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公認会計士になるには?公認会計士試験の科目について徹底解説 

HUPRO 編集部
公認会計士の試験科目について短答式・論文式それぞれ解説

三大国家試験の一つと言われる「公認会計士」。三大国家試験については、司法試験、公認会計士試験、そして残りもう1つの資格は不動産鑑定士・医師・国家公務員試験など諸説ありますが、どの説でも公認会計士は必ず入ることからも、その難易度の高さがうかがえます。本記事では、公認会計士試験の試験科目とその内容について解説いたします。

公認会計士とは?どうしたらなれるのか?

公認会計士は、弁護士、医師と並び、三大国家資格の一つとされる非常に難易度の高い資格です。そんな公認会計士になるにはどうしたら良いのでしょうか。
公認会計士試験受験と、その後の流れについてご説明します。

公認会計士になるには①(試験受験)

まずは言うまでもなく、公認会計士の試験を受験し、合格する必要があります。
試験には短答式試験論文式試験があり、順番に受験を進めなければなりません。
詳しい受験スケジュールは後ほどご紹介します!

公認会計士になるまでの流れ②(就職)

続いて、就職についてです。公認会計士試験に合格したらすぐに会計士になれると言う訳ではありません。監査法人などで、実務経験を積む必要があります。もちろん監査法人以外への就職も可能ですが、合格者のおよそ9割が監査法人へ就職すると言われています。
監査法人への就職はスピードが命ですので、しっかりと情報収集と準備をしておきましょう。

公認会計士になるまでの流れ③(登録)

最後に、公認会計士の登録についてです。
公認会計士になるには、最終的に登録の作業を行う必要があります。
公認会計士の登録には、実務経験以外に実務補助の講習受講、終了試験の受験が必要です。
これらの要件を満たして、やっと会計士になれるのです。

出典:公認会計士・監査審査会発行:公認会計士試験パンフレット

##資格試験の概要
それでは、公認会計士試験について具体的に解説していきたいと思います。

受験資格

まずは受験資格についてです。
公認会計士の受験には、特に必要な資格はございません。学歴や資格の有無を問わず誰でも受けることができます。そのため、門戸の広い資格試験と言えるでしょう。

試験の概要

公認会計士の試験科目は全部で9科目あります。
試験はまず 短答式試験(4科目、年2回実施)、次に論文式試験(5科目、年1回実施)を受けます。
必ずこの順番に受ける必要があり、短答式試験に合格していない人は論文式試験の受験ができません。

短答式試験は年に2回受験できますが、原則として内容の違いはありません。第Ⅰ回試験(12月)を受験する場合は、不合格になった場合でも第Ⅱ回試験(翌年5月)を受験できます。

それでは、公認会計士試験の試験科目についてまとめると以下の通りです。

配点を見ると、短答式の財務会計論と、論文式の会計学の比重が高いことがわかりますが、実はこれは同じ科目なのです。

短答式試験の概要

実施回数 年2回
試験形式 マークシート形式
実施時期 第一回12月上旬/第二回5月下旬

試験科目 企業法、管理会計論、監査論、財務会計論

短答式試験は年に2回の受験が可能ですが、第二回の試験の方が合格率が低いとされているため、多くの人が第一回での合格を目指し勉強に励みます。

論文式試験の概要
実施回数 年1回
試験形式 論述形式
実施時期 8月下旬(3日間)
試験科目 必須科目(財務会計論・管理会計論・監査論・企業法・租税法/選択科目(経営学、経済学、民法、統計学)

論文式試験の受験は、短答式試験に合格していることが条件です。
一部の科目で相当の成績を得たと認められると、論文式試験の一部科目を2年間免除してもらえる制度があります。一回の試験で全科目合格することが望ましいですが、このような制度があることも頭に入れておきましょう。

令和6年(2024年)の公認会計士試験のスケジュール

第Ⅰ回短答式試験
試験期日 2023年12月10日

受験願書受付期間 2023年8月25日 ~ 9月8日

※インターネット出願は 2023年9月14日まで

第Ⅱ回短答式試験
試験期日 2024年5月26日

受験願書受付期間 2024年2月上旬 ~ 2月中旬

※インターネット出願は 2024年2月下旬まで

論論文式試験
試験期日 2024年8月16日 ~ 8月18日

出典:日本公認会計士協会|令和5年(2023年)試験について

公認会計士試験の必須科目を解説

公認会計士試験の科目一覧表を見た際に、短答式と論文式で共通している科目があるのに気づかれたでしょうか?

