平成18年に新試験が導入された公認会計士試験。合格率の高まりから一時期は「会計士あまり」ともいえる状況になりましたが、近年はどうなっているのでしょうか。本記事では、公認会計士の合格率の推移について見ていきます。
データ出典:公認会計士・監査審査会発行:公認会計士試験 過去の試験結果
公認会計士試験は、平成18年に新試験が導入されました。これは、公認会計士のニーズが高まることを踏まえて公認会計士を増やす目的で導入されたものです。
しかし、グラフを見てわかる通り、最終合格率は、新試験導入後の平成18年~20年の頃は15~20%近く、合格者数も4000人に迫るなど、あまりにも多くの合格者が出てしまったため、試験に合格しても受け入れ先の監査法人がない「待機合格者」の問題が生じることになってしまいました。
安定した職を得るために難関試験を突破したのに、人余りで就職できないという状況だったのです。
そこから一転、平成21年以降は合格者を絞り込み、平成23年には過去最低の6.5%という合格率になります。しかし、時すでに遅し、会計士試験の受験離れが起こり、受験者数が減少していきました。
その結果、平成27年に一旦合格者数は底を打ちましたが、そこからは1000人台で微増で推移しています。就職状況が改善されたことから受験者が戻ってきたのです。
グラフを見ると、平成23年を境に合格率が延びていっていることが良くわかります。合格者数はほぼ横ばいなのですが、合格率が微増しているということは、そもそもの受験者数が減少したことを表しているのです。ここ数年の合格率は大体10%前後で、横ばいとなっています。
出典:公認会計士・監査審査会発行:公認会計士試験パンフレット
公認会計士試験年齢別の合格者構成も20~25歳未満が一番多くの割合を占め、約60%にもなります。大学在学中に合格する比率も高く、40%以上が在学中の合格です。
職業別の合格者構成を見てもわかるとおり、ほとんどが学生、または受験のために専門学校に通う受講生です。つまり、公認会計士に合格するためには、勉強にコミットできる環境が必要なことがわかります。
出典:公認会計士・監査審査会発行:公認会計士試験パンフレット
もともと、合格者数の内訳の多くを占めていた20~25歳の若手の受験者ですが、ここ3年で合格者の中に占める割合が51.0%から59.9%と約10%近くもアップしています。
また、女性の合格率は20%前後ですが、全体の合格者数の増加に伴いその数も増えてきています。公認会計士の業務は専門職ということのほか、多様な働き方ができることからも、女性のキャリア形成を後押ししてくれます。
かつては、年収の割に待遇が今一つと言われてきた監査法人も、福利厚生に力を入れ、産休制度や育児休暇制度を整備する監査法人が増加傾向です。
つまり、若いうちに資格を取得しておき、それを活かして着実にキャリアを積んでいこうと考える女性が多いという事がわかります。
新試験導入後は、混乱もあり人数も合格率も高まりましたが、すでに試験導入から12年たち、合格者数についても微増はあれど、これからも大量に合格させるということは考えにくい状況です。
つまり、毎年1000人~1300人ほどの合格者が生み出されるわけです。この人数であれば、就職も安定していることから、難関資格を取るために努力する旨みがあります。
これから東京オリンピックが終わると景気が後退するとさかんにいわれるなかで、安定した資格職への人気は高まるでしょう。
そうなると、受験者数が増えることから、結果的に合格率は下がることが予想されます。もし、これを読んでいるあなたが、まだ学生で試験勉強に費やす時間と環境を持っているのであれば、早めに試験勉強に取り掛かることをおすすめします。
公認会計士試験の難易度については下記のコラムでも詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
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