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公認会計士になるには学歴は関係ない!試験を突破する勉強方法はこれだ

HUPRO 編集部
公認会計士になるには学歴は関係ない!試験を突破する勉強方法はこれだ

国家資格の中でも難関として知られる公認会計士試験。学校も大学も年齢も関係なく受験でき、合格すれば就職も鉄板の資格です。監査法人や企業勤務の収入も高く、独立して活躍も可能。本記事では、公認会計士試験に挑戦しようか考える方に向けて、試験の概要や勉強方法を解説しています。

公認会計士になるには

財務諸表監査を独占業務とする公認会計士。法人が公正な事業活動を行うことを促し、投資者や債権者の保護をはかること、国の経済の健全な発展に寄与することがその使命です。

公認会計士になるためには、まずは金融庁の公認会計士・監査審査会が実施する試験(短答式試験及び論文式試験)に合格する必要があります。

公認会計士試験の特徴

公認会計士試験は、受験に際しての間口が広いことが特徴。受験資格の制限はなく、年齢、学歴、国籍等にかかわらず、誰でも受験することができます。最年少合格者は、現在のところ16歳です。商学部や経済学部、経営学部が有利と思われるかもしれませんが、大学での専攻は特に関連しません。

公認会計士とよく比較される税理士試験は、学歴や専攻などの条件があることとは対照的です。

公認会計士試験合格後には登録まで実務経験が必要

実際に公認会計士として登録するためには、試験の合格後に2年間の実務経験と実務補習所での単位取得を経て、最終試験(修了考査)に合格する必要があります。つまり試験合格=即!公認会計士というわけではありません。大学在学中に公認会計士試験を突破した場合は、卒業後に監査法人に就職するコースが一般的です。新卒就職で苦労することはありません。監査法人の給与水準は、一般企業と比較して高い水準にあります。

監査法人は、法人の監査を主業務としているため、企業の本社が集中する東京・大阪・名古屋などの大都市が中心です。また、BIG4と呼ばれる海外の監査法人と連携する大手監査法人では、海外勤務などの道もあります。社会人としてすでに働いている場合も、転職先には困ることはほぼないでしょう・

公認会計士試験登録後のキャリア

監査法人で実務経験を積み、晴れて公認会計士として登録した後には、そのまま監査法人で監査業務、税務業務、コンサルティング業務を行ったり、一般事業会社で財務・経理部での専門業務に就いたり、ベンチャー企業での最高財務責任者(CFO)になったりと、様々な職種を経験しながら、自分にあった職種を選べます。

公認会計士試験の難易度

令和2年の公認会計士試験は、願書を提出した受験者数は13,231 人でしたが、合格者は1,335人。合格率は10.1%でした。
10人に1人という倍率ですが、受験者のほとんどが簿記1級などの民間の難関資格をクリアして公認会計士試験に臨んでいると考えると、その難しさがわかります。

合格者の年齢では、平均年齢は25.5歳と若いものの、最高年齢は61歳。年齢に関係なくチャレンジできる資格であることもわかります。最年少合格者は18歳でした。
令和二年度の公認会計士試験ついては、別に記事を作成しているのでこちらも併せてご覧ください。

公認会計士試験合格までの勉強時間

公認会計士試験に合格するまでの勉強時間は、平均で4,000時間といわれています。
仮に1日10時間勉強しても400日、1年以上かかる計算です。
その時間数だけで、いかに公認会計士試験が難関資格であるかわかります。公認会計士試験は、一夜漬けなどはもってのほか。長時間の勉強をしてはじめて合格できる資格なのです。

結果的に、勉強に費やせる時間が多い大学生の合格率が非常に高くなります。もし、これを読んでいる方が大学生で「公認会計士もいいな」と思っているのであれば、すぐにでも将来のために勉強をはじめるべきでしょう。

もちろん、社会人の方も合格しています。しかし、一番苦労するのは働きながらの勉強時間と勉強する環境の確保です。学生であればもしかしたら2年目で合格できたかもしれないのに、社会人だと勉強時間が足りずに5~6年かかってしまうということもザラにあります。そのため、会社を退職する人も少なくありません。合格しなければ無職という背水の陣です。すでに企業で勤務している方は、できる限りはそのまま継続することをおすすめします。

公認会計士試験はまずはスクールがおすすめの理由

公認会計士試験は、結論からいう独学での試験合格はかなり難しいです。
できれば予備校に通って勉強することをおすすめします。理由は以下の3つです。

1.教材を読んだだけでは内容が理解できない

公認会計士試験は、短答式・論文式それぞれ以下の科目で構成されています。

短答式試験:財務会計論(簿記と財務諸表論)、管理会計論、監査論、企業法の4科目
論文式試験:会計学、監査論、企業法、租税法、選択科目(経営学、経済学、民法、統計学から1科目)

企業での決算が適正に行われているかどうかについて、会計知識だけあれば良いという分けではなく、経営全般に対する幅広く深い知識、法律についての知見も必要です。
それぞれの試験科目の専門性は非常に高いため、読んだだけでは理解が難しいという特徴があります。

そのため、公認会計士試験を目指す受験生は、予備校の資格講座に通うことがほとんどです。もちろん、勉強は予備校だけではありません。講座で論点を理解し、自宅学習を積み重ねるという勉強をしているのです。

