労務担当としての転職を考えている方にとって、「労務担当への転職は果たして難しいのか」は気になる点ではないでしょうか。労務求人の一般的な傾向や労務業務の内容、労務への転職が難しいといわれる理由を知っておきましょう。今回は労務の転職の難易度について解説していきます。
まずは、労務求人の一般的な傾向をまとめます。
傾向と自身のスキル・経験を照らし合わせてみると、自分にとって労務の転職は難しいのかどうかが見えてくるでしょう。年収も重要な要素です。年収相場も踏まえて労務へ転職するメリットがあるのかを考えてみてください。
上記の求人傾向を見ていただければ分かるように、経験者に比べれば未経験からの転職は難しいといえます。ただし、未経験から労務へ転職できる可能性はあります。
誰でも初めは未経験なので、労務の仕事をすべて覚えておく必要はありません。しかし「給与から何が引かれるのかすぐに答えられない」「保険と税金は同じようなものだと思っている」といったレベルだと労務担当になるのは難しいでしょう。
労務は企業にとって法の番人といわれるほど法律の知識が問われる仕事です。必ずしも資格を取得する必要はありませんが、少なくとも最低限必要な法律の知識や手続の概要などは勉強しておくことが大切です。
また労務は未経験でも事務経験がある、人事や総務など関連業務の経験があるなどの場合は転職できる可能性が上がります。社内外の交渉・調整の経験が豊富な人や、分かりやすい言葉を用いて物事を伝える力のある人なども評価の対象となります。
労務の転職は次のような理由から難しいといわれることがあります。
労務は事務職ですが、そもそも事務職は非常に人気が高い職種なのでライバルが大勢います。ライバルが多ければ経験豊富な人や能力の高い人がいる確率が高くなるでしょう。
また労務を含めた事務職は間接部門なので、部署内の人数がもとから少ない傾向にあります。加えて営業職のようにノルマがなく、製造や建設のように体力仕事でもないため辞める人が少なく、欠員がなかなかでません。人気が高く募集数も少ないと採用倍率が高くなるため、転職はそう簡単ではないのです。
労務の業務には労働や社会保険に関する法律、税金の知識などが問われます。行政へ提出する書類は書き方や添付書類などが決まっているため、手続きに関する専門知識も必要です。自社の社員から法律や手続面で問い合わせがあった際には、専門的な知識をかみ砕いて伝える必要がありますが、そのためには自身の深い理解が前提となります。
労務担当は社員の極めて重要な個人情報にかかわります。日常的に給与データやマイナンバーを扱うこともあるため、口が軽かったり、ミスが多かったりすると情報漏えいなどといった深刻な問題に発展しかねません。こうした理由から、労務担当の採用には慎重にならざるを得ず、信用性のある人材を求めるわけです。
ただ信用性というのはなかなか見極めるのが難しいため、どうしても個人情報の取り扱い経験がある労務経験者が有利になります。他部署に在籍している自社の信用できる人材を労務担当として異動させるケースも多々あり、この点も募集が少ない理由の一つとなっています。
一般的に未経験の職種へのチャレンジとなると、30代前半までというのが年齢的なボーダーラインと言われています。
労務職においても20代はポテンシャル採用(候補者の潜在的な能力や成長の可能性に焦点を当てる採用アプローチ)を導入している企業においては、それ以上の年齢の方に比べると、未経験でも比較的スムーズに転職活動をできる可能性が高いです。
即戦力が求められる30代や40代ではやはり経験者が有利となるでしょう。そのため、関連業務の経験がある、もしくは社労士資格を有していない限りは、その年代における未経験からの転職は厳しいといえます。
「労務の経験がある」というためには、一般に次のような業務経験があることが求められます。
応募企業によっては人事も兼任させたい場合や、総務として採用し労務以外にも幅広い業務を任せたい場合などがあります。その場合は、人事経験や総務経験があればアピールできます。人事であれば採用活動や人事評価に携わった経験、総務であれば福利厚生や社内広報、設備管理などが挙げられます。
労務の仕事は、「つらい」と感じる人も多少はあるようです。
例えば、「法改正が頻繁に行われるので、ずっと勉強していなければいけない」といった意見も聞かれます。また、「社内での評価がされにくい」・「意外と社内でコミュニケーションする機会が多い」などといったことに対して「つらい」と感じることもあるようです。
しかし、その一方でやりがいの多い仕事であることも事実です。特に労務はその企業の従業員の働く環境や生活を守る役割があるため、従業員に貢献し感謝される仕事であることは、やりがいになります。
労務の仕事のつらさややりがいについては、以下の記事に詳しく解説しています。ご自身の価値観にマッチしているかどうか、確かめておきましょう。
このようにつらさもやりがいもある労務の仕事には、ある程度の向き不向きがあります。具体的には以下のような人は向いているとされています。
労務の仕事への向き不向きについて、以下の記事でも詳しく解説しています。
難しいといわれる労務の転職を成功させるポイントを解説します。
採用担当者は、事務職の中でもなぜ労務を志望するのかを知りたいと感じています。ネガティブな志望動機では熱意が伝わりませんので、自身の適性や経験にそったポジティブな志望動機を伝えることが大切です。これまでの経験を通じて応募先にどんな貢献ができるのかという視点をもちましょう。企業研究を通じて労務として何が求められているのかを理解しておくことです。
30代~40代のミドル層はマネジメント経験をアピールしましょう。管理職でも労務業務の基本的な知識は必要ですが、実際に手続や計算を担当するわけではないため、マネジメント経験があれば管理職としての採用に期待できます。
キャリアチェンジでこれから労務の実務を経験していきたいミドル層も、マネジメント経験があると有利です。部下の勤怠管理や労働環境を整えるのは管理職の役割であり、労務業務の根本にかかわっていたといえるからです。
転職活動は自分ですべてやろうとすると、かなり骨が折れるものです。例えば上述した志望動機については、労務を志望する理由に加えてその企業を選んだ理由についても記載しなければなりません。もちろん面接も各企業で質問される内容や評価ポイントが異なりますので、その傾向をつかんでおく必要があります。
そのような転職活動をサポートしてくれる転職エージェントをうまく活用するのも、成功されるポイントの一つです。士業・管理部門特化の転職エージェントであるヒュープロは業界特化の特徴を活かして、多くの労務求人をご紹介しています。
まずはご相談から、お待ちしております!
労務の転職は事務職の人気や高い専門性などが理由となり難しいといわれています。20代であればポテンシャル採用への期待もありますが、30代以降は労務や人事、総務などの経験を中心にアピールすることが必要となります。難しいといわれる労務への転職を叶えるために、まずはご自身がもつスキルや経験を整理してみましょう。