
ROEを見れば、企業が利益をどれだけ株主に還元しているか収益性を見る目安となるため、ROE平均値を押さえて各企業の評価に使いたい方も多いでしょう。
この記事では、日本の上場企業におけるROE平均値の推移や、業種別のROE平均値を紹介します。投資したい企業の見極めなどにROE平均値をご活用ください。

ROE(自己資本利益率)は、自己資本をもとにどれだけの利益をあげられたかを表す指標で、「ROE=当期純利益/自己資本」の数式にて求められます。
日本・米国・欧州の上場企業におけるROE平均値の推移は、経済産業省の資料によると次のようになります。

日本の主要企業*におけるROE平均値は、2020年ごろにコロナの影響などもあり一時下落しましたが回復し、2024年は9.4となっています。
*JPXによると、TOPIX500は、TOPIXの構成銘柄のうち、時価総額及び流動性が高い500銘柄で構成される指数です。
米国の(S&P500による)ROE平均値は2024年に20.9と、日本の倍以上の値になっています。
ROEは「売上高利益率×総資本回転率×財務レバレッジ」からも算出できます。
ROEは自己資本に占める当期純利益の割合であることから、つまりは株主に分配する利益をどれだけあげられているかという指標にもなります。
日本企業は欧米企業と比べて、利益を上げても株主に還元せず、内部留保として企業内に貯め込んでしまいがちなことからも、欧米と比べてROEが低めに出るのではないかという説もあります。
日本の上場企業におけるROE平均値は8%〜10%(2025年3月期は9.36%)程度ですが、ROEの平均値は業種の特性によって異なります。
ROEを求める数式の分母は自己資本であるため、同じ利益なら自己資本が小さくても経営できる業種のほうが、ROEは高めに出るためです。
少ない自己資本でも利益を生み出せるIT業などはROE平均値が高くなり、多額の資金を必要とする金融業などはROE平均値が低くなります。
そのため、業種別のROE平均値を押さえておきましょう。
日本取引所決算短信集計結果によれば、次のような結果が出ています。

全産業の平均ROEは9.36、製造業は8.46、非製造業は10.63となっています。
産業別では海運業の17.16が最も高い値となっています。逆に、パルプ・紙の3.66が最も低い値となっています。
日本の上場企業におけるROE平均値は、2024年度においては9.4%であり、欧米と比べると若干低めです。
また、ROEは自己資本が少なくても済む業種ほど高く出る傾向があるため、業種ごとに平均値の隔たりがあります。
ROEの平均を考えるうえでは、全体の平均値よりも業種別の平均値を意識し、業種ごとに年次別の推移を見ることをおすすめします。