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経理の総仕上げ、決算処理とは?|初心者でもわかる経理業務

HUPRO 編集部
経理の総仕上げ、決算処理とは?|初心者でもわかる経理業務

決算処理は、経理担当の重要な業務の一つです。そんな決算処理について、日々の経理処理と決算処理との違いを比較して現役の経理担当者が解説します。決算処理の内容を事前に見ておき、抜け漏れのないようにしましょう。

決算とは

経理は、1年を1会計期間として決算を行い、損益計算書・貸借対照表・株主資本等変動計算書を作成し、その後税務申告を行います。
決算を行う月は法人の場合、自由に決めることが出来、3月が最も多いです。その他には、外資系企業や海外での取引が多い会社で12月、小売業では2月決算が多かったりします。一方で個人事業主の場合は12月と定められており、必ず会計期間は1月1日~12月31日となります。

決算処理の流れ

①発生主義での収益・原価・費用の認識

日常的な経理処理では現金主義で、出入金がある時に売上・仕入の記帳作業をやっている会社も多いかと思いますが、会計原則は発生主義となっており、決算処理を行う過程で、発生主義で当該期中の売上が漏れなく計上されているか確認する必要があります。

例えば、3月期決算の場合、当該年度の3月中に商品を納品して、お客様の検収も完了していた場合、売上代金の受け取りは4月になる場合でも、3月の売上として計上する必要があります。
原価や費用の認識でも同様で、3月に商品やサービスの受領が終わっており、支払が4月になる場合でも、3月の原価や費用として期末に計上する必要があります。

②繰延処理

①の、まだ支払が行われていない収益・原価・費用の認識の状況とは逆に、商品やサービスの提供が完了していないけれども、前払・前受をしている場合もあり、その場合は繰延処理を行います。

よくある例としては、会社で事業を行う上での損害保険に入っている場合、保険料は1年分纏めて前払で支払うことが多いです。7月1日に保険料を支払って、12月31日が決算期末日の場合、半年分の保険料が、前払費用として期末に残っている必要があるので、振り戻して資産計上するといった処理が行われます。

③棚卸の実施

期末になると商品の棚卸を実施する必要があります。日常的な仕訳では商品を仕入れた時に原価として計上することも多いと思いますが、期末時点で在庫として保有している場合には、在庫分を期末の棚卸資産として資産計上するために原価を振り戻す処理が発生します。

④仮勘定の整理

期中では不明入金や仕訳処理の判断に迷った時など、一旦仮勘定で仕訳を切っている場面も多くありますが、期末の決算処理にあたっては仮勘定がなくなるように、取引内容を確認して修正していく必要があります。

⑤減価償却処理

減価償却の処理は、利用期間が複数年にわたる固定資産の価値を毎年耐用年数に従って減額させていく目的に沿って行われます。
一般的に10万円を超える資産を取得した場合には固定資産としての計上を行う必要があるので要注意です。

また、利用期間の見積もりとなる耐用年数は国税庁等で資産の種類毎に税務上の耐用年数が提示されており、その耐用年数を決算上も用いることが一般的です。取得した資産の種類にあった耐用年数を選択し、減価償却処理をする必要があります。
例として、運送事業の用途であれば、大型乗用車は5年、小型車は3年、事務機器として一般的に使われるパソコンは4年といった感じです。

⑥貸倒引当金の計上

期末時点の売掛金や貸付金に対して、回収不能リスクがある場合、貸倒引当金を計上する必要があります。方法としては、回収不能となる割合を設定して、売掛金や貸付金残高に対して掛ける一括法と、個別の相手先毎に回収不能リスクを見積もって回収不能見積もり額を貸倒引当金として計上する個別法の2つです。ビジネスや顧客の特性に応じてどちらの方法を選択するのかを判断するのが望ましいです。

決算処理から税務申告も見据えての流れ

法人税の申告期限は決算期末日から2ヶ月後となっております。個人事業主の場合は12月31日が決算期末日となり、申告の期限は3月15日です。
このスケジュールを考えると、期末日を過ぎたら決算処理を迅速に行い、税務の申告に備える必要があることがわかります。

決算処理の最終段階として、決算処理が一通り終わったら、貸借対照表・損益計算書・株主資本等計算書をまずは作成します。そのまま、申告の際に添付して使います。また、申告の際には勘定残高明細が必要になります。貸借対照表の各勘定の残高について、その内訳の金額の一覧表と、その内容を証明出来る取引の証憑(契約書・請求書・領収証など)を準備しておきましょう。決算処理の正確性を高める上でも勘定残高明細の作成も決算処理と並行して進めておくと、申告の作業も含めてスムーズに進めていくことが出来ます。

如何でしたでしょうか。経理の業務を行う上で決算処理は避けて通れず、どうしても決算月の翌月以降は特に忙しくなりがちです。しかし経理担当者にとって決算は一年間の業務を締めくくる大きな区切りであり、また腕の見せ所でもあります。是非バタバタしないように決算月が近づいてきたら早めに決算処理として行わなければならない事項を入念に確認し、決算の締めや申告の段階で作業漏れが発覚して期限に間に合わないというようなことのないようにしたいものです。

この記事を書いたライター

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