イクメンという言葉ができて久しいですが、男性で育休を取得した人はニュース以外で間近に見たことがある人は少ないようです。本記事では、男性の現在の育休取得状況と、厚労省より提案されている補助金について解説します。
男性の育児休業取得率は、ここ10年で5倍の伸びを示しています-というと、とても躍進したように思えますが、平成20年度(2008年)のデータでは1.23%、そして最新結果の平成30年度(2018年)でいまだ6.16%という状況です。
なお、これから始まる2020年度の目標は13%ということですが、この2年間でそこまで数値が上がるでしょうか。
以下は厚生労働省の調査結果をグラフ化したものですが、8割台を推移している女性と比べると非常に対照的です。結局のところ、働く女性に育児の負担がかかっていることがわかります。
出典:男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について:令和元年7月3日 厚生労働省 雇用環境・均等局 職業生活両立課
なお女性の育休取得が8割あるというのはとても優秀な数字に思えますが、これはあくまで育休制度がある身分(雇用保険のある正社員として)で雇用されていて、さらに出産までに退職していない女性という統計のマジックもあります。
出典:国立社会保障・人口問題研究所 第15回出生動向基本調査 Ⅱ-4.子育ての状況
少し古いデータですが、一番右の2010~2014年の状況を見てみましょう。実は、女性が第一子を出産する前に、無職を含む女性全体の中では33.9%、就業していた人の内46.9%、つまり半数近くは退職しているのです。
育休を取得しているのは、出産前に就業していた53.1%の女性のうち、育児休業を使用しなかった43.1%、女性全体で見ると28.3%という割合にとどまっています。
出典:男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について:令和元年7月3日 厚生労働省 雇用環境・均等局 職業生活両立課
男性が育休を取得できないのは、本人の意識よりも環境や制度によるものだということがわかるのが上記のグラフです。
男性が取得できなかった理由としては、会社の制度が整備されておらず、取得できる雰囲気ではなく、仕事の手を放すのが難しいという状況であったことがわかります。
出典:男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について:令和元年7月3日 厚生労働省 雇用環境・均等局 職業生活両立課
実際に育休を取得した男性の内訳を見ても、5日未満の割合が6割近いのです。仕事にさほど穴をあけることなく、年次有給休暇を取得する方が手続きも楽で、給与も全額保証され、キャリアにも影響しないということで、おそらく育休という名前ではなく、普通に有休で処理している男性も相当数いるのではないかと考えられます。
企業側としても、育休を取らせるとその分労働力が減ってしまうというダメージがあります。特に人数が少ない会社や部署では、残された人の不可を考えると難しいというのもわからなくはありません。
そこで両立支援等助成金として、政府より補助金の対策が出されました。男性が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土づくりに取り組み、その取組によって男性労働者に育児休業や育児目的休暇を取得させた事業主に対して助成するものです。
出典:男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について:令和元年7月3日 厚生労働省 雇用環境・均等局 職業生活両立課
◆職場風土作り
男性が育児休業を取得しやすい職場風土づくりのため
・子が生まれた男性に対して、管理職による育休取得の勧奨を行う
・管理職に対して、男性の育休取得についての研修を実施するなどの取組
◆育休の導入・利用
育休男性が子の出生後8週間以内に開始する連続14日以上(中小企業は連続5日以上)の育児休業を取得すること
表を見ていただければわかるように、育休を取る人が多いほど、また育休の期間が長いほど除保菌の額も多くなります。
有給休暇の取得の義務化でもそうですが、日本における休暇の取得については、管理職や周りの雰囲気を変えていくことが何よりも大事なのではないでしょうか。
当コラム内では、育休についての記事を他にも公開しています。併せてぜひご一読ください。
育児タグの記事を探す