労働環境や福利厚生の管理などをおこなう労務管理。従業員が働きやすい環境を作るために様々なフォローをおこないます本記事では、労務管理業務の具体的な内容と、業務に向いているタイプ、転職時の注意点について解説します。
労務は会社にとって欠かせず、役に立っている仕事には違いないのですが、毎月の給与が振り込まれたり、保険証が手元に届いたりするのは、ある意味水道をひねったら水が出るといったインフラのようなもの。それぞれの仕事は「完璧にこなして当たり前」と思われるようなことばかりです。企業における「縁の下の力持ち」的な役割が労務管理の仕事といえます。
そのような労務の仕事に向いている人の特徴として、以下の5つが挙げられます。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
労務の担当者は、従業員の悩みや経営陣が感じている労務に関する課題のボトルネックを共通認識として持ち、解決に導かなくてはなりません。そのためには、社内でのコミュニケーションを積極的に取る姿勢が不可欠です。
そのため、社内の従業員との対話が必要なシーンが多く、かつ相談されやすい人柄、つまり信頼できる人柄であるかどうかが大きなカギとなります。
コミュニケーション不足や話しかけづらい雰囲気があると、労務が把握できる範囲外で問題やトラブルが起きてしまうリスクにも繋がりますので、積極的に社員と話せる人が向いているといえます。
企業によって労務に求める役割は変わりますが、いずれにしても重要なポジションとして認識している企業がほとんどです。他の会社からの転職を検討する方は、選考を受ける段階でその企業がどんな役割を求めているかを知るために、求人票の情報だけでなく、企業のビジョンやそれに対して今必要なものまで知っておかなければなりません。
ビジョンに共感した上で、その達成に貢献するためにどのような役割を果たしていきたいのか、という部分まで考えられる人に適性があると言えるのです。
労務として仕事をすることは企業の従業員の権利を守ったり、働き方の選択肢を増やすことに繋がりますので、従業員からの感謝が一番の見返りとも言えます。
ですので、人からの感謝を身近に感じて仕事がしたいという方には適性があります。
労務という仕事の特性上、住所や連絡先はもちろん、給料や休職・退職をするにあたっての事情など、社員の様々な情報を知り得る立場になります。これらはプライバシーとして保護される必要があり、非常にセンシティブな情報ですので、他言しない人であることは重要な要素といえます。
労務はバックオフィスの仕事なので、手続きや申請などにあたってのいわゆるデスクワークが多く発生します。そのほとんどが従業員の権利や生活を守るための業務なので、高い正確性も同時に求められます。このような丁寧にコツコツとした仕事ができる人に適性があります。
当然、向いている人がいれば、どうしても向いていない人も存在します。
労務は、会社の直接的な売上に貢献しているわけではないため、間接部門と呼ばれます。そのため、営業部のように自身の行為によって直接的な売上を稼ぐことにやりがいを持ちたいという方には、労務の仕事は向いていません。営業部などの直接部門と間接部門は、会社への貢献の仕方が全く異なるので注意しましょう。
場合によっては、自分がミスを起こしたり、相手の勘違いで同じ社内でクレームを受けたりすることもあります。労務管理担当者にとっては同じ社員がまさに顧客のようなものです。運動部におけるマネージャーのように、社員に気持ち良く働いてもらうためにサポートするという心構えで業務にあたる事ができる人が、労務管理の適任者でしょう。
労務などのバックオフィスの仕事に対して、個人の仕事が多いイメージが強い人もいるでしょう。しかし、特に労務では、紹介したように社員とのコミュニケーションが多くなってきます。そのため、なるべく人とのコミュニケーションを取らずに黙々と仕事をしていたい人は、他の職種を検討した方がよいでしょう。
労務は企業の課題解決に本気で向き合う仕事です。もちろん、その中でスキルアップすることができますが、なるべく多くの経験を積んで労務のスキルを最短ルートで積んでいきたいという方には、必ずしも労務が最適とはいえません。そのような志向性がある人は、様々なクライアント企業の労務業務に関わることができる社労士事務所などで働くのがオススメです。
