難関の税理士試験を突破し、晴れて税理士登録。しかし「こんなはずではなかった」と思う方も少なからずいるそうです。もちろんどんな仕事でも大変なことや辛いことはありますが、企業経営者たちとのやり取りは相当なプレッシャーがかかるもの。そこで本記事では、税理士試験を目指す方に向けて、税理士の仕事についてきついと言われる部分について解説していきます。
クライアントの税金を計算し、適切に納税するというのは税理士のメインの仕事の一つです。税務申告というのは、実際に税金を払うクライアント自身が作成しても構わないのですが、間違えたくないので、あえて専門家の税理士にお金を払って作成を依頼しているわけです.
税理士は正確な税務書類を作る義務がありますので、作成した税務書類にミスは許されません。もし、内容にミスがあると、税務署にクライアントの申告漏れを疑われたり、場合によっては脱税とみなされ、重加算税などの追徴課税が起こったり大変な不利益をかけてしまうことになります。
これは、 単にお金の問題だけではありません。 企業の脱税に対する世間の目は非常に厳しく、ひとたびそのような事態があれば、クライアントの社会的信用も地に落ちてしまいます。
税理士事務所は、クライアント企業とのやり取りがあるため、一般的には、企業と同じ土日祝日が休みの事務所が多いです。しかし、確定申告や決算が重なる3~5月は繁忙期。1年で一番忙しい時期です。クライアントの状況によっては休みが取れないことも。
過労による体調不良を引き起こさないよう、常日頃からの体力造りと健康管理が大事です。税理士は自分が商品ですから、身体が資本です。良いパフォーマンスが出せるように、しっかりと体調管理に気を付けましょう。
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いわゆる国家資格は全てこれが当てはまると思いますが合格したらそれで良しというわけではなく業務を続けるにあたって一生涯勉強が必要になります。
たとえば税理士であれば、税金に関する法律の変更や改正・それらに伴う通達などに目を通し、一般的な運用まで理解を落とし込み、クライアントが理解できるように説明できなければなりません。
2019年10月の消費税改定における軽減税率などはその良い例でしょう。
しかしながら、クライアントの税金に対するリテラシーが高いとは言えませんので、税理士に対してこれは経費になるならないと言ったようなことから解説する必要があります。
税理士の主な担当顧客は中小企業のオーナー社長です。 社長といっても色々な方がいらっしゃいますが、オーナー社長にとって会社は子どものように大事なものです。少しでも自社の利益をあげて、会社を大きくしたいと願っている人がほとんどです。経費の使い方にもシビアなので、顧問料を払っている税理士には少しでも節税のために役立ってもらおうと、無理難題をいってくることもあります。
経費になるかどうか、損金算入できるかどうかといったような質問に対し、あくまで税理士は法に則って回答しているだけなのに、理不尽な攻めを浴びるといったようなこともあるでしょう。不正を促されることもあるかもしれません。
こうした性格の強いクライアントとの付き合いで、消耗してしまう税理士も珍しくないのです。しかし、クライアントの押しに負けて、脱税に加担するような事をしてしまっても、いずれ税務調査でわかることです。
もし税理士法に違反するような事をした場合は、国税庁による行政処分として、税理士に対する懲戒処分が行われます。クライアントと共に国税庁のWEBサイトに掲載されることになります。
税理士の懲戒処分については、以下の記事でも解説しています。併せてぜひご一読ください。
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いずれにしても、クライアントと良好な関係を保ちつつ、言うべきこときちんと言うという一線を挽いて付き合うというコミュニケーションスキルが求められます。
税理士業務では、領収書や売上伝票などの各種経理書類と、会計システムの数字を付け合わせたり、決算書類を作成したり、デスクワークが非常に多くなります。
いくら計算は会計システムがやってくれるといっても、元になる数字の入力間違いや伝票自体の記入ミスなどの見過ごしは許されません。自然と緊張し、体に力が入ってしまうのです。
こうしたことから、税理士の方で腰痛や肩こり、眼精疲労や頭痛を患う方は非常に多いと言われています。一種の職業病ですね。
税理士試験には受験資格が必要なため誰でも受験できるわけではなく、計11科目の試験の中から5科目の合格が必要です。それぞれの科目の合格率は約10%で、すべての科目を合格するまでの時間は、平均で5年~8年ほどかかるといわれています。
また、税理士試験に合格すればすぐに税理士として働けるわけではなく、2年以上の実務経験や税理士登録申請など、税理士になるまでが大変です。
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税理士事務所などに勤務する場合、入社から数年は年収が上がらないと感じる人も多いようです。税理士は高年収というイメージがあるかもしれませんが、勤務先や働き方によって年収には大きな差があります。
大手税理士事務所であれば年収1,000万円も狙えますが、すぐに年収が上がるわけではありません。独立開業した税理士のなかには年収3,000万以上の人もいますが、開業直後であれば年収300万円以下のケースも多いようです。
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見てきたように、税理士の仕事は決して楽ではありません。どちらかと言うと大変さが先に立つこともあるでしょう。しかし、その大変さはある意味、やりがいの裏返しでもあります。
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