2017年に改正された育児・介護休業法。介護は平均5年という長期にわたります。また、介護者になる世代は、会社にとっても中核を担う働きざかり。介護のために離職してしまっては会社にとってもダメージがありますし、本人にとってその後の経済的負担も申告です。介護休業についてはまだあまり知られていない制度ですが、しっかりと取得期間などの概要をつかみ、突発的に起こる介護問題に備えて介護問題に備えておきましょう。
介護休業は、雇用保険対象の従業員が取得できる介護と仕事を両立するための制度です。具体的には以下の条件があります。
介護休業については、「対象家族1人につき合計93日まで」という期間が定められています。これは、転職して会社を変わった場合はリセットされ、異なる事業主における介護休業取得回数は、通算されません。
93日の上限については、「対象家族1人につき3回まで」という回数制限があり、93日間という期間を希望日数に分割して使うことができます。
従業員が介護休業をはじめるためには、原則2週間前(休業開始希望日の2週間前の応当日)までに書面で申し出ることが必要です。
しかし、介護自体は突然生じることもあるため、もし従業員の申出が開始希望日の前日になったとしても、事業主はそれを理由に休業申出自体を拒否することはできません。
もし、2週間を切る場合は、休業自体は拒否できませんが、開始日については事業主が指定可能です。
その間は有給休暇や介護休暇、あるいは会社の福利厚生などで介護に関する休暇があればそれを利用することになります。
育児・介護休業法によると、介護休業の対象となる「要介護状態」は以下のように定義されています。
「要介護状態」とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のことをいい、要介護認定を受けていなくても、介護休業の対象となり得ます。
これを見ると、介護休業は少なくとも2週間以上取得しなくてはならないように思えますが、介護休業の期間は2週間以上である必要はありません。
「2週間以上の常時介護が必要な状態」とは、対象家族が常時介護を必要とする期間を指しており、介護休業の対象となる期間ではないからです。
介護状態が2週間続く場合でも、病院等への入院や他の介護者による介護を併用した場合、被保険者が2週間以上の介護のために休む必要がない場合もあります。
例えば、施設への入所が10日後になるので、それまで休みたいといった期間の設定も可能です。
介護休業については、会社からハローワークへの申請もあることから、届出を休業開始希望日の2週間前までにすることが必要です。
介護休業中に介護対象の方の容態が変化し、当初予定していたよりも介護休業の期間が延びそうだという場合は、1回に限り、通算日数の93日を限度として繰り下げが可能となっています。
終了予定日の繰り下げについても、終了予定日の2週間前までに事業主に書面で届け出ることが必要です。
介護対象の人の容体が急変して、休業に入る日を前倒しにしたい場合や、逆に休業中に容態が安定して休業事態を短縮したい場合などの対応についてです。
介護休業の開始日を前倒しでおこなう繰上げや、介護休業終了日を短縮する繰上げ変更については、その具体的な要件が育児・介護休業法に規定されていません。
そのため、事業主にまずは申し出てみて、許可が出れば変更可能です。
介護休業を取得しようと準備していたところ、容態が安定したり、あるいは他の家族が対応してくれることになり、介護休業の取得を開始前に取りやめる事になった場合の対応についてです。
撤回については、介護休業予定日の前日まで可能です。ただし、こちらも事業主の許可が必要となります。
介護休業の撤回後の申出については、同じ対象家族の同じ要介護状態について1回に限り可能です。
介護休業については、家族の方の病状といった非常にセンシティブな個人情報に当たることから、事業主としては、その対象者が本当に要介護状態にあるかどうかの事実確認の書類については、強制できないことになっています。
育児・介護休業法上では要介護の事実があるという労働者の申出に基づいて、介護休業を付与しなければなりません。
その際に、介護対象家族の方の氏名、被保険者本人との続柄、性別、生年月日等が確認できる書類(住民票記載事項証明書等)という対象家族が実在するかどうかの証明書類を求めることは可能です。
介護については、一般的に長期間の対応が求められます。しかし、介護のために離職してしまっては、介護によって経済的基盤が失われてしまうことにもなりかねません。介護休業や介護休暇をはじめとした制度以外にも、会社によっては介護にまつわる補助や福利厚生がある場合もありますので、事前によくチェックしておきましょう。