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税理士とは?仕事内容を独占業務からそれ以外まで分かりやすく解説!

HUPRO 編集部
税理士とは?仕事内容を独占業務からそれ以外まで分かりやすく解説!

税務に関するプロフェッショナルである税理士。しかし日本の労働人口はその約9割が雇用者(サラリーマン)です。そのため、納税については会社任せになっており、税理士が税金の計算以外にどのような仕事をしているのかわからないという方も多いでしょう。
本記事では税理士の仕事内容について、独占業務からそれ以外に求められるものまで、具体的に分かりやすく解説していきます。これから税理士を目指そうとされている方も是非ご覧ください。

税理士とは

税理士は読んで字のごとく「税」にまつわるプロフェッショナルです。消費税、所得税や相続税などの一般的に広く存在が知られているものから、揮発油税、石油税、ゴルフ場利用税などの少々マニアックな税まで幅広く精通しています。

そしてこのような知識を活かして、皆様が税金を円滑に納められるように助けるのが税理士の役目です。しかし前述にある通り、税金に関連する法律は非常に複雑で量も膨大であるため、税理士はそれぞれ分野ごとに住み分けをしています。簡単にいうと医者と同じようなシステムです。一言で「医者」と言っても、内科なのか外科なのか、整形外科なのかで大きく違います。それぞれ専門分野があり、知識や業務が非常に細分化されているためです。税理士も同様で、「何に特化しているのか」によって働き方やキャリアプランが大きく変わってきます。

税理士は会社の税務の届出、会計、税務申告など税務署への届出を専門的に行います。また記帳代行、複雑な税務会計の処理なども行います。さらに経理体制の確立、法人税・消費税などの申告書の作成提出など、税理士が行える業務は様々です。会社の役員になってもらうこともできますし、事務員として手が回らない必要最低限の業務だけを外注することもできます。

税理士の主な仕事内容

日本に暮らす私たちは、知らず知らずのうちに多くの税金を支払っています。例えば、買い物をしたら消費税、お給料をもらったら所得税・住民税、家を買ったら固定資産税など税金というのは私たちのとても身近にあるものです。

税理士は税金に関するプロフェッショナルとして3つの独占業務を持っています。具体的には「税務書類の作成」「税務申告の代理」「税務相談」です。
この税理士業務については「税理士法」で定義されており、有償・無償問わず税理士以外が行うことはできません。これらの業務は「ちょっとした親切」でつい手伝ってしまいがちなものばかりですが、有償か無償に関わらず、税理士の資格を持たない人が行うことが法律によって禁じられています。

独占業務というのは、お金をもらわなければやっても良い「有償独占」と、お金をもらわなくてもやってはいけない「無償独占」があるのですが、税理士の独占業務は「無償独占」に該当するので、法令違反になってしまうのです。

つまり、ちょっとしたボランティアでしてあげたとしても違反になってしまいます。税理士でない人が、これらの規定に違反した場合は、税理士法第59条第1項第4号により、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる場合がありますので要注意です。

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(1)税務書類の作成

個人事業ならびに法人の決算書や、税金の確定申告書、相続税申告書など、税務署に申請する書類などのことを税務書類と言います。税金の種類によって様々な税務書類がありますが、これらを当事者以外で代行作成を行うことができるのは税理士だけです。

具体的には、税理士の業務は大きく月次業務と年次業務の2つに分けることができますが、月次業務とは、税理士が顧客企業などに訪問し、その企業の税務状況を随時把握するために行う業務です。
税理士が月次業務で行う主な作業は伝票整理、試算表の作成、総勘定元帳の作成などの経理状況の把握や給与計算、源泉徴収など税に直結する書類作成があります。

また年次業務とは、文字通り申告書の作成も含めて年に一度だけ行う業務を指します。年次業務には決算書の作成、確定申告書の作成、年末調整などがあります。
確定申告は1年に1回のみですので、申告書作成も基本的に年1回です。しかし、申告書を作成するためには月次業務など顧客との日常的なやり取りが不可欠となります。

なお、最近では確定申告の書類をPCで作成することが多くなりましたが「パソコンが苦手で・・・」という知人の代わりに税務処理を作成してあげることも、「税務書類の作成」です。つまり、好意でおこなったことが、税理士の独占業務の侵害とみなされることがあります。

