
経理業務を志望して転職活動をする際には、他部署に対する転職活動とは違った点に配慮する必要があります。
なぜなら、経理職以外については所属する企業のカラーや業務内容に応じた諸対策を練れますが、経理職の仕事はどこの企業も少なからず共通する部分が少なくないので、「経理ならでは」の視点を意識しなければいけないからです。
そこで、この記事では、経理部門への転職活動の成功率を高めるために、「経理の志望動機」を取り上げます。
経理が転職活動を上手く運ぶには、「説得力のある志望動機を作れるのか」が重要です。どうぞ最後までご参照のうえ、ご自身の転職活動にお役立てください。
ここでは、さまざまなケースに対応した志望動機の例文をご紹介します。良い例文はもちろんやりがちなNG例文も記載しているので是非参考にしてみてください。
前職では営業職として3年間勤務し、顧客との信頼関係を築く中で、企業の財務状況や請求・入金管理の重要性を実感しました。
その経験から、企業の財務基盤を支える経理職に興味を持ち、独学で簿記の勉強を始め、現在は日商簿記3級の資格取得を目指しています。
未経験ではありますが、前職で培ったコミュニケーション能力と学習意欲を活かし、貴社の経理部門で着実にスキルを習得し、貢献していきたいと考えています。
ポイント
前職の経験を経理職への関心に結びつけている
営業職での経験から、企業の財務状況や請求・入金管理の重要性を実感し、経理職への興味を持った経緯が明確に述べられています。
自己学習への積極的な姿勢を示している
日商簿記3級の資格取得を目指して独学を始めていることから、未経験ながらも経理職への強い意欲と学習意欲が伝わります。
前職で培ったスキルを活かす意欲を示している
営業職で培ったコミュニケーション能力を経理業務に活かし、貢献したいという前向きな姿勢が評価されます。
私は大学で経済学を専攻し、財務諸表の読み方や企業の資金繰りについて学びました。
ゼミ活動では、企業の財務分析を行い、数値から企業の経営状況を読み解く力を養いました。
この経験から、企業の経営を支える経理職に興味を持ち、日商簿記2級の資格取得に向けて勉強を進めています。
未経験ではありますが、学んだ知識と意欲を活かし、貴社の経理業務に貢献したいと考えています。
ポイント
学業での学びを経理職に活かす意欲を示している
大学で経済学を専攻し、財務諸表の読み方や企業の資金繰りについて学んだ知識を、経理職で活かしたいという意欲が伝わります。
ゼミ活動での具体的な経験を述べている
企業の財務分析を行った経験を通じて、数値から企業の経営状況を読み解く力を養ったことが具体的に述べられています。
資格取得への取り組みを示している
日商簿記2級の資格取得に向けて勉強を進めていることから、経理職への強い関心と努力が感じられます。
「私は数字が得意で、コツコツとした作業が好きなので、経理職に向いていると思い志望しました。未経験ですが、頑張りますのでよろしくお願いします。」
●NGポイント
・抽象的な表現
「数字が得意」「コツコツとした作業が好き」といった表現は具体性に欠け、説得力が弱まります。
・企業への貢献が不明確
「頑張ります」といった意気込みだけでは、企業にどのように貢献できるのかが伝わりません。
・未経験を補う具体的な努力が見えない
資格取得や関連する経験など、未経験を補うための具体的な取り組みが示されていないため、熱意が伝わりにくくなります。
私はこれまで5年間、製造業の経理部門で月次・年次決算、原価計算、資金繰りなどの業務に携わってまいりました。業務を通じて、現場に寄り添った経営管理の重要性を強く実感しております。
貴社は非上場ながらも、成長性と柔軟な経営体制をお持ちで、経営陣との距離が近く、経理としてより戦略的に関われる環境に魅力を感じました。
これまで培ってきた実務経験と現場対応力を活かし、よりスピーディーで実践的な経営判断のサポートを行いたいと考えております。
経理の枠を超えて、会社の成長に貢献できる経理人材として尽力したいと考え、今回応募いたしました。
ポイント
具体的な業務経験の明示
「月次・年次決算」「原価計算」「資金繰り」など、具体的な業務内容を明示することで、即戦力としての能力をアピールしています。
企業研究と志望理由の明確化
