決算業務を効果的かつ効率的に行うためには、マニュアルの整備は必須です。経理担当者が辞めてしまった場合にも一から全て人から教える必要はなく、完全なマニュアルさえあればマニュアルを読んでおいて、だけで済むかもしれません。今回は決算業務のマニュアル作成時の注意点を見ていきましょう。
目的は大きく3つあります
マニュアルはなぜ作るのかというと上記の理由があります。
誰がどの業務を行ってもクオリティーが一定で、人に教える時に利用できるものでなければなりません。
以下ではマニュアル作成時の注意点をあげています。
決算業務が完了しなければ、株主総会を開くことができず、税務申告も行えません。つまり、決算がスケジュール通りに締まらなければ、法令違反となってしまう恐れもあります。
決算が到来してから、何をすべきかが明確でなければ業務のスピードも上がりません。決算業務のマニュアルには、いつ、何を、どんな人がやるべきかなどは最低限記載しておくようにしましょう。
決算業務のマニュアルは頻繁に更新が必要です。会計や税務の基準は年々変更が加えられることが通常ですので、マニュアルもそれに応じて変更しなければなりません。古いマニュアルのままですと、誤った決算業務になりかねません。更新の手間は大変ですが、マニュアル自体はアップデートされやすい形で保存するようにしましょう。
マニュアルが更新された際は常に日付と更新者を記載するようにしましょう。そうでなければ誰がいつ更新したのかが分からなくなり、最新の基準に照らして正しいマニュアルなのかどうかの判別がつかなくなります。更新履歴と呼ばれるものですが、数多く更新される可能性の高い決算業務マニュアルにおいては非常に大切な項目となります。
決算業務マニュアルは経理担当者がマニュアル通りに業務を進めれば完了、というものではありません。経理担当者が入力、上席が承認、経理部長がレビューし最終承認される、といった形で最終アウトプットに至るまでの過程が具体的に記載されていることが求められます。
決算業務においてエクセルを使用する会社は多いと思います。エクセルにもマニュアルを作っておかないと、他人の作ったエクセルを理解するには時間がかかります。また、入力して良いセル、計算式だけのセル、を明確に区別しておくことでエクセルを壊してしまうリスクが大きく減らすことができます。使用時の注意点も具体的にマニュアルに記載しておくようにしましょう。
決算業務のマニュアルを作成していても、時にマニュアルに記載のない例外的な取引が行われるケースがあります。全ての例外を想定した決算業務マニュアルを作成することは実務上困難です。そこで、決算業務マニュアルに参考条文や基準の出典を明記しておけば、例外的なケースが発生した際に条文をもとにどうすれば良いのかを考えることができます。条文や基準がどこにあったかを探す行為は、思った以上に時間がかかる行為でもありますので、決算業務効率化のためにもぜひ出典を明らかにしておきましょう。
決算業務のマニュアルに出てくる帳票名や資料名は具体的なものでなければ実務に使用することができません。例えば残高明細といった言葉だけでは何を指しているのかあいまいです。XXシステムから出力した相手先別の売掛金明細、といった具体的な名称で記載するようにしましょう。
決算業務は複雑でやることも多いため、単にマニュアルを作成すると文章が長くなりすぎてわかりづらいものとなってしまいます。分かりづらいマニュアルは他の人に使われることはありません。
きちんと読み物として成立させるために、図や画面のハードコピーを混ぜながら見やすくし、具体的な解説を織り交ぜるようにしましょう。会計システムやエクセルの画面をもとに順序を明確に記載していけば分かりやすいマニュアルになること間違いなしです。
社内のリソースだけではマニュアル作成ができない場合は、外部業者に依頼することも検討しましょう。マニュアル作成専門の会社や、会計事務所や税理士事務所も力になってくれるはずです。
一度、作成してもらえばその後はアップデートしていけば良いだけなのでかなり労力が削減されます。また、質の高いマニュアルを作成してもらえれば、社内リソースで自作するよりもコスト以上の価値があるかもしれません。
最後に、決算業務マニュアル作成にあたり一番大切なことは、やはり読み手の事を考えることです。自分よがりのマニュアルとなっては誰も理解することができません。相手がどう思うか、分かりやすいかを常に考えマニュアルを作成しましょう。