(2)税務申告の代理

租税に関する法令や、行政不服審査法の規定に基づく申告・申請・請求・不服申立をおこなったり、申告・税務官公署の調査・処分に関し、税務官公署に対してする主張あるいは陳述したりすることが「税務代理」です。

代表的な例としては、税務署に書類を提出したり、税務調査の対応をしたりすることが該当します。納税者本人が対応することはもちろん可能ですが、代理を立てる場合は税理士以外は認められません

例えば、確定申告がギリギリになった家族の書類を代わりに届けるといったことも税務代理にあたります。それどころか、代わりに郵便を出したり、パソコンで電子申請したりすることもです。「ちょうど税務署の方に行く予定があったから」と軽い気持ちで引き受けるのも実は法令違反なのです。

なぜ税務代理を税理士にお願いするのかというと、そもそも税金は法人税、所得税、相続税などさまざまな種類があります。そして、これらの税金は自主申告、自主納税をしなければならないため、納税者本人が計算し、税務署に収める必要があります。

しかし、税金の計算や納税などは複雑な仕組みとなっており、税務に関する知識を持たない一般の方が1人で正しい申告、納税を行うのは非常に難易度が高いのが実情です。そこで納税者が頼りにするのが税理士ということです。

税理士は複雑な税金の申告、納税をお手伝いし、顧客の税務に関するトラブルを未然に防ぐことを目的として税務業務を担当します。また、税務調査などのような申告後の税務署とのやり取りにも関わります。税務調査の立ち会いは税理士にとって腕の見せ所ともいわれており、税務署の担当者への説明や専門家の立場から意見を行います。

(3)税務相談

税金に関連する相談に対してアドバイスすることを「税務相談」といいます。
企業と顧問契約を結んでいる税理士は、定期的(だいたい月に1度)に帳簿を確認しながら、経費や税金の処理や資金繰り、コスト削減など、経営面全般に対するアドバイスも行っているのが一般的です。また、金融機関などへ融資の相談に行ったりもします。

最近ではインターネットを使ってオンラインで税務相談にのっている事務所もありますが、実はこうした相談業務も税理士の独占業務となります。

「勉強したので税金に詳しい」人であっても、税理士資格を持たない人が税金に関する相談を受けることはできません。もちろん、社長が自らの会社の税務関連について判断を下したりするのは自由です。

金融・保険商品などで「具体的な税務判断については、税理士にご相談ください」と記載されているのは、その商品を購入することで、どう節税効果があるのかといった税務に関する相談の回答は税理士の独占業務だからです。友人に聞かれたからといって応えたりするのは法令違反なのです。

税理士でない人が独占業務を行ってしまうと

税理士の独占業務以外の仕事内容

税理士は独占業務だけを行っているわけではありません。独占業務以外にもクライアントの記帳代行(帳簿作成)などの会計面のサポートや、経営コンサルティング業務を行っています。

具体的に言うと、会社設立の手続き(個人事業主の法人成り)、事業承継、M & A の仲介や相続対策などで、近年は税理士が独占業務以外の仕事を担うケースも増加傾向にあります。

独占業務以外の仕事は、例えば経営コンサルタントなどが行うことも可能ですが、結果的に税金にまつわる内容に話が及んでくると、税理士の独占業務である税務相談に抵触するため税理士が行うことが多いのです。

様々な仕事を行うことができる税理士ですが、特定分野に特化し、例えば相続専門の税理士という強みを活かして急成長している税理士事務所もあります。

記帳代行業務

クライアント企業に経理担当がいれば問題ないですが、創業間もないスタートアップ企業や中小企業の場合、経理担当者がいない場合も多くあります。そのような場合にクライアントの経理業務を代わりに行い、領収書や会計ソフトへの入力作業から帳簿作成業務を代行までの業務を記帳代行業務と言います。

コンサルティング業務

経営コンサルティング業務は、会社の経営状況を分析・判断し、現在の経営施策の提案や将来的な経営対策についてのアドバイスをすることがメインの業務になります。したがって、情報に基づき仮説を立て分析する能力や、きちんと経営者の話を聞き情報を整理する能力が必要です。

税理士に期待されるコンサルティング業務として、税金及び会計だけでなく、税金及び会計に関連する領域である起業、経営計画、財務、株式公開、M&A、事業承継、組織再編、事業再生などの分野についての助言・提言などが考えられます。