2.受験テクニックを身につけづらい

公認会計士試験は問題量に対して試験時間が短いという特徴があります。

短答式試験では、財務会計論は簿記と財務諸表論があるので2時間、管理会計論、監査論、企業法はそれぞれ1時間です。9:30~18:00(途中12:30~14:00休憩)と1日かけて行われます。問題数は16~28問となっており、1問にかけられる時間は3~4分程度。

論文式試験では、3日かけて2~3時間の試験が2科目ずつ繰り返される方式です。問題数は科目によって大きく異なりますが、監査論などは記述があります。

つまり、冒頭から解答していては制限時間に間に合いません。できない問題は潔く捨てるなどの受験テクニックが求められます。試験会場で緊張してしまっていては話になりません。
冷静に試験に臨むためには「試験慣れ」が必要です。

受験の感覚を養うためには、実際に試験を受けてみるほか、各専門学校が提供する模試や模擬試験、答案練習(通称:答練)などがおすすめ。本番と同様の受験形式で行われるので、受験の感覚を身につけるのに役立ちます。特に、論文式試験の場合は、自分で作成した答案が何点になるか判別が難しいです。答練で第三者に採点してもらうことで、自分の答案の良否を判断することができるというメリットもあります。

予備校に通わなかったとしても、答練だけは別に実施されているので受けておくとよいでしょう。

3.勉強の進捗管理が難しい

公認会計士試験は、受験が年単位でかかる長期戦です。
どの科目から、どれくらいのペースで勉強を進めていくべきか一人ではなかなか決められません。合格した受験生に聞いてもどのぐらい勉強したのかわからないというケースや、先ほど平均で4,000時間と紹介しましたが、明らかにそれよりも多くの時間勉強したという場合も多いです。
そして、勉強したとしてもちゃんと試験で発揮できるのかは別問題。何度繰り返しても身になっていなければ、勉強していないのと一緒です。

専門学校が提供する講義を、ペースメーカーとすれば自然と進捗管理ができます。正しい順番で学習できます。また答練の結果を確認することで、自分が今どれくらいの順位にいるかも確認可能です。自分の現在の立ち位置・理解度を「見える化」することで、モチベーションの管理をすることができます。

公認会計士試験を独学で挑戦したい方へ

公認会計士試験の合格は独学では難しいという説明をしてきましたが、どうしても独学で合格を目指したい方、あるいは独学で勉強せざるを得ない方もいると思います。
また、公認会計士試験の勉強を続けることができるか不安で、専門学校代を払って契約することに躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか。

そんな方におすすめしたい方法を紹介します。

1.簿記1級を取得する

短答式試験の財務会計論は、簿記と財務諸表論から成り立っています。
そのため公認会計士試験において、簿記検定で自分の適性を判断してから公認会計士試験を本格的に目指すという受験生は多いです。

簿記1級の合格率も10%前後。非常に難易度が高い資格として知られていますが、公認会計士試験はそれを突破した人たちの中での10%です。こう考えると、簿記1級があまりにも手こずってしまうようであれば、公認会計士試験の独学での合格は非常に困難といえます。

仮に公認会計士試験を諦めたとしても、簿記の勉強をして、知識を得たことは社会人生活で役立つことばかりです。就職・転職にも役立ちます。ぜひおすすめしたい方法です。

2.予備校が実施する短答式試験の模試や模擬試験を受験する

予備校では、公認会計士試験に向けて短答式試験の模試や模擬試験を実施しています。
自分が独学で行けるかどうかは、ある程度勉強してみてから受験することで、試験の難しさや、自分の立ち位置、問題に対する理解度がわかるでしょう。
「この試験は独学で行けそうかどうか、勉強の方法によっては試験をクリアできそうか」を判断できます。

3.短答式まで独学で、論文式は模試や予備校を活用する

「独学で行けそう」と思ったら、まず独学で短答式試験の合格を目指しましょう。短答式試験ではマークシートでの解答なので、自分自身で採点することが可能なので、自分の理解度や勉強のペースがマッチすれば、独学でも攻略しやすい試験といえます。

しかし、論文式まで独学となると相当に難しいでしょう。それでも、会計士試験にかかる費用を少しでも抑えたいという方は、短答式試験に合格後、論文式試験のみ専門学校に申し込むことで専門学校にかかる費用を抑えることができます。短答式試験合格者を対象として、論文式試験合格のための講義を用意している専門学校もあります。

4.学生の場合は高等教育無償化(修学支援新制度)で専門学校への入学を目指す

専門学校によっては、試験による特別奨学生制度を儲けている場合があり、最大で入学金と授業料2年間免除など、様々な援助が受けられます。経済的な理由で会計士試験への挑戦を躊躇している方は検討してみて下さい。

参考:文部科学省:高等教育の修学支援新制度

まとめ

公認会計士としての最大の関門は「公認会計士試験合格」です。合格までには相当な時間とお金もかかります。それでも合格できないかもしれません。じっくりと自分の将来を考えた上で「それでも公認会計士になりたい」という強い意志と実行力が求められます。しかし、合格後のキャリアや、仕事のやりがいを考えると挑戦する価値のある資格です。もし、あなたが少しでも公認会計士という業務に興味を持ったのであれば、まずは簿記1級の勉強からはじめて見てはいかがでしょうか。

この記事を書いたライター

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カテゴリ:資格試験

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