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社労士が解説!!労務の魅力とやりがい!!

社会保険労務士 田中かな
社労士が解説!!労務の魅力とやりがい!!

「労務」と聞いてどんなイメージをお持ちでしょうか。人事部や総務部の中に労務担当をおくケースが多く、あまり聞きなじみのない言葉だと感じる方がいるかもしれません。労務は従業員が安心して働ける環境を整える、やりがいの大きな仕事です。今回は労務の業務内容やそのやりがいについて解説していきます。

労務とは

労務担当の仕事における「労務」とは、従業員が業務に専念できる環境を整え、企業の運営をスムーズにすることを目的とした業務です。以下では、仕事内容について詳しく触れています。

労務の業務内容

まずは労務の基本的な業務内容を確認しましょう。労務とは次のような業務をおこなう担当者や部署を指します。

⚫️勤怠管理
⚫️社会保険手続(加入・脱退、傷病手当、産育休関係等)
⚫️税金関係(住民税の特別徴収手続、年末調整等)
⚫️給与計算
⚫️安全衛生管理(労災対応、定期健康診断の実施等)
⚫️労務トラブルへの対応、労働組合対応
⚫️退職関係(退職時の案内、退職金の計算等)

企業における労務の役割とは

労務の役割は従業員を支えて企業活動を円滑にすることです。

労務の業務や役割を理解するには、給与明細を見ると分かりやすいでしょう。働けば基本給が発生し、残業手当や住宅手当、扶養手当、役職手当がつく場合もあります。社会保険料や雇用保険料、税金も毎月引かれているでしょう。

従業員にとってはすべて「当たり前」のことですが、労務担当がいなければ正しく処理し、給与に反映されることができません。

加えて、休業をしたときや昇給をしたとき、労働トラブルがあったとき、退職するときなど、単発の出来事に対する業務もあります。

これらの業務を通じて従業員をサポートすることで、従業員がその能力をいかんなく発揮し、ひいては円滑な企業活動につながります。

人事や総務とは何が違う?

人事とは採用や人材育成、人事異動の実施、評価等をおこなう仕事です。具体的な業務には、採用面接や会社説明会の準備、社員研修の実施等が挙げられます。

人事の業務が基本的にはこれから入社する人や入社したばかりの人に対するものであるのに対し、労務はすでに働いている人に対する業務と分けることもできます。ただし両者には密接なつながりがあるため、人事部の中に労務担当をおく場合もあります。

総務は管理業務の中でどの部署にも属さない、実に幅広い業務を担当します。福利厚生や設備管理、契約関係、社外窓口対応等々がありますが、勤怠管理や給与計算等も総務でおこなうケースが多々あります。

総務と労務は別の仕事というより、総務の一部に労務があると考えてもよいでしょう。

↓↓詳しくは↓↓

労務担当が感じるやりがいとは

労務は営業のように目に見えた成果を挙げられる仕事ではありませんが、労務ならではのやりがいがあります。

労務担当になるとどんなやりがいを感じるのかを紹介しましょう。

労務担当が感じるやりがいとは

勤怠管理を通じて従業員の労働環境を守る

勤怠管理というのは、従業員が働きすぎてはいないか、残業や深夜、休日手当がきちんと支払われているのか、部署における人材不足が発生していないか等を管理することです。

給与への反映はもちろんですが、人事評価や法令違反の防止にもつながります。

しかし各部署のトップが必ずしも法令に精通しているわけではありません。とくに、役職者研修等を実施せず法令順守の意識が低い企業では、役職者自身が法令を理解しておらず、率先してサービス残業をさせてしまうようなケースも少なくありません。

こうしたときにも、労務担当が勤怠をチェックし、部署の役職者に制度を分かりやすく説明し、職場ごとに適正な働き方をするよう促します。従業員の労働環境を守れることは労務の大きなやりがいです。

重要な給与にかかわれる

働く方々にとって給与は生活の基盤であり、非常に重要度が高いものです。その給与を計算し、支払える状態にするのは労務の大きなやりがいのひとつです。

給与をミスなく払うことは当たり前ですし、実際にミスなく払えたとして誰かに評価されることもありません。

しかし給与はただ働けば自動的に支払われるのではないのです。

欠勤や遅刻・早退等の勤怠をチェックし、昇給・昇格があれば反映させ、子どもが生まれた、引っ越ししたといった身上異動があれば手当を調整して、ようやくその月の給与が確定します。

これを従業員ごとにチェックし、給与に反映させるのは地道で骨の折れる作業ですが、給与の締めが無事に終わったときの達成感はひとしおです。

不安がある従業員をサポートできる

傷病や妊娠等で働けなくなると、ほとんどの方が不安を感じるものです。しかし労務が相談を受け、代わりに手続をすることで、不安な顔をして窓口に相談しにやってきた従業員は安心した様子で帰っていきます。そんな姿を見ると、労務としてサポートできたことを嬉しく感じます。

日本では傷病手当金や産前産後および育休中の社会保険料免除、育児休業給付金等、働けない期間を乗り切るための制度が充実しています。

しかし、傷病や産育休は日常的に発生するものではないため、制度の詳細を知らないという方が大半です。従業員はわざわざ自分で調べたり役所に聞きに行ったりしなくても、労務担当に相談すれば自分がどんな制度を利用できるのかを知ることができ、指示に従って書類を提出するだけで済むのです。

労働トラブルの防止や解決に注力できる

労務担当は労働基準法等の知識を駆使し、会社と従業員との間で起こる労働トラブルの防止や解決のために一役買うことができます。

たとえば業績不振により整理解雇をする際には、解雇の要件を満たしているのかをしっかりチェックしてから実行しなくてはなりません。各種ハラスメントが発生した際には当事者の主張を聞き、法令に照らし、会社として適切な対応をおこなうことが必要です。