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相続業務

相続を行う場合、他人から土地やお金など財産を受け取るため、法律で決められた額の税金が発生します。いわば相続税とは、亡くなった人から相続や遺産などにより取得した財産の合計額が、基礎控除額を超える場合に支払うべき税金というわけです。相続の対象となるものは、不動産や株式、現金、または宝石・家具まであらゆるものが相続対象となる可能性があります。

相続に関する業務としては、以下のようなものがあります。

・相続税の算出や不動産(土地・建物)の評価、遺産分割方法を試算
・遺言書作成のアドバイス業務
・相続税のシミュレーションを立てる
・財産目録の作成
・遺産分割協議書の作成から相続税申告

遺産分割協議書の作成は、場合によっては弁護士や行政書士にお願いすることもありますが、相続税申告に必要な書類なので税理士も対応することができます。

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事業承継業務

事業承継は、計画の立案、後継ぎの選択や育成、各種手続方法、税金知識やトラブル対処法など、専門的な知識を必要とします。これらの業務は、税理士のみならず、弁護士や社会保険労務士、中小企業診断士なども対応しています。
事業承継の方法や時期の選択によっては、無駄な税金を支払ったりするケースもあるので、事業承継前に経営者に対してアドバイスをすることも業務の一部です。

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個人のクライアントを担当する税理士の仕事内容

個人のクライアントとは、自営業、年金受給者、不動産をお持ちのオーナーや大家さんなどを指します。これらに該当する方たちは、1年間で得た所得額によっては確定申告が必要になるため、税理士は申告に関する業務を代行します。帳簿付け、年末調整、源泉納付、給与支払報告などの作業に始まり、最後に確定申告書の作成、申告を行うことになります。

確定申告は2月~3月に行われるため、個人顧客を多く抱える税理士はこの時期が繁忙期となるでしょう。確定申告以外にも遺産による相続税、不動産購入による登録免許税や取得税などが発生すると業務量も増えるため、さらに忙しくなることが予想されます。

個人事業主は自分一人で働いているとは限らず、別の誰かを雇っているという場合もあります。そのため、基本的には、事業主とのやり取りが多くなるとは思いますが、事業主以外のクライアントと密にコミュニケーションを取ることもあります。確定申告を通じて、納税額もしくは還付額が決定するため、確定申告に関する業務は個人のクライアントを担当する税理士にとって非常に重要であるといえます。

また、個人のクライアントを担当する税理士にとって、所得税の確定申告以外に特に重要な業務としては、遺産の相続税に関する業務が挙げられます。

法人のクライアントを担当する税理士の仕事内容

企業などの法人が顧客の場合は、毎月試算表を作成し、単月分の決算内容をまとめる作業を繰り返します。これは1年に1回訪れる決算期や中間決算に備える目的で行われています
企業の経営、財務状況などを照らし合わし、経営者へのヒアリングやアドバイスを行いながら法人税や消費税の中間申告、本申告を実施するのが一般的です。

特に利益が多く出ている期の場合は納税額の負担も重くなり、資金繰りが危うくなる企業も出てきますので、税理士はこれらの点も重視しながら対策法などを考案します。法人顧客の場合は決算期も企業によって異なるため、一概にはいえませんが、主には春先(2月~5月)が多忙になる税理士が多いです。

また法人のクライアントを担当する税理士の中には、税務を通じて企業の全体を見渡し、企業が属している業界や企業が行っているビジネス自体に関する見識を深め、経営に対するコンサルティングを行っているという税理士もいます。他の税理士と大きく差別化を図りたいという方には、経営コンサルティングは大きなチャンスがある業務であると言えます。

税理士と公認会計士の仕事内容の違い

税理士と混同されがちなのが公認会計士です。

実際に公認会計士試験を突破した人は税理士登録をすることが可能(税理士は公認会計士試験の短答式試験の財務会計論、論文式試験の租税法を免除されますが、受験は必要)なため、同じような資格なのではないかと思われがちです。しかし、もちろんその仕事内容は大きく異なります。

ここまで見てきた通り、税理士は企業や個人事業主などの会計処理を代行したり、税金の申告書を作成したり、節税対策を行ったり、税務調査に立ち会ったりするのが主な仕事です。

