労働環境や福利厚生の管理などをおこなう労務管理。従業員が働きやすい環境を作るために様々なフォローをおこないます本記事では、労務管理業務の具体的な内容と、業務に向いているタイプ、転職時の注意点について解説します。
人事や総務と一緒にされがちな労務管理の仕事ですが「労務管理」として分類される仕事には大きくわけると以下の5つがあります。
勤怠管理 | 従業員の出退勤時間や残業時間、遅刻・早退に加えて、有給などの休日を管理集計する |
社会保険・労働保険の手続き | 新入社員や退職者に対し、社会保険(健康保険・厚生年金)、労働保険(雇用保険・労災保険)の加入・脱退手続きを行うほか、従業員の給与からの引去り計算を行う |
給与計算 ・振込 | 従業員の給与を正しく計算して振り込む。源泉徴収や年末調整など、税務署への届出も行う |
安全衛生管理 | 定期健康診断や、残業の多い社員への産業医面談の手配など、従業員が安全な環境で健康的に働くことができるようにサポートします。 |
福利厚生業務 | 各種手当における手続きや、会社の備品などの管理を行います。 |
労務管理は、どの業務も会社で働く従業員にとって欠かせないものばかりです。
労務管理の仕事は「従業員が 安心して働くことができるように環境を整える」というのがよく言われることですが、具体的に仕事内容を見てみると基本的にルーティンワークと計算が多いことがわかるかと思います。
労務管理は会社にとって欠かせず、役に立っている仕事には違いないのですが、毎月の給与が振り込まれたり、保険証が手元に届いたりするのは、ある意味水道をひねったら水が出るといったインフラのようなもの。それぞれの仕事は「完璧にこなして当たり前」と思われるようなことばかりです。企業における「縁の下の力持ち」的な役割が労務管理の仕事といえます。
業務に対して集中して取り組み、正確にミスのない作業ができる人、作業的な仕事をコツコツと行うことに対して達成感と喜びを感じるタイプが労務管理に向いています。
また社員と密に関わる仕事であることから、社内でのコミュニケーション能力も大事です。
逆に、手続がどんなに煩雑でも給与が正確に計算でき、社会保険手続きが完璧にできたとしても、営業成績を達成した時のようにあまりおおっぴらに褒められることはありません。周りからの称賛をモチベーションとされる方には労務管理の仕事は向いていないといえます。
場合によっては、自分がミスを起こしたり、相手の勘違いで同じ社内でクレームを受けたりすることもあります。労務管理担当者にとっては同じ社員がまさに顧客のようなものです。運動部におけるマネージャーのように、社員に気持ち良く働いてもらうためにサポートするという心構えで業務にあたる事ができる人が、労務管理の適任者でしょう。
労務管理担当者として転職を行いたい場合、気をつけたいこととしては、労務管理担当がそれぞれの部門で分かれていない企業が思いのほか多いということです。
労務管理の仕事は、人事や総務、経理など他の部門と関わることが多い仕事といえます。そのため、企業によっては労務管理を独立した部分とせずに他部門と一緒にしていることもよくあるのです。
具体的には以下のようなパターンが見られます。
ある程度人数の多い大企業ですと、それぞれの業務のボリュームが大きいので、労務・人事・総務はそれぞれ別、あるいは部門が同じでも課が異なるなど、担当部署を分けているケースが多いです。
さらに、Aさんは社会保険担当、Bさんは社宅担当・・・・・・といったように、業務が担当者ごとに細分化されていることも。もし、横断的に労務管理の仕事を行いたい場合は、どのような担当割なのかを確認しておく必要もあります。
労務管理を行うには人事データが欠かせないことから、人事部内に労務管理担当者を置くケースは良くあることです。
人事部門が採用方面に特化している場合、労務管理は総務部門が行うケースも比較的よく見られるパターンです。
人数が少ない会社では、バックオフィス系の部門をすべてまとめて一つの部署で行うこともあります。給与振込など金銭に関することは経理部門で担当することも。
このように労務管理担当の仕事をしたいと思っていても、たまたま募集が部門全体でかかっていた場合、労務管理ではなく人事の採用担当になってしまったり、経理担当になってしまったりといったことが起こってしまいます。
労務管理は汎用性の高いお仕事ですが、まだキャリアが浅い時は、ある程度包括的に仕事をさせてくれる会社を選ぶのが、経験とスキルを積むという点では重要です。