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介護休業の上限日数が1人につき通算93日なのはなぜ?

HUPRO 編集部
介護休業の上限日数が1人につき通算93日なのはなぜ?

介護のために仕事を離職してしまうことを防ごうと、平成29年1月1日から育児介護休業法は改正されました。しかし、介護休業の通算日数は最大でも93日であり、介護を続けるにはとても足りない日数だという声が上がっています。今回は、介護休業の上限日数がなぜ93日なのかということにフォーカスして見ていきましょう。

介護休業の制度について

はじめに、介護休業の制度について確認しましょう。
2017年からの育児・介護休業法改正による変更ポイントは以下の通りです。

【分割して取得が可能に】
改正前:対象家族1人につき、一要介護状態ごとに1回、通算93日まで
改正後:対象家族1人につき、3回を上限として、通算93日まで

通算93日というところには変更はないのですが、取得パターンが3回に分割して通算93日までとなり、例えば1ヶ月間30日休み、残り63日をまた別に取っておくといった使い方ができるようになりました。

また、有期労働者向への要件も緩和されています。

【有期契約労働者の取得要件の緩和】
改正前:(1)入社1年以上
    (2)開始予定日から93日経過後の雇用見込み
    (3)93日経過後から1年以内に更新されないことが明らかである者を除く
改正後:(1)入社1年以上
    (2)93日経過後から6か月経過後までに更新されないことが明らかである者を除く 

今までは介護休業取得後の雇用見込みと、その後1年以内の更新がなければ取得できなかったものが、93日経過後の雇用見込み+6ヶ月後に短縮されました。

さらに、対象家族についても同居と扶養の要件が削除されました。

【介護休業の対象家族】
改正前:配偶者、父母、子、配偶者の父母、同居かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫
改正後:配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫 (同居・扶養要件を削除)

参照:育児・介護休業法が改正されます!(リーフ)|厚生労働省

介護休業は介護のための準備期間

介護休業は、対象家族1人につき最大でも93日の取得が上限であり、介護の平均機関である5年に比べると、その期間がとても短いという声が上がっています。その理由を解説しましょう。

介護休業の財源は雇用保険

介護休業給付金の財源が雇用保険であることを考えると、その日数が短い意図が見えてきます。

雇用保険は、雇われて働いている人が支払う保険料から、介護休業給付金だけでなく、失業手当や育児休業給付金などを支給しています。
つまり、一時的に働くことをお休みしていても、また雇用されて働いて雇用保険料を支払うという事が前提なのです。

つまり、介護休業というのは介護のためにずっと休み続けるための制度ではないという事になります。

介護休業は介護と仕事の両立の準備期間

自分が介護につきっきりになってしまったら、もちろん以前のように仕事ができるわけはありません。つまり、介護休業というのは、自分が介護をするために休業するのではなく、「介護をしながら復帰して働く」体制を整えるための期間として設けられています。

つまり、具体的には以下のような事を行うための期間です。

介護休業中に行うこと
行政における介護認定
介護サービスの選定
ホームへの入居手続き
など

こうした様々な準備については、例えば遠方に介護対象の親がいる場合など、働きながら有給休暇や介護休暇で行うことが難しいこともあるので、これまでは介護のために実家に戻らざるを得ないことから「介護退職」がおこってしまっていました。
まとまった日数を取得して、利用できるサービスをしっかりと探すために介護休暇を使用すれば、意図とは反する退職を防ぐことにもつながります。

退職を前提とした場合は介護休業給付は取得できない

上記で見てきたように、介護休業給付は、介護休業終了後の職場復帰を前提とした給付金です。このため、介護休業の当初からすでに退職を予定しているのであれば、介護休業給付の支給対象となりません。育児休暇が退職前提で取得できないのと同じです。

同じ対象家族が違う要件で要介護になった場合は介護休業を再取得できる?

同じ対象家族について、例えば最初は骨折で 93 日分介護休業給付金を受給した後、今度は痴ほうになってしまって介護が必要となった。

こんなケースはありそうなことですが、同じ対象家族については、要介護状態が変わった場合であっても、再度介護休業給付金の支給を受けることはできません。1人につき最大で93日なので、準備期間として大事に使う必要があります。

なお、「申請のために区役所に」といったような1日で終わるような要件については、年次有給休暇とは別に「介護休暇」が5日間付与されています。併用して対応していく必要があるでしょう。

介護に伴う就業規則の確認をしておきましょう

介護休業と介護休暇以外にも、例えば有給休暇のストックを介護での休暇取得に回せるようにしているなど、従業員向けに介護に対する福利厚生を行っている会社もあります。いざという時に慌てないように、あらかじめ就業規則をチェックしておきましょう。

この記事を書いたライター

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