これに対して公認会計士は、企業の決算書を第三者の立場で監査士会計基準に則っているかどうかを調査することが仕事です。決算書を監査することによって、その企業に投資している投資家や株主の利益を守るというのが主な目的となります。

税理士と公認会計士、どちらも会計に携わる業務ではありますが、そのメイン顧客について、税理士は個人事業主や中小企業、大手企業まで様々で、公認会計士は監査が必要な企業なので、上場企業などの大企業が中心になります。

また、公認会計士も企業におけるコンサルティング業務を行うことはあり、アドバイザリー業務とも言われますが、いずれにしても公認会計士のクライアントというのは規模が大きな会社のため、自分一人で単独で業務にあたることはあまりなく、チームを組んで専門業務として仕事に当たることが多いというのも、税理士との違いです。

税理士と公認会計士の仕事内容の違いについてはこちらのコラムでも詳しく紹介しているので、是非ご覧ください。

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税理士の仕事内容をタイプ別にご紹介

法人特化!都会に多い税理士の仕事内容

都内で一番多いタイプであり、税理士人口の中で一番多いタイプもこちらになります。その理由は税理士試験にあり、選択受験科目である法人税を取得する方が多いためです。主な内容としては税務申告業務や税務代理業務、顧問業務、企業再生、M&A(会社や事業の売買)に関わる税務のデューデリジェンス、株式公開や節税コンサルティング等、仕事は多岐にわたっています。やはり企業を相手にする仕事なので、責任がとても重いことが挙げられます。また大都市に行けばいくほど専門性が求められるので、「自身は何が得意なのか」を明確にさせる必要があります。しかし自身でクライアントを持つため、転職をしたり開業する際に顧客を持ってこれることは大きな強みです。また企業相手のため、収入が非常に安定しています。比較的若い方がキャリアのファーストステップとしてこちらの道を選ばれます。

相続はお任せあれ!資産税特化の税理士の仕事内容

最近増えている資産税特化型税理士です。主な仕事内容は相続業務や事業承継、税務局立会いの対応等になります。現在様々なところで「争族」(相続をめぐって親戚中で争いごとが起こってしまうことを表した言葉)という造語が作られるほど、日本中でホットな話題になっています。誰でも起こりうる相続のプロフェッショナルとして、個人のお客様を相手に働きます。資産がいくらあるのか、資産の査定額が間違ってないかを迅速に検証します。また完全成功報酬制の会社も多く、料金体系が明確で良心的な事務所が多い印象です。個人のお客様を相手にしているため、コミュニケーションを活かしたり、お客様の声を直に聞きたい方にはオススメです。しかし税理士受験の際に相続税法を選択する人が少なく、相続の知識がある税理士がまだまだ人が少ない印象です。理由として相続税法はかなりボリュームのある科目であり試験内容も難しいことに起因します。そういう意味では今後独立を考えている方にはビジネス的観点からもオススメです。

まるで総合病院!街の税理士の仕事内容

街の税理士には、幅広い知識と対応力が求められます。皆様が一般的に思い浮かべる税理士はこのタイプではないでしょうか。なお故郷に自身で開業した税理士もこちらのタイプに該当します。一般的な街の税理士であれば、大都市ほどの専門性は求められません。何故ならそこまで大規模な会社が多くないためです。税理士本来の働き方である中小企業の力強い味方として、一般的な税務申告の業務や決算、年末調整などが主な業務になります。もちろん個人の相続も業務範囲になりますが、税制改正がかなりの頻度であり内容が変わっていくため、常に新しい情報をアップデートする必要があります。そのため街の税理士として働く場合でも、やはり法人系の対応が中心になります。街の税理士は比較的年齢層が高く、暦年のプレイヤーが多い印象です。

社内の税務はお任せあれ!会社内の税理士の仕事内容

決算業務、監査対応、税務業務、内部統制が主な業務になります。少し会計に寄ってくるイメージです。場合によってはCFOとして、会社内の財務経理を取り仕切って行きます。経験を積んで、なおかつ社内に対応するキャリアがあるのであれば、いずれは企画や管理部門長といった経営の核の部分に直結する部署で働くチャンスもあるでしょう。一般企業の経理部に勤務すると税務に関する業務は相対的に減りますが、そのかわり企業の内情に沿った税務以外の業務に深く携わることができます。しかし給与面に関しては相対的に税理士だからと言って優遇されるわけでない会社もあるようで、待遇面にばらつきがあります。しかし社内税理士になることはキャリアアップを考えていく上では非常に重要な要素を含んでいます。さらに企業側も税理士を車内に内在化したいという傾向が強く、空前の売り手市場です。東証一部の大手企業もこのような人材の確保が難しい状況なので、会社の内部で挑戦したい方に非常にオススメです。

税理士の仕事はなくなってしまうのか?

