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税理士試験の過去問と答練の違い、どっちからやるべきか?

税理士 井上幹康
税理士試験の過去問と答練の違い、どっちからやるべきか?

各種資格試験においてよく「過去問は重要」と言われています。また、専門学校を活用している受験生は過去問以外に専門学校の作成する模擬試験(答練)もたくさん受けていると思います。今回は、税理士試験における過去問と答練の違い、やる順番について私自身の実体験も踏まえて解説していきます。

過去問と答練の相違点一覧

税理士試験の過去問と答練は、どちらも制限時間2時間で理論及び計算を両方解く必要のある総合問題という点は共通していますが、相違点がいくつか存在します。

そこで、私が考える税理士試験における過去問と答練の相違点を一覧表にまとめたものを以下に掲載します。

税理士試験における過去問と答練の違い一覧表

作問者の違い

まず、当たり前のことではありますが作問者が異なります。

過去問は過去に試験委員が作成して実際に本試験問題として出題された唯一無二のものです。

一方で答練は専門学校が作成したものになりますので、専門学校の数だけ答練は存在します。なお、答練には、授業の進行過程で行われる既学習論点の復習を目的とした基礎答練と本試験直前期(6月~7月)に行われる直前答練・全国模試の2つに分けられます。

出題範囲指定の違い

次に出題範囲指定の有無が異なります。

過去問と直前答練・全国模試は事前に出題範囲指定がなく、全範囲が出題範囲となりますので、付け焼刃の知識や山張りは通用しないことがほとんどです。

一方で答練のうち基礎答練に関しては事前に出題範囲指定がなされますので、その出題範囲をしっかり復習しておけば高得点が取れます

性質の違い

最後に、それぞれ性質が異なります。

過去問は実際に本試験として出題されたものではありますが、あくまでもそれは過去実績であり、税理士試験のような記述式の試験では過去問と同じものがそのまま今年の本試験で出題される可能性は低いです。なお、余談ではありますが、マークシート方式の選択肢式の資格試験では過去問と同じ選択肢が出題される可能性はかなり高いです。

基礎答練の性質はというと、こちらは上記の通り既学習論点の復習を目的としているものなのでその性質は復習教材的なものになります。直前答練・全国模試の性質は、過去問の過去実績を踏まえて今年の本試験の出題予測を反映したものになります。

過去問、答練をやる順番

過去問と答練に関して上記のような相違点を踏まえ、これらを解く順番として個人的にお勧めなのが以下の順番です。

1,基礎答練(9月~3月で専門学校のスケジュール通りに受験)
2,過去問(3月~5月で自分で実施)
3,直前答練・全国模試(6月~7月で専門学校のスケジュール通りに受験)

基本的に答練は専門学校がいつ実施するか日付指定してくるのでそのスケジュールに合わせて受験していけばよいのですが、過去問は自分で適宜解いていくことになるのでいつ解くのかが受験生によってバラバラです。

よく過去問を後回しにして本試験直前まで解かない方や全く解かない方がいますが、個人的にそれはあまりオススメしません。

過去問を後回しにする方や全然解かない方の主張としては、「過去問と同じ問題が今年でないからあまりやる意味がない。答練だけやればいい。」というのが多いと思います。それはその通りなのですが、今年の本試験問題を作成する試験委員も過去問は過去実績として必ず確認し、参考にしているでしょうし、過去問を解くことで今年の本試験の出題予測も専門学校に丸投げでなく自分自身でもある程度行うことが可能となってきます。

また、専門学校を活用していても授業で過去問を全部一緒に解いて細かく解説してといったことは基本行われないので自分で過去問を解いて適宜講師に質問していく必要があります。

ですので、本試験直前にまとめて過去問を解くのではなくできるだけ早い段階で解き始めた方がいいというのが私の考えです。とは言っても勉強を始めたばかりの初期でいきなり過去問は解けないので、おおよそ全範囲の学習を終えた3月くらいから少しずつ過去問を解いていくのがオススメです。

少しずつ過去問を解くということの意味ですが、これは2時間フルで解かなくてもOKで、例えば理論だけ50分、計算だけ70分とかバラして解いてもOKという意味です。

おわりに

結局、答練だけやればOKとか過去問だけやればOKというわけではなく、どちらもやる必要があるのですが、今回ご紹介したようなそれぞれの違いをよく理解して解き進めていく必要があります。

答練については、専門学校の実施スケジュールに合わせて事前に準備し、必ず欠席せずに受験すること。過去問については、できるだけ前倒しで少しずつでもいいので自分で解き進めること。
最低限こうした点を意識して、どちらも十分に消化したうえで本試験に備えましょう。

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この記事を書いたライター

大学在学中に気象予報士試験に独学一発合格。社会人として働きながら4年で税理士試験官報合格。開業税理士として税務に従事しながら不動産鑑定士試験にも一発合格。税理士試験や不動産鑑定士試験受験生向けの相談サービスや会計学ゼミも開催。
カテゴリ:資格試験

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