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株主総会と取締役会の決議事項の違いについて

HUPRO 編集部
株主総会と取締役会の決議事項の違いについて

株式会社について、日本全国にどこにでもあり皆様に馴染みがあるかと思います。株式会社は、株式を発行して、多くの人から資金を集め、事業活動を行います。事業活動をしていく上で、様々な意思決定を行っていきます。その上で、会社法上で特定の意思決定については、株主総会又は取締役会の決議で行うことが定められております。今回は、株主総会と取締役会の決議事項の違いについて解説していきます。

株主と取締役の違い

株主とは

株主とは会社に対して出資をし、代わりに株式を受け取った人のことをいいます。つまり、会社の保有者であり、会社に対して様々な権利を有しております。出資した金額に応じて、配当金や株主優待や、議決権を有することで会社に対して意見を有します。

取締役とは

取締役とは株主から選任され、株式会社の経営を行い、業務執行に関する意思決定を行います。
なお、中小企業の場合には、株主と取締役が同じ場合が多数のケースあるかと思いますが、上場企業の場合には別れているケースが多いと思います。

株主と取締役の違いまとめ

一般的に、株式会社はお金を出資する人と実際に経営をする人が分かれており、このことを「所有と経営の分離」と言います。分けることで、会社運営について取締役の独断的な経営を排除でき、会社運営の安全性を確保できます。また、株主は、経営責任を直接的には負いませんので、出資したい人を多く集め易くなります。

株主総会と取締役会の違い

株主総会とは

株主総会とは、会社に出資を行っている株主が会社から招集されて集まる議会のことです。
株主は、出資した会社に対して様々権利を有しておりますが、実際の会社の経営には直接的に関与をしません。株主総会では、会社組織に関する事項や、会社の剰余金の処分に関する事項、そして取締役などの役員の選任などの決定が行われます。それ以外にも株主から会社へ会社経営に関する質問なども行われるなど、会社の経営に対して関与する場であると言えます。なお、毎年事業年度終了後に株主総会を開催することを会社法上定められています。

取締役会とは

取締役会とは取締役が3人以上いる株式会社で、取締役会を設置することができます。上場企業では設置がされているかと思いますが、非公開会社で規模の小さい会社等について設置はしなくていいとされています。株主総会は人数も多いこともあり意思決定を行うまでに多数の時間を要するため、機動的な経営のため株主総会の決議事項の一部を取締役会で決議することができるとされています。なお、会社法上で、3ヶ月に1回以上の頻度で代表取締役が取締役会に対して業務の報告義務が定められていることから、3ヶ月に一回は開催がする必要があります。

株主総会と取締役会の違い

株主総会の決議事項

前項で解説した通り、会社によっては取締役会非設置の株式会社があります。したがって、設置会社と非設置会社で株主総会の決議事項が次のとおり違いがあります。

・取締役非設置会社:株主総会では、会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議することができる。

・取締役会設置会社:株主総会では、組織運営に関する事項及び定款に定められたら事項についてのみ決議することができる。

決議事項について次項以降で解説します。

株主総会の決議方法

株主総会の決議方法については、取締役会設置会社を前提として説明します。

普通決議

株主総会については、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数をもって行います。

普通決議で決議される内容(多数あるため、主要なものを列挙)

・自己株式の取得
・役員の選解任
・計算書類の承認
・剰余金の配当

特別決議

株主総会で議決権を行使できる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合は、その割合以上)を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合)以上をもって行います。

特別決議で決議される内容(多数あるため、主要なものを列挙)

・定款の変更
・事業譲渡の承認
・吸収合併などの組織再編に関する承認
・解散
・株式併合
・譲渡制限株式の買取を実施する場合の承認

特殊決議

以下の2つのパターンがあります。
(1)株主総会で議決権を行使できる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合以上)が参加し、株主総会で議決権を行使できる株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合)以上をもって行います。

→決議内容は、発行株式数すべてに譲渡の制限をつける定款変更を行う場合に決議されます。公開会社から非公開会社になる場合がこれにあたります。

(2) 総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合以上)が参加し、総株主の議決権の4分の3(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合)以上をもって行います。

→非公開会社で株主ごとに権利を取り扱う定款変更を行う場合です。留意点としては、公開会社では当該定款変更は行う事ができません。

取締役会の決議事項

取締役会非設置会社では、すべての事項を株主総会決議で決定しますが、機動的な会社運営の観点から経営に関する事項等を取締役会で決議をします。

取締役会の決議方法

取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行います。

取締役会で決議される内容(多数あるため、主要なものを列挙)

・重量な財産の処分及び譲受け
・多額の借財
・譲渡制限株式の譲渡・承認取得の承認
・株主総会の招集に関する事項の決定
・代表取締役の選解任
・利益相反取引・競業取引の承認

まとめ

株主総会とは、会社への出資者である株主が集まる議会であること。一方取締役会は、株主から選任されて会社の経営を実施に行う取締役による議会である。株主総会で決定される事項については、主に会社組織に関することが中心であり、取締役会は、会社経営に係る事項中心であると考えればいいかと思います。

この記事を書いたライター

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