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税理士試験における財務諸表論の難易度や勉強時間を徹底解説!

HUPRO 編集部
税理士試験|財務諸表論ってどんな科目?これを読めば試験の概要がつかめる!

税理士試験における必修科目である財務諸表論は、大学院修了による科目免除という例外を除いて、税理士を目指すほとんどの方が避けて通ることができない科目です。本記事では、財務諸表論という科目がどのような科目か、またどのように試験勉強に取り組めばよいかを解説していきます。

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財務諸表論(税理士試験)とは

財務諸表論は、税理士試験の中で会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目のうちのひとつです。

税理士試験に合格するためには、全11科目のうち5科目の合格が必要となりますが。そのうち簿記論と財務諸表論の2科目は必須科目となっており、必ず合格する必要があります。

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税理士試験の財務諸表論では計算と理論が50点ずつ、合計100点の配点で出題されます。
理論問題については、空欄の穴埋めや正誤の選択問題のほかに記述もあり、理論を覚えた上での記述が求められるのがポイントです。

大問3題のうち、問1、問2は理論問題、問3は計算問題メインとなっており、理論と計算を交えて出題されます。

財務諸表論の出題範囲は、一言でいうと『財務諸表や連結財務諸表を適法に作成することができるか、また、その根本となる考え方やルールを理解しているか』
というものです。
そのため、理論問題では考え方とルールを問われ、計算問題では財務諸表や連結財務諸表の作成を問われます。配点は例年、理論問題である第一問と第二問で合計50点、計算問題である第三問が50点ですが、第三問の中に理論問題のような解答要求をされることがあります。

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財務諸表論(税理士試験)の勉強時間は?

財務諸表論の勉強時間は予備校やインターネットの情報によって様々ですが、400~500時間程度ではないかと言われています。法人税法が600時間程度と言われていることからも3分の2程度の勉強時間ということで、選択必須の法人税法又は所得税法に次ぐボリュームのある科目であると言えます。

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財務諸表論(税理士試験)の難易度は?

財務諸表論の過去の合格率は以下の通りです。

2020年 10.6%
2019年 11.7%
2018年 13.4%
2017年 29.6%
2016年 15.3%
2015年 15.6%
2014年 18.4%

他の科目に比べて合格率は高く、2013年度の合格率も22.4%となっており、合格率が20%を超えることがあるのは、財務諸表論のみです。受験者の数自体も簿記論に次いで多いことから、受かりやすい科目とも言われています。

財務諸表論(理論問題)

財務諸表論の理論問題について、大きく2つに分けて暗記方法と理解のため工夫について紹介していきます。

暗記方法

財務諸表論の理論はキーワードで覚える、というのが定番です。税法の暗記と異なり、丸覚えの必要はありませんので、書いて覚える方法は費用対効果の観点からも適さないかもしれません。
重要単語をマーカーを引いてシートで隠したり、スマホで撮影して隙間時間に眺める、大きめの文字で書いて家じゅうの壁に貼る、単語カードを作る、など、様々なものがあり、個々人によって合う合わないがあります。
会計基準などの穴埋め問題はごまかしようがないので、テスト等で問われたものだけでも覚えるようにしましょう。

理解のための工夫

財務諸表論の理論は、複数の用語の相違点を問われることが多いため、対比して理解をすることが重要です。手持ちの教材にそのような対比のみを抜粋した冊子がない場合、ご自身でノートの左右のページに語句や概念を対比してまとめるというのも、ひとつの方法でしょう。
また、各項目の関連性を把握するため、紙に語句どうしの相関図のようなものを作ると、財務諸表論の全体像がつかめ、応用問題にも対応する力がつきます。

理論は暗記不要って本当?

財務諸表論の理論の勉強については、勉強法を調べようとすると

『必ず暗記しなさい』もしくは『暗記は不要』という両極端のコメントを見ることがあります。

これが両方とも合格者ブログなどにあると、どうすればよいか混乱してしまいますよね。

結論から言うと、財務諸表論の理論で不合格になってしまう人は暗記量が足りません。確かにこの後の税法に比べると、財務諸表論は暗記の数も少なく全てを一字一句ピッタリ覚える必要はないかもしれません。しかし、それはあくまで税法と比較した上での話です。

例えば、「繰延税金資産の回収可能性の必要条件について述べなさい」 という問題があったとします。

解答としては
「繰延税金資産の回収可能性は、繰延税金資産の計上の原因となった将来減算一時差異の解消額を吸収できるだけの十分な課税所得が、差異解消時にあることが必要条件となる。そして、この判断基準としては次の三つが挙げられる。

収益力に基づく課税所得の十分性
タックスプランニングの存在
将来加算一時差異の十分性

となるわけですが、この太字になっている部分は「キーワード」と呼ばれ、自分の言葉で置き換えたり、要約してしまったりすると減点されてしまう語句です。

学習中に語句の意味を理解するために、説明を付け足したり、簡単な言葉に置き換えたりするのは問題ないのですが、理論問題の解答としては、このキーワードをそのまま書く必要があります。

つまり財務諸表論の理論暗記というのは、全てではないにしてもキーワードはそのまま覚えるのが得策なのです。

財務諸表論(計算問題)

