットを押さえて、目的に応じた使い分けが必要です。

③ExcelやAccessにおけるマクロなどの活用

クラウド会計ですべての分析を行うのが効率的ですが、独自の分析や資料作成を行いたい場合は、クラウド会計からcsvでデータを入出力して、ExcelやAccessとの併用も可能です。その際、集計を効率化できるマクロや、もう一歩進んでVBAを利用できると、データの分析や集計が捗ります。

IT業界に企業内税理士として転職できる

もうひとつ、ITに強い税理士になるメリットとして挙げられるのが、IT業界への転職です。ある調査によると、全業種で最も平均年収が高かったのはIT・通信業(461万円)であり、IT業界が順調に成長していることが読み取れます。

成長著しいIT業界においては、税務会計のプロである税理士のニーズが拡大し、IT企業の経理・財務部で企業内税理士として働く税理士も増えてきています。IT企業内で経験を積み、ゆくゆくはCFO(最高税務責任者)への就任など、財務面から企業をマネジメントする役職へのキャリアアップも期待できます。

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IT業界において税理士として必要なスキル

IT業界で働くうえで税理士に求められるスキルの一例として、次が挙げられます。

①IT業界に特有な税務・会計処理の知識

IT業界では独特の税務・会計処理が必要なため、専門知識が求められます。たとえば、ソフトウェアの開発費をどのタイミングで費用計上するか、または資産として計上し減価償却すべきなど、案件ごとにベストな計上方法を考える必要があるなどです。

また、個々に適切な税務処理を行うのみならず、総合的な税務会計、管理会計や原価計算、財務会計をトータルで見渡すことができ、これらの情報を経営戦略に活用できる高い知見やスキルが必要とされます。

②資金調達や補助金・助成金に関する知識と能力

IT企業にはスタートアップ企業やベンチャー企業が多く、事業の初期には人件費などに多くの資金投入が必要です。そのため、複数の金融機関とのコネクションがあって融資を通しやすい、融資を受けるうえでアピール力のある事業計画を作成できるなど、資金調達の能力が求められます。
また、IT系ベンチャー企業では資金調達の一環として中小企業・小規模事業者向けの補助金・助成金を活用することがあります。その際に、助成金獲得のための申請サポート、アドバイスのスキルが求められることがあるでしょう。

IT業界で税理士として働くことのやりがい

①最先端の技術・新しい価値に触れられる

IT業界では常に時代の最先端で、新しい技術や情報に触れながら働くことができます。成長が止まらない刺激的な環境の中で、税理士として携われることが何よりの醍醐味と言えます。

②働きやすさ・ワークスタイル

特にベンチャー系IT企業では、リモートワークやフレックス・コアタイム制度を積極的に取り入れている会社が多くあります。自分のペースで、自由な働き方をしたい方には魅力的な業界です。

まとめ

ITに強い税理士になれば、業務効率化やIT業界への転職などのメリットを享受できます。税理士業務におけるAIの進出が不安視されていますが、単純作業はなくなっても、税務・会計のプロとして意思決定を下すポジションはなくならないでしょう。税理士業務にIT化を取り入れ、業務効率化を行って財務分析などのコア業務に時間を集中させることで、AIにリストラされない人材を目指せるように心がけたいものです。

この記事を書いたライター

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