補助金は、主に税金を財源として国から交付されるものです。補助金の不正受給や目的外での補助金の利用を防ぐための法律が「補助金適正化法」という法律です。正式には、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」といいます。
今回は、この補助金適正化法について解説していきます。
補助金等とは、事業者が目標を達成するために国などから給付してもらうお金です。融資ではないので、返済する必要はありません。
・ものづくりのための補助金
・町おこしのための補助金
・災害復興のための補助金
など様々な種類があり支援がなされます。補助金ごとに趣旨や目的が設定されていますので、事業に合う補助金を交付してもらえるよう申請を行います。ただし、必ずしも事業にかかる経費の全額を交付してもらえるとは限りません。どうにか少しでも多くの補助金を受けようと不正を行うものがいるため、補助金を適正に交付するための法律ができました。
これが「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」です。長い法律名のため、「補助金適正化法」と呼ばれています。不正を行った場合には、罰則が科せられます。
国の大切な財源でまかなわれている補助金を適正に管理していくために、昭和30年(西暦1955年)に制定された法律であり、その後度々改正が繰り返され、最も近いところでは令和元年に改正が行われています。
補助金等を受け取るには申請が必要です。申請から交付の決定までの流れを確認します。
補助事業等の目的及び内容、補助事業等に要する経費その他必要な事項を記載した申請書などを各省各庁の長へ提出します。
申請を請けた各省各庁の長は申請をもとに、現地調査などをおこない、申請が違反していないものか、補助事業が目的に適しているかどうか金額に間違いがないか等を調査します。そのうえで、認められるときには補助金交付の決定が行われます。
②の補助金等を交付するにあたり、各省各庁の長からさまざまな条件が附されます。当初の申請と異なる事態が発生する場合には、必ず各省各庁の長の承認を受けなくてはいけないというものです。具体的には次のような場合をいいます。
・補助事業に要する経費の配分を変更する場合
・補助事業の内容を変更する場合
・補助事業を中止や廃止する場合 など
補助金等が交付された後は、申請した事業を遂行しているか状況を報告することや事業が完了したときには実績報告をします。すべては、申請をした目的どおりの補助金の使い方をしているのか、適正な金額なのかを確認するためです。
申請とは異なる目的で補助金を使用する、申請書の事業費金額水増しや領収書の改ざん等の虚偽申請といった、「補助金等の不正受給」が発覚することがあります。
そのような不正受給は「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」により、各省各庁の長より次の事項が命ぜられます。
補助金等を他の用途への使用をすることや交付の決定の内容に違反したときには、補助金等の交付の決定の全部または一部を取り消されます。
すでに補助金が交付されている場合は、受給した補助金を返還しなければなりません。
受給した補助金額のみならず、補助金受給の日から返還するまでの日数分に応じ年10.95%の加算金も国に納付しなければなりません。
また、期日までに返還額を納付しなかった場合には、その未納付額につき年10.95%の割合で計算した延滞金を国に納付しなければなりません。
偽りその他の不正の手段により補助金等の交付を受けた者は、懲役や罰金に処されます。
補助金は、銀行などから受ける融資とは違い、返済をする必要がありません。そのため、その使途は正しくなければなりません。 もし、それが適正でない場合は、前項に挙げたような返還や加算金の徴収が行われるため資金繰りが難航するといった問題が出てきます。
さらに、社名や団体名が公表されるため、イメージダウンにつながることは間違いありません。信用回復には相当な時間と努力が要されることでしょう。
また、偽りや不正は国などに詐欺を行ったことになります。そのため、懲役刑や罰金刑に処されることもあります。あまりにもリスクが大きいといえます。
「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」は、目的どおりに補助金を使用して事業を行うことやその事業を偽りなく報告することを記すことにより、補助金の交付を適正化していくための法律です。
不正受給がうっかりミスによるものだとしても、許されることではありません。補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律をよく理解する、または、専門家に相談のうえで補助金等の申請をする必要があります。