応募先企業の特徴や魅力を具体的に挙げ、それに共感している点を述べることで、志望動機に説得力を持たせています。
今後の貢献意欲の表明
これまでの経験を活かし、戦略的な経営判断のサポートを行いたいという意欲を示すことで、前向きな姿勢を伝えています。
「前職では経理の業務を一通り担当していました。自分にとって天職とも思える経理業務をさらにスキルアップしたいため、御社を志望いたしました。業務は責任をもって、まじめに取り組む所存です。よろしくお願いいたします。」
●NGポイント
経験の具体性が不足
「経理の業務を一通り担当していました」という表現では、具体的にどのような業務を担当し、どのような成果を上げたのかが不明確です。
企業への貢献が不明確
「スキルアップしたいため」という自己都合のみが述べられており、応募先企業にどのように貢献できるのかが伝わりません。
抽象的な表現
「まじめに取り組む所存です」といった表現は、具体的な行動や成果に結びついておらず、説得力に欠けます。
経理の管理職(マネージャー、部長クラス)を目指す場合、実務能力があることは「前提」となります。
そのため、志望動機では「プレイヤーとしてのスキル」だけでなく、「組織をどう牽引し、経営にどう貢献できるか」という視点が不可欠です。
また、管理職候補の採用において、企業は「プレイングマネージャー」を求めているのか、それとも「完全なマネジメント専任」を求めているのかを見極めることが重要です。その上で、以下の要素を志望動機に組み込むと効果的です。
志望動機の例文(IPO準備中の企業への応募)
「現職では上場企業の子会社にて、経理マネージャーとして5名のメンバーのマネジメントと、連結決算業務を統括してまいりました。 業務プロセスの見直しによる残業時間の20%削減や、電子帳簿保存法対応のシステム導入を主導いたしました。
貴社を志望いたしましたのは、現在IPOに向けて急成長されているフェーズにあり、私のこれまでの経験である『管理体制の構築』と『組織作り』を最も活かせる環境だと確信したためです。 単なる管理業務にとどまらず、上場に耐えうる強固な経理組織を構築し、数字の側面から貴社の事業成長を加速させる一翼を担いたいと考えております。」
管理職の転職は、企業との「カルチャーフィット」や「経営陣との相性」も重視されます。 ご自身のキャリアプランと企業の方向性が合致していることを、論理的かつ熱意を持って伝えるようにしましょう。
管理職候補としての採用面接では、実務能力以上に「視座の高さ」や「組織へのコミットメント」が見られます。 ここでは、経験豊富な方がついやってしまいがちな、評価を下げるNG志望動機のパターンを解説します。
管理職採用において、企業は「会社を変えてくれるリーダー」を求めています。そのため、以下のような「受け身」や「視点の低い」志望動機は、敬遠される傾向にあります。
NG例①:「勉強させていただきたい」という姿勢が強すぎる
「御社は海外展開もされており、国際税務について学びたいと思い志望しました。」
【なぜNGなのか】 若手であれば向上心として評価されますが、管理職クラスには「学ぶこと」ではなく「即戦力として価値を提供すること」が求められます。
「会社を利用して自分が成長したい」というテイカー(受け取る側)の姿勢ではなく、「自分の経験で御社をこう成長させられる」というギバー(与える側)の視点で語る必要があります。
NG例②:現職の不満(環境のせい)が転職理由になっている
「現職ではシステムが古く、業務改善を提案しても経営層が受け入れてくれないため、DXに積極的な御社を志望しました。」
【なぜNGなのか】 一見もっともらしい理由ですが、管理職候補としては「なぜその環境を変えるためにリーダーシップを発揮しなかったのか?」と問われます。
「環境が悪いから辞める」という他責思考は、マネジメント能力に疑問符がつきます。「課題に対し○○というアプローチをしたが、会社の構造上限界があったため、よりスピード感を持って推進できる御社で実現したい」といった、前向きな解決思考への変換が必要です。
NG例③:プレイヤーとしてのスキルアップしか語らない
「連結決算の実務スキルをさらに磨き、スペシャリストとして貢献したいです。」