最近、税理士の仕事の必要性について疑問が投げかけられることが多くなってきました。人工知能の開発によって、税理士は仕事を奪われる筆頭であるという意見や、そもそも税務処理は自分でもできるのだからわざわざ税理士を雇う必要はないという意見です。しかし、たとえ人工知能が開発されても税理士の仕事がなくなることはありませんし、税務処理を税理士に任せるメリットはたくさんあります。

税理士を雇う必要性がない、税理士の仕事がなくなってしまうというこうした意見は、税理士の仕事を十分に理解していないことからくる誤解です。多くの会社において、税理士の役割は、会計を代行している存在であり、会計や税法のルールに則って税額の計算をしているだけだと思われています。会社の会計を代行するだけであれば、会計の知識があり、少しでも税法に関する知識があれば行なえます。税理士にそのような役割だけを期待していることが多い個人事業主からすれば、お金もかかるし、わざわざ税理士を雇うメリットも少なく感じるでしょう。しかし、税理士の仕事は、単に会社の経理を代行することだけではありません。この点に誤解があるからこそ、税理士の必要性に疑問を投げかけるような意見が出てきてしまうのです。

では、税理士の仕事とは一体どのようなものなのでしょうか?税理士の仕事は、税法に則って税務処理を行なうことです。税法は毎年のように変わりますし、税法の解釈によって税額は変わります。したがって、毎年のように変化する税務処理の方法をキャッチアップすることは非常に困難ですし、税法をどのように判断すれば、税額が有利になるかについて判断することは、税法の専門家にしかできません。

また、人工知能の開発によって、たとえ帳簿処理が自動化されるとしても、会社の税務上の戦略(タックス・プランニング)に沿って税務処理を行なうことはできません。それぞれの会社によって、タックス・プランニングは異なるからです。それぞれの会社のタックス・プランニングに沿った税務処理を提案することができるのは、税理士だけです。したがって、人工知能が開発されても、税務処理機能が会社にあったとしても、わざわざ税理士を雇う必要があると考えることができるわけです。

これからの税理士に求められる仕事内容

これからの税理士に求められるのは、会社のタックス・プランニングに応じた税務処理です。場合によっては、タックスプランニングの策定そのものに税理士が関わる必要もあるでしょう。将来の法人税等の発生について計画をたてることは、たとえば、繰延税金資産の回収可能性を確認する上で非常に重要な手続きです。さらに、保有している有価証券や不動産を売却したとき、その含み益が実現することで発生する課税所得がどれくらいになるかは、会社の今後の経営を考える上で非常に重要な選択となりえます。こうした場合、売却の可能性、売却予定時期、実現が予測される含み益の金額の妥当性を十分に検討し、税務処理の計画立案ができるのは、税務に詳しい税理士だけです。将来支払わなければならない税額を事前に正確に予測することによって、会社が過度な負担をかかえないようにし、無駄な税金を支払わないように合法的な節税対策をとることは、税理士にしかできない仕事なのです。

特に、企業が海外でも営業活動をしている場合には、税理士は頼もしい味方です。格好の税制や租税条約を活用することで、税務処理を有利に進めることができるようになりますし、より有利となる税率が適用されるように、取引を選択できるようになります。こうした判断は、税務に明るい税理士にしかできません。こうした税務リスクをきちんと回避し、タックスプランニングを策定し、これにそった税務処理ができるのは税理士だけなのです。

多様化する税理士の仕事内容

税理士に求められる仕事内容は年々多様化してきています。
もちろん、独占業務が中心となりますが、実際には上述したように幅広い業務が行われています。そのため税理士として活躍するためには、税理士試験合格後も、常に学ぶ姿勢が求められます

税理士資格を取得後、まずは独占業務の経験を積み、同時並行でそれ以外に自分が税理士として何を強みに出していくべきかを考える必要があります。
当メディアでは、税理士のキャリアについて幅広くご紹介しているので、ぜひご覧ください。

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この記事を書いたライター

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