労務担当が会社に対し、法律の知識にもとづいた正しい対応を進言することで、従業員は不当な扱いを受けることがなくなります。

会社も法令違反を犯して労働基準監督署から指導を受けることや、対外的な企業イメージを損ねることを回避できます。

労務担当の大変さ

労務担当の業務はやりがいがある分たくさん大変な側面もあります。

専門知識が求められる

労務は、給与計算や社会保険手続き、労働基準法の遵守など、専門的な知識が必要とされる仕事です。労働関連の法律や制度は頻繁に改正されるため、常に最新の情報を学び続けなければなりません。

法律違反をしてしまうと、罰金や懲役刑が課される可能性もあるため十分な注意が必要です。

正確性と慎重さが求められる

給与計算や税金の処理は、1円のミスも許されない業務です。もし計算ミスがあれば、従業員の生活に影響を与え、信頼を損ねる可能性があります。そのため、細心の注意を払いながら作業を進めることが求められます。

トラブル対応の負担

労務担当者は、従業員からの給与や勤務時間に関する問い合わせ、労働条件に関する不満の相談など、様々なトラブルに対応しなければなりません。時には、会社と従業員の間に立ち、双方の立場を考慮しながら調整を行うことが求められます。この時特に、会社の利益に反しても従業員の権利を守らなければならない場合は、労務担当は難しい対応を迫られます。

業務の範囲が広い

労務の仕事は、給与や保険の手続きだけでなく、勤怠管理、健康診断の手配、福利厚生の運用、退職手続きなど多岐にわたります。特に中小企業では、労務担当が総務や経理の業務を兼務するケースも多く、業務負担が大きくなりがちです。

このように、労務は責任が重く、ミスが許されない仕事ですが、その分やりがいも大きい仕事です。

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労務担当に向いている人

自分が労務担当に向いているかチェックしてみよう

裏表がなく、コミュニケーション力が高い人

労務担当者は、従業員の悩みや経営陣の課題を把握し、解決に導く役割を担います。そのため、社内で積極的にコミュニケーションを取り、相談しやすい信頼できる人柄が求められます。話しかけづらい雰囲気があると、問題が表面化せずトラブルにつながる可能性があるため、社員と円滑に対話できることが重要です。

企業の課題に当事者意識をもって向き合える人

企業によって労務の役割は異なりますが、重要なポジションであることは共通しています。転職を検討する際は、求人情報だけでなく企業のビジョンや必要なスキルを把握し、自身がどのように貢献できるかを考えることが重要です。ビジョンに共感し、その達成に向けて役割を果たせる人が労務に適していると言えます。

従業員から感謝されることにやりがいを持つ人

労務の仕事は、従業員の権利を守り、働きやすい環境を整えることで、企業全体の円滑な運営に貢献する重要な役割を担います。そのため、従業員からの感謝を直接感じながら、人のサポートを通じてやりがいを得たいと考える人に適している職種です。

秘密を守れる人

労務は、給与や休職・退職の事情など、社員の重要な個人情報を扱う仕事です。これらは厳格に管理されるべきプライバシー情報であるため、機密を守り、慎重に対応できる誠実な人が求められます。

コツコツした作業ができる人

労務はバックオフィスの仕事なので、手続きや申請などにあたってのいわゆるデスクワークが多く発生します。そのほとんどが従業員の権利や生活を守るための業務なので、高い正確性も同時に求められます。このような丁寧にコツコツとした仕事ができる人に適性があります。

↓↓参照記事↓↓

未経験からでも労務になれる?

未経験から労務担当になることは可能です。しかし、労務の業務は専門的な知識が求められるため、未経験者は基礎から始め、スキルを身につけるか、資格を取る必要があります。実務経験を積むことで、より専門性を高めたり、 労務関連の資格を取ることで、専門知識の証明になり、就職やキャリアアップに有利に働きます。

↓↓参照記事↓↓

未経験から労務に就く方法

●事務職からのキャリアチェンジ
▪一般事務や総務の仕事を経験しながら、労務の業務に携わる機会を増やしていく。
▪総務・人事部門でのアシスタント業務を担当し、労務の知識を身につける。

●派遣社員・契約社員として労務の経験を積む
▪労務アシスタントの派遣・契約社員として働き、実務経験を積む。
▪正社員登用制度を利用してキャリアアップを目指す。

●小規模企業の総務担当として働く
▪中小企業では総務・経理・労務を兼務するケースが多く、労務業務を経験できる可能性が高い。
▪労務関連の業務を担当しながら、専門知識を習得する。

未経験者の転職に役に立つ資格

上記のように未経験者はスキルを少しずつつけていく方法と資格を取って労務につく方法があります。ここでは未経験者が取るべき資格について軽く紹介します。

資格:社会保険労務士 労働の専門家、最も労務に活かせる
資格:衛生管理者 採用側にメリットを感じてもらいやすい
資格:給与計算士 労務業務に直接的に生かせる
↓↓詳しくはコチラ↓↓

まとめ

労務は一見地味に感じるかもしれませんが、勤怠管理や給与計算、社会保険手続等を通じ、従業員が安心して仕事に励める環境を整える重要な仕事です。手続や法令の知識が求められるため、未経験から挑戦するには、基礎からしっかり学び、スキルを身につける必要があります。

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この記事を書いたライター

求人関連企業の経理部門に在籍中、社会保険労務士資格を取得。その後、会計事務所や総合病院での労務担当を経験し、現在はフリーランスのライター・校正者として活動中。ジャンルは労働問題を得意とする。
カテゴリ:業務内容

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