表にまとめてみると、短答式の科目は論文式でも範囲が重複していることがわかります。科目名は異なっていても、重要分野については両方の試験で問われるのです。以下、科目別に概要を見てみましょう。

(1)短答式と論文式試験共通科目

科目 概要
財務会計論
(簿記と財務諸表論)
簿記、財務諸表論、その他企業等の外部利害関係者の経済的意思決定に役立つ情報を提供することを目的とする会計の理論が含まれます。

【簿記】
簿記は、企業等の簿記手続の理解に必要な基本原理、仕訳、勘定記入、帳簿組織、決算及び決算諸表の作成について

【財務諸表論】
企業等の財務諸表の作成及び理解に必要な会
計理論、会計諸規則及び諸基準並びに会計処理手続について
管理会計論 原価計算と管理会計

【原価会計】
材料、仕掛品及び製
品等の棚卸資産評価並びに製品に関する売上原価の計算
【管理会計】
利益管理、資金管理、戦略的マネジメント等を含み、会計情報等を利用して行う意思決定及び業績管理に関連する内容
監査論 公認会計士又は監査法人による財務諸表(財務諸表、財務表及び財務諸表項目等)の監査を中心とした理論、制度及び実務について

現行の基準や法令に関する知識のみでなく、それらの背景となる監査の理論や考え方、実務慣行等も出題範囲
企業法 会社法、商法(海商並びに手形及び小切手に関する部分を除く)、金融商品取引法(企業内容等の開示に関する部分に限る)及び監査を受けるべきこととされている組合その他の組織に関する法について

科目ごとの概要についての参考:公認会計士・監査審査会:平成31年(令和元年)公認会計士試験の出題範囲の要旨について

(2)論文式試験のみ

次に、論文式試験のみの科目の概要は以下の通りです。

科目 概要
租税法 租税法総論及び法人税法、所得税法などの租税実体法について。
租税実体法については、法人税法を中心として、所得税法、消費税法の構造的理解を問う基礎的出題
経営学 経営管理と財務管理

【経営管理】
経営管理の基礎及び経営管理の個別領域のうち、経営戦略、経営計画、経営組織、組織行動、経営統制が出題範囲。

【財務管理】
資金調達、投資決定、資本コスト、資本構成、ペイアウト政策、運転資本管理、企業評価と財務分析、資産選択と資本市場、デリバティブとリスク管理など
経済学 ミクロ経済学とマクロ経済学の基礎的な理論の理解
民法 財産法の分野と家族法の分野、民法及び関連する特別法改正に伴い、令和2年の試験は変更される可能性あり
統計学 記述統計、確率、推測統計、相関・回帰分析の基礎

公認会計士試験科目の出題順序

短答式試験の科目出題順序
財務会計論
管理会計論
監査論
企業法

論文式試験の出題科目順序
会計学
監査論
企業法
租税法
選択科目(経営学、経済学、民法、統計学)

試験の難易度・合格率

ここまで、公認会計士試験科目について説明してきましたが、その難易度や合格率はどれほどなのでしょうか。

上記の表を見ればわかるように、令和4年の公認会計士試験の最終合格率は7.7%と非常に低いことがわかります。昨年の3年に比べて下がっていることもわかるでしょう。
また、短答式試験と論文式試験それぞれで見ても短答式試験が約11%と論文式試験が約35%となります。データで見るとわかるように論文式試験の方が、短答式試験よりも合格率が高くなります。

出典:令和4年公認会計士試験の合格発表の概要について

受験にかかる年数

諸説ありますが、一般的に公認会計士試験に合格するには最低でも3000時間勉強しなければならないと言われています。年数でいうと1.5~2年はかかると言われています。学業との両立や仕事をしながら資格取得を目指す場合は、1日に確保できる勉強時間が限られるため、もう少し年数がかかると考えても良いかもしれません。
また、公認会計士試験を受験する場合は、基本的に予備校に通い勉強を進めます。独学での受験も不可能ではありませんが、ケースとしては少なく、かなり厳しいものではあるので相当な覚悟が必要です

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公認会計士試験の科目免除

短答式試験に合格した人は、その後2年間は短答式試験が免除されます。
論文式試験については、合格した科目については2年間免除が受けられる科目合格制が導入されているのが特徴です。

科目合格制というと、公認会計士と並び称される税理士試験が思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。

しかし、税理士試験の科目合格は一生ものであるのに対し、公認会計士試験は有効期限が2年。その間に論文式試験に合格しないと、また短答式試験からやり直しという過酷な試験なのです。

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