財務諸表論の計算問題は、修正前残高試算表の数字を適正な数字に直して財務諸表を作成することがメインとなります。
その論点には、減価償却・社債・退職給付会計のように計算処理が重要なものと、株式のように表示科目の判断を問われているものが混在しています。前者はひたすら繰り返して問題を解き、後者は理論とリンクさせて理解するのがよいでしょう。
計算問題では、最終的に50点中35~40点取れるようになると、理論問題に余裕が生まれます。スピードと問題の取捨選択する判断力を磨き、取れるところは確実に取れるようになりましょう。

本試験形式の問題~時間配分と解く順番~

税理士試験の解答時間は各科目共通で120分です。
財務諸表論の場合の時間配分は、その回の問題のボリュームや難易度にもよりますが、理論問題40~50分、計算問題70~80分というのが多数派のようです。
また、最初の5分で試験問題の全体を見渡して解答順序と時間配分を決め、最後の5分は見直しに充てるのがよいでしょう。

解く順番は好みや得意分野によりますが、一例を挙げると、

全体を見渡すのに5分、
理論問題の簡単に感じた方の解答に15分、
理論問題の難しく感じた問題の穴埋め問題解答とキーワードの書き出しに5分、
計算問題60~70分、
理論問題の難しく感じた方に戻って10~15分、
計算問題の時間をかければ解ける問題に5~10分、
見直し5分、

といったものです。

理論・計算ともにボリュームのある問題の場合は、穴埋めや記号問題は必ず何かしらの解答をすること、計算問題に割く時間は削らないことに気をつけて下さい。計算問題は頻出項目の占める割合が多いため、時間をかけただけ得点が期待できます。

財務諸表論と簿記論の違い

財務諸表論は同じく会計科目の簿記論と学習論点が重なっています。このため、2科目同時受験をするならば簿記論&財務諸表論(簿財)の組み合わせが効率的かつ効果的です。

税理士試験の直前期においては、できれば毎日総合問題を解くのが望ましいですが、2科目受験となると、なかなかその時間の確保が難しい人も多いでしょう。しかし、簿財同時受験であれば毎日両方の総合問題に取り組まなくても、学習項目と出題形式が似ているため、どちらかの科目の総合問題を解けばスピード感や時間配分、頻出項目の解き方などの訓練をすることができます。

簿記論と財務諸表論は理論問題があるかどうかの違いは大きいですが、計算問題では学習項目が重複しており、総合計算問題が決算整理前残高試算表を与えられて決算整理をする形式であるなど、共通するところが多いです。
総合計算問題での若干の違いは、簿記論は基本的には決算整理後の科目を予め与えられ、取引ごとの処理や仕訳に出題の主眼が置かれているのに対して、財務諸表論は取引自体に難解なものは少なく、貸借対照表や損益計算書の表示科目とその残高を正しく表記できるかを問われる、ということにあります。

ですので、簿記論で出題される特殊商品売買は財務諸表論で問われませんし、財務諸表論では計算や仕訳そのものより「これはどっちの科目なのか?」と表示科目を迷うような問題がよく出題されます。
また、財務諸表論の計算問題の出題内容は例年安定しており、極端に難しいものは出題されないため、勉強を頑張った分だけ点数に反映されます。

財務諸表論(税理士試験)の勉強方法は?

合格者体験記を見ていると「財務諸表論は簡単でしたので。あまり勉強せずに合格できました」「ここまでは勉強しましたが、それ以上はしませんでした」といったようなことが書かれている場合があります。

もし税理士試験が、財務諸表論だけであればこのような、ある意味ヤマを張るような勉強法もおすすめできたかもしれません。
しかし、財務諸表論は、税理士試験の中では最初に受けることになることが多い試験であり、さらにこの後に続く税法の試験のほうが、はるかに難しく、勉強時間も必要であるということが、あらかじめわかっています。

つまり財務諸表論である意味手抜きをして合格したとしても、そのような勉強法では、後の科目を突破することができないので、結果的に楽しようとしたツケを払うということになるのです。

限りある時間を有効に活用して、効率よく学習し合格したい!というのは誰もが考えることですが、それは基礎の実力があってこそ。

一番初めに受験することになるであろう財務諸表論ですから、まずは確実に突破するためにまた勉強の仕方をしっかり身に付けるという意味でも、理論をおろそかにせず暗記に取り組む方が今後のためであると言えるでしょう。

財務諸表論は実務で使える?

財務諸表論の知識は実務に欠かせません。中小企業の会計に携わる場合は試験勉強で習ったことより簡便的な処理をすることも多いですが、各勘定科目の原則的な使い分け方を理解しているということは仕事をする上で重要ですし、就職・転職の際にも有利となります。まだ財務諸表論の科目合格に至っていない段落でも、学習を始めているならばそれをアピールするとよいでしょう。

まとめ

財務諸表論は、努力の実りやすい科目です。理論を覚えるのが初めて、という方も多いでしょうが、理解していることが採点者に伝われば点数は加点されます。また、日常の業務にも直結する内容も多く大変重要な科目です。税理士試験の最初の登竜門として、初めて取り組む受験生にとっては大変かと思いますが、理論と計算をリンクさせて理解を深め、自分に合った時間配分の感覚を磨き、最短での財務諸表論合格を目指しましょう。

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この記事を書いたライター

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