【なぜNGなのか】 企業が管理職に求めているのは、「チーム全体の成果を最大化すること」です。自分一人が優秀なプレイヤーであり続けることだけに固執すると、「部下の育成や組織運営には興味がないのではないか?」と判断されます。
プレイヤーとしてのスキルは前提とした上で、「チームをどう動かすか」「組織としてどう成果を出すか」というマネジメント視点を盛り込むことが不可欠です。
志望動機を作成する際は、以下の4手順で進めるとスムーズです。
▪自分の強みや弱み、興味関心のある分野を洗い出す
▪過去の経験や実績から、アピールできるスキルや能力を整理する
▪応募する企業の事業内容や企業理念、社風などを調べる
▪企業が求める人物像やスキルを把握する
▪自己分析と企業研究の結果を踏まえ、志望動機を作成する
志望動機の書き方として意識しておきたいのは結論を最初に書くことと、具体例を添えることです。その上で役に立つ文章構成の型が下のPREP法になります。
このPREP法は、伝えたいことが整頓されていて分かりやすく、志望動機の説得力が増すとともに、コンサル業界で重要な論理的思考力があることをアピールできる構成になっています。
▪作成した志望動機を第三者に添削してもらい、改善点を見つける
▪誤字脱字や表現の矛盾などを修正する
ちなみに…
弊社ヒュープロでは志望動機(応募書類)の添削、面接対策を完全無料で行っています!!
経理の転職において、「なぜその会社でなければならないのか」を言語化するのは非常に難しい作業です。
しかし、経理・管理部門に特化した転職エージェントであれば、単なる文章の添削だけでなく、業界知識に基づいた本質的なアドバイスが可能です。
中でも、士業・管理部門に特化した「ヒュープロ」は、経理職の転職支援において圧倒的な実績を持っています。
ヒュープロのアドバイザーは、経理の実務内容やキャリアパスを熟知しています。「自分では大したことない」と思っていた経験が、実は企業が喉から手が出るほど欲しいスキルだった、というケースは珍しくありません。
あなたの経験を、企業が「採用したい」と思う志望動機へと昇華させるために。まずはヒュープロに登録し、プロの視点を取り入れてみてください。一人で悩む時間を、内定に近づく時間に変えましょう。
経理職への転職を目指す際、「資格が必要なのでは?」と不安に感じる方も多いでしょう。実際、資格は必須ではありませんが、持っていると有利に働くことが多いです。
●資格があると有利な理由
資格を持っていると、以下の点で有利になります。
基礎知識の証明:簿記資格は、経理業務に必要な基礎知識を持っていることの証明になります。
学習意欲のアピール:資格取得は、自己研鑽や学習意欲の高さを示す材料となります。
選考での差別化:未経験者が多い中で、資格を持っていることで他の応募者と差別化できます。
以下では
についてそれぞれ見ていきます。
未経験者でも、資格がなくても経理職に就くことは可能です。特に中小企業やベンチャー企業では、実務経験よりも意欲やポテンシャルを重視する傾向があります。
また、派遣や契約社員として経理アシスタントからスタートし、経験を積む道もあります。
ただし、未経験活資格なしの場合、その中でなぜ経理を志望するのかであったり、自分のポテンシャルなどをうまく企業側に伝えることが必要です。
一人で抱え込まずぜひヒュープロのキャリアアドバイザーをご活用ください。
未経験者が取得を目指すべき資格として代表的な資格を紹介します。
日商簿記3級:経理の基本的な知識を学べる初級資格。
日商簿記2級:実務レベルの知識を習得でき、中途採用で評価されやすい。
資格取得は、経理職への転職活動を有利に進めるための一助となります。未経験からの挑戦でも、資格を活用して自信を持って臨みましょう。
《関連記事》
今回は経理職への志望動機の書き方を解説させて頂きました。
それぞれで経理で働きたい理由はあると思いますが、それを如何に伝えるかによって選考の通過率は変わります。
採用する企業側に「欲しい!」と思わせるために、職種や企業へ応募した理由、そしてその企業でどのような役割を果たせるのか、を伝えるのがポイントです。
ただし、全て一人で行う必要は全くありません。就職・転職エージェントを活用して、効率的に内定を勝ち取りましょう!