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労務担当者要確認!介護休業中は社会保険は免除されません

HUPRO 編集部
労務担当者要確認!介護休業中は社会保険は免除されません

少子高齢化により、介護による離職を防ぐために設けられたのが、家族の介護のために93日を限度として休業することができる「介護休業」です。育児休業と同様、雇用保険をその財源としている介護休業では、介護休業給付が行われます。しかし産休・育休の間は社会保険料が免除されるのですが、介護休業中は免除はありませんので支払う必要があります。本記事では、介護休業における社会保険料の支払い手続きなどについて解説します。

介護休業中は基本的に無給

介護休業に関する法律は、「育児・介護休業法」。つまり育休と介護休業については同じ法律がベースになっています。
育休も介護休業も、会社に籍を置いたまま、復帰すること前提で休む制度です。しかし、休業期間中に賃金を支払うことは法律上義務付けられていませんので、ほとんどの会社で無給になります。

介護休業中は社会保険料の支払いが必要

育児休業中は雇用保険から「育児休業給付金」が支給され、社会保険料が免除になります。介護休業の場合も「介護休業給付金」を受給できますが、社会保険料の免除制度がないため、社会保険料を支払う必要があります。
なぜかというと、介護休業は介護が必要な家族1人につき最大で93日(3回に分けて取得可能)であるため、育児休業と比べて短期間の休業となるためです。

介護休業中の雇用保険と税金の支払い

社会保険と一緒にされる事が多い雇用保険については、無給であれば支払が発生しませんので、介護休業中が無給であれば支払う必要はありません。

また、給付金は非課税です。そのため、給付金に対する所得税(源泉徴収税)の引去りはありません。住民税については前年所得に対してかかるため支払う必要があります。その代り翌年の住民税については、給付金分については計算対象から外れます。

介護休業中の社会保険料の支払はどうする?

介護休業中の社会保険料については、免除されないという事がわかりました。しかし、支払については具体的にどうするのでしょうか?
給与がないため、本人から天引きすることができません。

この場合は、以下の3つのパターンがあります。

(1)会社側が全額負担する
(2)いったん会社側で立て替えて年金事務所に保険料を納付、本人が職場に復帰した時に精算する
(3)本人に毎月振り込んでもらう

(1)会社側が全額負担

この場合は、負担した社会保険料は「賃金」とみなされます。本人は支払いがないので楽ですが、収入額に応じて、介護休業給付金の支給額が減額される場合があります。

(2)会社側でいったん立替

本人が会社に対してその金額を支払うか、もしくは復帰後に給与から引去る方法があります。もし、復帰後の給与から控除する場合は、以下の条件を満たさなければなりません。

・立て替えた金額に高い利子を付けるなどして、労働を強制する原因としないこと
・賃金からの控除についての労使協定が存在すること

(3)毎月振り込み

一番わかりやすい方法かもしれません。本人に期日を守って振込みしてもらう方法です。
介護休業給付支給決定通知書に記載された支給決定日から、だいたい1週間程度で指定口座に介護休業給付金が振り込まれますが、間に合わないような場合は介護休業中の社会保険料の金額分をキープしておく必要があります。

介護休業給付金から社会保険を支払うのはキツイ?

介護休業給付金は、賃金が全て保証されるわけではありません。
介護休業給付金については、以下のように割合が定められています。

介護休業給付金:休業開始前賃金の67%

大体の金額は以下の通りです。

・平均して月額15万円程度の場合、支給額は月額10万円程度
・平均して月額20万円程度の場合、支給額は月額13,4万円程度
・平均して月額30万円程度の場合、支給額は月額20,1万円程度

所得税がかからないとはいえ、ここから住民税と社会保険料を引くとかなり厳しい状況であるといえますが、介護休業給付金は、あくまで「介護により就労できない」という前提の給付金です。
そのため、もし休業開始時賃金日額×支給日数の80%以上の賃金が支払われている場合は、介護休業給付の支給額は、0円となります。
また、80%に満たない場合でも、収入額に応じて、支給額が減額されることがあります。
もし、介護休業中に、会社独自の休暇制度などがあり、賃金の支払いが発生する場合は注意しましょう。

介護休業給付の受給手続について

介護休業給付の申請手続は、原則として、事業主を経由して行う必要があります。
労務担当者は本人から必要な書類を受領し、ハローワークにて手続きを行いましょう。

【受給資格確認に必要な書類】
1.雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
2.賃金台帳、出勤簿又はタイムカード(1.に記載した賃金の額及び賃金の支払い状況を証明することができる書類)

【支給申請に必要な書類】
1.介護休業給付金支給申請書
  ※個人番号欄にマイナンバー(個人番号)を記載ください。
2.被保険者が事業主に提出した介護休業申出書
3.住民票記載事項証明書等(介護対象家族の方の氏名、申請者本人との続柄、性別、生年月日等が確認できる書類)
4.出勤簿、タイムカード等(介護休業の開始日・終了日、介護休業期間中の休業日数の実績が確認できる書類)
5.賃金台帳等(1.の申請書に記載した支給対象期間中に支払われた賃金の額及び賃金の支払い状況、休業日数及び就労日数を確認できる書類)
※上記の他、対象介護休業期間中に対象家族が死亡した場合には、必要に応じて戸籍抄本、死亡診断書、医師の診断書などを添付してください。
書類は厚生労働省のサイトからダウンロードできます。またハローワークでも入手可能です。

まとめ

これから、介護関連の休業・休暇取得の申請が増えてくることが予想されます。いざそうなってもスムーズに対応できるよう、事前に仕組みを頭に入れておきましょう。

この記事を書いたライター

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