ご紹介したように、かなり詳細なレベルの個人情報を扱うことになりますので、秘匿性が低い人には向いていません。それらの情報を不必要に口外してしまうようでは、労務担当者としての信頼を得ることはできないでしょう。
人事や総務と一緒にされがちな労務の仕事ですが、大きく分けると以下の5つがあります。
勤怠管理 | 従業員の出退勤時間や残業時間、遅刻・早退に加えて、有給などの休日を管理集計する |
社会保険・労働保険の手続き | 新入社員や退職者に対し、社会保険(健康保険・厚生年金)、労働保険(雇用保険・労災保険)の加入・脱退手続きを行うほか、従業員の給与からの引去り計算を行う |
給与計算 ・振込 | 従業員の給与を正しく計算して振り込む。源泉徴収や年末調整など、税務署への届出も行う |
安全衛生管理 | 定期健康診断や、残業の多い社員への産業医面談の手配など、従業員が安全な環境で健康的に働くことができるようにサポートします。 |
福利厚生業務 | 各種手当における手続きや、会社の備品などの管理を行います。 |
労務管理は、どの業務も会社で働く従業員にとって欠かせないものばかりです。労務の仕事内容の詳細については、以下の記事をご参照ください。
上記をご参考にしていただき、労務に向いているかご判断いただけましたでしょうか。
向いている人であれば、労務への転職に挑戦することをオススメしますが、下記のような資格やスキルがあれば、より転職しやすくなるでしょう。
社会保険労務士とは、労務の専門家として認められた国家資格です。難易度は高いものの、数ある資格の中で最も労務に活かせる資格といえます。また、資格を持って労務として企業で働くことで、「企業内社会保険労務士」として登録することができます。
衛生管理者とは、企業の安全衛生管理を行う国家資格による専門家です。50人以上の労働者を使用する事業者には、その事業場専属の衛生管理者を選任することを義務付けられており、その担当を労務職が務めることが多いです。そのため、採用側にもメリットを感じてもらいやすい資格です。
給与計算士とは、その名の通り給与計算に関する資格です。民間資格のため認知度はあまり高くありませんが、労務業務に直接的に活かせる知識なので、未経験者の場合はアピールになるでしょう。
これまでの経験などにより労働法などに詳しくなっていれば、それもアピールできる要素となりえます。
今回ご紹介したように向き不向きのある労務職ですが、転職に挑戦したいという方は、ぜひ士業・管理部門特化の転職エージェントであるヒュープロをご活用ください。幅広い求人の中からご希望にマッチした案件をご提案するだけでなく、書類添削や面接対策なども手厚くサポートさせていただきます。ぜひご相談から、お待ちしております!
今回は、労務職に向いている人と向いていない人の特徴を、それぞれ解説していきました。
最後に、労務への転職を目指すにあたっての注意点をご紹介します。それは、労務管理担当がそれぞれの部門で分かれていない企業が思いのほか多いということです。
労務管理の仕事は、人事や総務、経理など他の部門と関わることが多い仕事といえます。そのため、企業によっては労務管理を独立した部分とせずに他部門と一緒にしていることもよくあるのです。
具体的には以下のようなパターンが見られます。
ある程度人数の多い大企業ですと、それぞれの業務のボリュームが大きいので、労務・人事・総務はそれぞれ別、あるいは部門が同じでも課が異なるなど、担当部署を分けているケースが多いです。
さらに、Aさんは社会保険担当、Bさんは社宅担当・・・・・・といったように、業務が担当者ごとに細分化されていることも。もし、横断的に労務管理の仕事を行いたい場合は、どのような担当割なのかを確認しておく必要もあります。
労務管理を行うには人事データが欠かせないことから、人事部内に労務管理担当者を置くケースは良くあることです。
人事部門が採用方面に特化している場合、労務管理は総務部門が行うケースも比較的よく見られるパターンです。
人数が少ない会社では、バックオフィス系の部門をすべてまとめて一つの部署で行うこともあります。給与振込など金銭に関することは経理部門で担当することも。
このように労務管理担当の仕事をしたいと思っていても、たまたま募集が部門全体でかかっていた場合、労務管理ではなく人事の採用担当になってしまったり、経理担当になってしまったりといったことが起こってしまいます。
労務管理は汎用性の高いお仕事ですが、まだキャリアが浅い時は、ある程度包括的に仕事をさせてくれる会社を選ぶのが、経験とスキルを積むという点では重要です。