決算業務は株主総会や税務申告などの期限が決められており、間違うことのできない重要な業務です。多くの経理担当者の時間が必要ですが、決算業務をアウトソーシングするという手段もあります。今回は決算業務をアウトソーシングすることのメリットとデメリットを解説していきます。
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決算業務をアウトソーシングすることで、採用、ノウハウ、時間の使い方の点でメリットがあります。3点ありますので詳しく見ていきましょう。
決算業務のアウトソーシングすることの大きなメリットの一つは、社内の経理人材を少なくすることができる点です。経理人材はどの業種でも活躍することができるため、採用にお金と時間がかかることがあります。アウトソーシングすることで、採用コストと時間、また、経理人材の人件費を圧縮することが可能となります。
社内に経理や財務の知識を持った人材がいない場合、決算業務を行うことは非常に困難です。そこで、豊富な知識と経験を持ったアウトソーシング先に決算業務を依頼し、アウトソーシング先とのやり取りを通じて、様々なノウハウを吸収することができます。一度、ノウハウを吸収してしまえば、アウトソーシング先から経理の内製化も目指せるようになります。
決算業務はいわゆる管理業務であり守りの業務であるとも言われています。経営者が守りの業務ばかりに時間や労力を取られてしまえば、攻めがおろそかになり、業績を伸ばすことができません。プロフェッショナルであるアウトソーシング先へ決算業務を委託することにより、経営者が攻めにフォーカスできる環境を作ることができる点は大きなメリットの一つです。特にまだ会社規模の小さいベンチャー企業は、将来の成長やプロダクトの開発に集中して時間を使うべきであり、管理系業務はアウトソーシングするケースが多くなっています。
メリットが大きい決算業務のアウトソーシングですが、当然にデメリットもあります。コスト、経営管理、アウトソーシング先の継続性、毎年の契約更新といった点でデメリットがありますので、アウトソーシングの検討段階で注意するようにしましょう。
決算業務をアウトソーシングする場合は当然にコストがかかります。その金額は業者によって様々ですが、経理人材1名の単価にマージンが乗っているため、その分経理を内製化するよりも割高となります。長年にわたってアウトソーシングすると、思ったよりもコストがかかっていたとなりかねません。業者との契約に至る前に、きちんと複数業者から見積を取り、サービスの範囲と質を確認してから契約するようにしましょう。
企業の意思決定は適切な数字に基づいて行う必要がありますが、その数字は財務諸表の数字だけではありません。原価計算やプロジェクトの粗利計算など、財務諸表には表れない管理会計が必要です。決算業務だけアウトソーシングしてしまうと、管理会計と財務会計が切り離されてしまい、機動的な対応が困難となってしまいます。例えば、新規事業を開始したが適切な数字を集めるのに、アウトソーシング先に都度照会しなければならない、という状態になってしまうと、スピードが遅すぎて経営に支障が出てしまいます。
一度、決算業務をアウトソーシングしてしまえば将来決算業務に心配する必要はない、とは言い切れません。アウトソーシング先の経営状態が悪ければそのまま破産し業務が継続できなくなるリスクもあります。きちんとアウトソーシング先の信用リスクを把握することはもちろんですが、きちんとコミュニケーションを取りながら、いざという時は他の業者に頼るといった対応が必要となります。
決算業務のアウトソーシングは、基本的に仕事量の多さに比例して価格は上がっていきます。成長企業であれば年々、取引が多くなり複雑化していき仕訳の本数もどんどん増加していきます。すると、アウトソーシング先も毎年の更新のタイミングで値上げを提案してくるかもしれません。社内の体制や他社の見積が取れていなければ、言いなりにならざるを得ないリスクがあります。決算業務のアウトソーシングの際は、丸投げして業者に依存してしまうのではなく、アウトソーシングの間に社内人材を研修させる、業者の切り替えを検討するなど、事前に対応しておくことが望ましいです。
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