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労務担当の転職で年収を上げたい!年収相場と年収アップのポイント

社会保険労務士 田中かな
労務担当の転職で年収を上げたい!年収相場と年収アップのポイント

労務担当の年収相場はいくらで、転職して年収を上げられる可能性はどの程度あるのでしょうか。労務経験を活かした転職で年収を上げたい、労務へのキャリアチェンジをして今より年収を上げたいという方に向けて、労務の年収相場と年収が上がる要素について解説します。

労務の年収相場をチェック

年収は企業規模や地域、経験年数等さまざまな要素に左右されるため一概にいうことはできませんが、ひとつの目安を紹介しましょう。
労務の年収相場について求人情報や転職サイト等の情報を総合すると、一般社員で350万~450万円、係長・課長クラスは450万~700万円、部長クラスは700万~900万円が目安となります。

国税庁が発表した「平成30年分民間給与実態統計調査」によれば給与所得者の1人当たりの平均給与は440万7000円なので、労務の年収はおおむね平均的だといえます。他方、役職がつくと平均を大きく超えられる可能性があることが分かります。
出典:平成30年分民間給与実態統計調査結果について 国税庁

社会保険労務士資格がある場合の年収相場

労務に携わる人の中には社会保険労務士資格を保有している人も多いので、社労士としての年収相場からも確認してみましょう。
厚生労働省が公表した「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、社会保険労務士の平均給与は35万9,500円、賞与は年68万3,400円です。平均給与×12ヶ月分と賞与の合算で考えると年収は499万7,400円となります。
※企業規模計10人以上の「きまって支給する現金給与額」および「年間賞与その他特別給与額」から算出
出典:平成30年賃金構造基本統計調査 結果の概要 厚生労働省

労務の業務内容による年収の違い

労務の仕事は勤怠管理、給与計算、社会保険や税金の手続、安全衛生管理といったものが中心です。実務経験1年~3年ほどの一般社員の場合、これらの管理・手続業務を担当するケースがほとんどで、大きく年収が上がる要素にはなりません。

一方、労務の仕事には労働トラブルへの対応や労働組合との賃金交渉など、高度な知識や経験、交渉力などが問われる業務もあります。役職者や経験年数が長い人はこうした業務に携わる機会が増えてくるため、それに応じて年収も上がっていきます。年収アップを目指した転職では、こうした業務経験をおおいにアピールするべきです。

労務以外の業務経験も重要

労務以外の業務経験も年収に影響します。たとえば労務といっても人事の業務を兼任している場合や、中小零細企業のように総務や経理などほかの事務業務をすべて任される場合があります。幅広い業務経験がある人や、責任の重い業務を任された経験がある人ほど年収は上がります。

とくに人事の業務は経験年数に応じて業務内容が大きく変化するため、その分年収も上がりやすい傾向にあります。具体的には、面接の日程調整や応募者への案内などの基本的な業務ではなく、採用面接に参加する、社内研修や教育の中枢にかかわるといった経験があると転職活動でアピールできるでしょう。

労務の業務内容による年収の違い

労務の転職で年収が上がる要素

労務担当としての転職で年収が上がりやすい要素を確認しましょう。

5年~10年以上の実務経験がある

労務の業務を遂行するには手続や法令の知識が必要ですし、算定基礎届の提出、健康診断、年末調整など年に1回の業務も多数あるため、一人前になるのに少なくとも3年程度は必要となります。そして、多くの企業では中途採用の労務担当者をゼロから育てる余裕はありません。

したがって労務としての転職で年収を上げるには、実務経験があること、それも5年~10年以上の実務経験が求められます。5年~10年以上の実務経験があれば即戦力としての採用に期待できるため、今よりも年収が高い企業へチャレンジすることが可能となります。

マネジメント経験がある

労務の中で事務作業を担当する場合、年収は平均的ですし、ある程度の段階で頭打ちになります。労務の中で年収が高い層は役職者なので、転職して年収を大幅に上げるにはマネジメント経験を積むことが大切です。

ただし労務だけのマネジメントを任されるというよりは、一般的に人事や総務も含めて統括するケースが多いといえます。スタッフのマネジメントや業務改善のほか、労働組合対応、人事制度設計、総会運営といった経験があると管理職としての転職が叶い、年収アップにつながりやすいでしょう。

社会保険労務士資格がある

社労士資格があると評価されやすく、資格を応募条件にしている企業に応募できるようになります。結果として年収が高い企業への転職が叶えられやすくなります。

社労士資格を取得して転職しなかった場合は、社内規定に応じて資格手当がつく程度が一般的なので、大幅な年収アップにはそれほど期待できません。それよりも、もともとの給与相場が高い企業(とくに大企業)への転職を目指し、社労士資格をアピールしていくのが効果的です。

また、社労士資格があるが実務経験がない場合は、まったくの未経験者よりは有利ですが、資格+実務経験がある人と比べると状況が厳しくなります。20代~30代前半であれば労務事務所などへの転職が期待できますが、30代後半以降は実務経験を積んでから転職に臨むのも現実的な選択肢です。

まとめ

労務は専門的な知識や経験が問われる仕事ですが、その年収は平均的だといえます。しかし実務経験が豊富でマネジメント経験があるなど一定の条件を満たす場合には高年収も可能です。労務の転職で年収を上げるには経験のアピールが重要となりますので、ご自身の経験を棚卸するところから始めてみましょう。経験が不足する場合は今の職場で経験を積む、資格を取得して知識を増やすといったことも必要です。

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この記事を書いたライター

求人関連企業の経理部門に在籍中、社会保険労務士資格を取得。その後、会計事務所や総合病院での労務担当を経験し、現在はフリーランスのライター・校正者として活動中。ジャンルは労働問題を得意とする。
カテゴリ:転職・業界動向

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